ホーム > 各種発行物 > 現場通信

NPO釜ヶ崎 現場通信 78号

野宿生活者対策予算と「三位一体の改革」の関係はどうなっている?/どうなる?
ホームレス対策への国の補助金がなくなり税源移譲されると。

1999年に「緊急地域雇用特別交付金」が話題になった頃、「あれは釜ヶ崎に関係あるのかな」と眺めていたら、特例として活用が認められ、輪番就労の拡大に結びついた。その背景には、運動の積み重ねにより、大阪市・府の単独費用負担で輪番就労がすでに実施されていたこと、地域状況の深刻さにより大阪府・市が国に強く働きかけたことなどがあった。

さて、最近よく聞く「三位一体の改革」。「あれは釜ヶ崎に関係あるのかな」と眺めていたら、どうやら関係があるということがわかってきた。そもそも「三位一体の改革」とはなにか。全国の知事や市長、地方議会の議長が集まった地方 6団体はいう。『本来、「三位一体の改革」は、真の地方自治の確立に向けた「地方分権改革」である。地方公共団体の自己決定、自己責任の幅を拡大し、自由度を高めて創意工夫に富んだ施策を展開することにより、住民ニーズに対応した多様で個性的な地域づくりを行い、国民が豊かさとゆとりを実現できるよう、財政面の自立度を高めるための改革である。』 で、『平成17、18年度における 3兆円規模の税源移譲に見合う国庫補助負担金廃止の具体案をとりまとめ、提示することとした』と。

以上のような流れで、前号で紹介した厚生労働省のホームレス対策予算 34億円の内 7~ 8割方が廃止対象とされている、ということのようだ。これまで、自立支援センターや夜間宿所なんかに使いやと、使い道を指定した補助金として、国から地方公共団体にわたっていたお金が、これからは、これだけ渡すから、ええように使いや、ということになる。補助金を扱っている各省庁は、地方自治体が、本当にうまく金の使い道を配分するやろか、と心配している。

これまでは国の補助金が出るから、国策だから、と、ホームレス対策を行っていたが、今後は、各地方公共団体で必要を判断して、予算編成に当たることになる。となると、野宿者のことなんかほっとけ、もっと他に金の使い道はある、ということになりはしないか、ということだ。


大阪市の「地方分権改革」にかける夢は共有できるか

大阪市税収グラフ大阪市は、夢みている。大阪市域の税収は 4兆円を超えている。その内 3兆円を国が取っている。これを改めて、国は 1兆円、大阪府は、まあ、現状維持 6千億円、残り 2兆 4千億円を大阪市の税収とする。これが実現すると、平成 16年度一般会計予算額は 1兆 7千億だから、当分、左団扇である、と。本来国で実施すべきものや格差なく国による統一的な措置が望まれるものについては、従前通り補助金をもらうから、随分余裕の予算編成ができる、と。

それで、大阪市の野宿生活者対策予算が、飛躍的に拡大されることに結びつくだろうか。

大阪市は、野宿生活者は全国の存在し、一地方で解決できる問題ではない、といい、国は、地方地方で頑張るべきだ、という。税源移譲が進めば、国は、お金を渡してあるのだからもうすべき事はない、と逃げ、大阪市は、これ以上の対策は国の責任と対策予算をけちる、結果として野宿生活者対策が現状以上には進まない、ということになりはしないだろうか。

輪番就労の予算確保の目処がつかない状況で、これまで実施されてきた他の対策についての予算までゆらぐという状況になってきた。釜ヶ崎支援機構は、このような状況に揺らぐことのない予算確保を求めて、方々に働きかけている。皆にも協力してもらった請願署名もその一環だ。

国の責任で、一年間 2百億円、5年分の 1千億円を、ホームレス対策予算として組んでもらいたい。これが請願の趣旨だ。使い道と総額を明らかにし、予算を確保することで全国の自治体が野宿生活者対策に取り組むことが保障される。他の施策との予算の取り合いからも免れることができる。

10月臨時国会向けて、努力は続く。


先日、地域内生活道路清掃就労でもめ事が起こった。

就労中に知り合いと出会った仲間が、知り合いと話をしている時に、酔った仲間に間に入られ、つい面倒くさくなって「関係ないからあっち行け」と突いたところ、酔った仲間が転倒、側にあった自転車に当たって眉毛のあたりをすりむいた。

突かれた仲間は暴行を受けたと西成署に行き、警官を現場に連れてきたが、班長が「いざこざ避けるべし」と当事者を余所に行かせ、知らん顔を決め込んだ。

その後、突かれた仲間が事務所に来ていわく、「NPOに雇われている人間が暴行ふるってもいいのか、事実を確認して欲しい、事件にする」。その時点で、事実確認できなかったので、西成署で事実確認することになり、事実確認中に、突いた仲間が西成署に来て事情が判明。突いた仲間が謝って一見落着となった。

突かれた仲間は、大阪城や大阪市の野営闘争にも参加、55歳になったら登録しようと楽しみにしているという。それだけに、特掃の仲間から突かれたことが我慢できなかったらしい。二度とこんな事が起こって欲しくないということで、警察に行ったという。

事の流れは問わず、就労中にいざこざは御法度です。知らぬ顔でごまかそうとするのは不心得です。事務所に報告を。よろしく。