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NPO釜ヶ崎 現場通信 88号

4月以降の特掃の規模の大筋が見えてきた
全輪番就労者アンケートの協力ありがとうございました。回答数 1,474名

4月以降の特掃について、釜ヶ崎支援機構は、要求を出さなければ何も動かないということで、昨年に引き続き請願署名の提出等で国に対し、国会に対し、早くから対策予算確保を要望してきた。しかし、今のところ、国のほうからは、思わしい反応は伝わってきていない。

国への要望は続けるが、当面、具体的に事業を進めてきた大阪府・大阪市に踏ん張ってもらわなくてはならない。ということで、2月 1日には対市団体交渉、3日には対府団体交渉と仲間と共に粘り強く交渉を重ねてきた。そして、府議会、市議会において各担当部局から出された予算に対する審議がおこなわれる。

従って、輪番登録者の目下の最大の関心事である 4月以降の特掃の規模について、はっきりとした数字が出るのは、各議会での審議後である。現時点で釜ヶ崎支援機構に届いている情報によると現状の就就労人数の 7~ 8割位になりそうである。1ヶ月に 3~4回、回っていたのが 2~3回というところか。もちろん、NPOのスタッフの人員削減も進めなければならない。

減少とはいえ、とりあえず予算の見込みはついた。しかし、この予算については大阪府・大阪市の単独・単年度の費用負担でありその先のことを考えれば、ジリ貧となる恐れが高いと思われる。なぜなら、大阪府・大阪市の事業予算規模が拡大でなく年々縮小傾向にあるからだ

やはり、雇用・失業対策については国にしっかりと責任を取ってもらい、国の予算を確保しなければならない。

以前、協力していただいた輪番就労者アンケートと夜間宿所利用者アンケートは大阪府が国に対して要求していくために実施されたものである。輪番就労者アンケートにおいては 2月 3日より輪番が一巡するまでの 7日間実施された。回答数は 1,474名、回答率は 99.3%であった。

今後も国の予算が確保されるまで要求行動は続けられる。協力よろしくお願いします。


―共に生きていくために―

最近、「共生」という言葉をよく耳にするようになった。字句の通りで言えば、共に生きるという意味である。生物間においては、共に生きる形にもいろいろある。例えば、ヤドカリとイソギンチャクのように両者がそれぞれ利益を受けている「相利共生」、カクレウオとフジナマコ(カクレウオはフジナマコの体内に住んでいる)のような片方の生物のみが利益を受けている「片利共生」、動物とノミやシラミのような自分は利益を受けているが相手には害しかもたらさない「寄生」の3タイプである。

2月22日、特掃事務所南側の壁に「NPOはパラサイト」という侮蔑的な落書きがあった。意味するところは、NPOは寄生生物であるということだと思う。NPOで働くスタッフにとって、ひじょうに厳しい声である。また、2月12日には地域外での作業中、スタッフの不注意により刈払機が跳ねた石が走行中の車に直撃するという事故があった。対応のまずさから被害者の方だけではなく仕事の発注先である大阪府にまで迷惑をかけることとなった。

高齢者清掃事業は大阪市内及び府下の施設や道路等の除草・清掃や、保育所の遊具のペンキ塗りなどの作業を府及び市より委託を受け野宿を余儀なくされる釜ヶ崎の55歳以上の日雇労働者に提供する事業である。従って落書きにあったような、NPOはパラサイトでは決してなく、この事業にかかわるすべての人々が「相利共生」の関係にあると考える。      

今後、事業を存続及び拡大させるためには、事業にかかわらない人々の理解が不可欠である。理解を得るためにも、この事業の意義を再確認してほしい。そして、作業時は常に危険予知をし責任のある行動をとってほしい。そして、少しでもおかしいな、危険だなと感じたときは遠慮なくスタッフに知らせてほしい。これも共に生きていくためである。


―車道における作業マニュアル―

2月12日の事故を受けてNPOスタッフによる安全委員会が開かれた。輪番さんに注意してほしいことは次の点である。

  • ① 輪番さんによる車道側からの作業は禁止、歩道側からの作業のみとする。
  • ② スタッフによる車道側からの刈払機の使用は原則禁止。基本的には鎌・草削り等の手作業を優先する。刈払機を使用する時は飛び石等の飛散事故を防ぐための安全ネット、コンパネ等々を必ず使用する。

以上、協力よろしくお願いします。