NPO釜ヶ崎 現場通信 81号
11月4日「ホームレス対策予算確保に関する」請願署名の要請行動が無事に終了しました。
11月 3日午後 7時、釜ヶ崎の仲間 30名を乗せたマイクロバスが東京に向かって出発しました。請願署名の提出場所である衆議院第二議員会館前には、4日午前 11時頃に到着、先に到着していた新宿の仲間約 80名に拍手で迎え入れられました。
請願行動のセレモニーには、53名の紹介議員の内、民主党衆議院の辻恵議員、稲見哲男議員、中川治議員、石毛えい子議員、参議院の松岡徹議員、共産党衆議院の吉井英勝議員、参議院の紙智子議員、小林美恵子議員、社会民主党参議院の福島瑞穂議員の代理の計 9名の方が参加されました。
新宿・北九州・釜ヶ崎のホームレス支援機構及び各諸団体代表の挨拶の後、参加されたすべての議員からの決意表明があり、「ホームレスの自立のためには、就業の機会が確保されることが最も重要である。」と交付金事業の継続の必要性を強く訴える議員もおられました。
その後、衆議院提出分 33,126名、参議院提出分 19,191名の計 52,317名の請願署名が釜ヶ崎と新宿の仲間によって議員へと無事に手渡されました。
提出行動終了後は新宿公園に移動し新宿の仲間との交流会が行われました。
そして、午後 4時頃出発し、釜ヶ崎には 5日の午前 5時頃に到着しました。狭いマイクロバスでの長旅、本当にお疲れ様でした。朝の特掃の面着で行動に参加されていた仲間の顔を見てほっとしました。
今回の行動により私達の請願はしっかりと国会議員に受け止められたと思います。野宿生活者対策予算枠の確保を勝ち取るまで、まだまだ行動が続くと思いますがこれからもご協力よろしくお願いします。
国の生活保護費負担割合が下がると大阪市は負担増に
ー 仕事も生保も切り縮められては地獄
■「生活保護」制限でホームレス急増 違法運用の例も 安全ネット整備を
01/01/06: 読売新聞解説面
全国の主要都市の八割で、生活保護制度の趣旨に反する適用制限が行われ、ホームレスの人々が急増する一因になっている。(科学部・原昌平)
路上やテントの暮らしを、憲法 25条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」、つまり人間らしい生活とする人はいないだろう。どんなに貧しくなっても、そうならないよう生活保護法があるはずなのに、失業や倒産などで生活に困り、やむなく屋外で暮らす人々は全国で三万人と推定される。/主要 79市と東京都を対象に読売新聞社がこのほど行った調査で、ホームレス増加の背景にある生活保護の違法な運用が、二種類浮かび上がった。
一つは、働く能力があるとして失業による生活困窮者を門前払いするやり方だ。厚生省保護課は「求職に真剣に努力しても、現実に仕事がなければ保護の対象になりうる」という。
ところが、65歳ないし 60歳以上の高齢者か、病気や障害で就労できない人に事実上、保護の適用を限定している都市が 28にのぼった。求人の多い時代なら「探せば仕事があるはず」という論理も成り立つ。しかし、日雇いを含めて雇用情勢が極端に厳しく、失業対策事業も消えた今、生活保護で転落を予防しないと、収入の途絶えた人々が家賃を払えず、路上生活や自殺に追い込まれるのは自明ではなかろうか。
二つ目は、住まいがないことを理由にした排除だ。80都市のうち、住居のない人の保護を入院時に限定する自治体が 42、就労不能の場合に限定する自治体も 24あった。
家に住み、少し収入のある人は保護しても、もっと困窮して住む所まで失った人は、体を壊して救急車で運ばれるまでダメ、という奇妙さ。しかも病院からの退院時に住まいがない場合、制度上はアパートの敷金を支給できるのに、10市は「しない」と答えた。結果的に、病みあがりで路上に戻している。
排除の理由を、自治体側は「入れる施設がない」「住所不定では保護の要否調査がしにくい」と説明する。しかし、今問われているのは、路上のままの保護費支給ではなく、居住の確保を含めた最低生活の保障だ。
厚生省は「住居がない人も保護の適用基準は一般と同じ。施設がなければ、民間住宅や公営住宅も活用すべきだ」とする。鹿児島、浜松、藤沢など 10市は、敷金を出して路上から直接、アパートに保護している。広島市は旅館の一室を借りて仮住居に使っている。
違法運用が慣例化した背景には、〈1〉厚生省が 80年代から不正受給防止を目的に厳密な監査で適用を締め付けた〈2〉自治体が財政負担などの増大を恐れる〈3〉ケースワーカーに法を深く理解した福祉専門職が少ない〈4〉当事者側に不服申し立ての知識、資力が乏しい――などがある。
生活保護の現状には、国会議員からも「使いにくい」との声が出ている。「事業に失敗すれば路上」では起業家も育ちにくい。これまで事実上、黙認してきた厚生省も「漏れの多さ」を問題視するようになった。
ホームレス問題の解決には、まず生活保護の運用を法律通りに改め、住居の確保を含め最低限の安全ネットをきっちり張ることが急務だ。 ただし、それがベストではない。働ける人は仕事をする方が、本人にも社会にも良いに決まっている。しかし、自立支援センターを通じた再就職は、容易ではないのが現実だ。以前の失業対策事業は固定的なものになりがちだったが、その反省も踏まえた形での大規模な公的雇用も検討する必要があろう。