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NPO釜ヶ崎 現場通信 85号

謹賀新年
請願、1月下旬から始まる通常国会に提出

干支の絵2005(平成17)年、酉年。明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

ただ、残念なことに、今後の特掃の見通しは年が変わっても不透明なままです。

12月20日に明らかにされた来年度予算財務省原案や、それに対する厚生労働省の復活折衝の動きなどが新聞紙上などで伝えられていますが、「ホームレス対策」にかかわる予算については、何も新たな動きを見出すことができません。補正予算についても、同様です。

仕事を大幅に減らすことなく 4月1日より現場を動かすためには、「ホームレス対策予算」を 16年度予算の補正として認めてもらわなければなりません。なんとか 16年度補正予算に含めてもらうよう要求していきたいと考えています。昨年 12月に、再度協力をお願いした請願署名は、12月 30日現在、衆議院 1,957名、参議院 1,889名、となっています。署名がまだの仲間は、ぜひとも協力をお願いします。

「苦難福門」という言葉があります。苦難にめげることなく、今、自分達にできる事を考え、前向きに実行し続ければ、現在の苦難は至って福に転化するきっかけになるということだと思います。春迎える日まで、共に頑張ろう!


ホームレスの自立支援等に関する特別措置法あれど、
麗々しき実施計画数々あれど 十分なる予算のなきぞ悲しき

十分なる予算獲得その日まで手立て尽くして命つぐまん

昨年末、夜間宿所を利用していた仲間が二人、救急車で運ばれた。二人は友達で、センター周辺で買った煮魚を一緒に食べたといっていたことから、当初フグにあたったのではないかと想像されていたが、そうではなかったらしい。血液検査で毒素は検出されたが、フグのものではなかったという。なぜ毒素が検出されたと言い切れるかというと、マウスに注入したところ死んでしまったからだそうだ。ただ、何に由来する毒素かはいまだ不明。二人のうち一人は、輪番登録している仲間で、病院に運ばれた後、一時意識がなかったという。幸い、二人とも回復している。

もうひとつ、暮れも押し詰まっての話。府の仕事で就労していた仲間が、体調不良を訴え、救急車で運ばれたが、脳梗塞で入院となった。

元日に数の子やお雑煮が出たという南港臨時宿泊所の入所者は、1,971人。昨年より 385人減となっている。しかし、入院は昨年より 5人増となっている。

輪番就労の確保については、予断を許さない状況が続いている。

野宿を余儀なくされるものにとって、苦難の日々は続く。いや、野宿を余儀なくされているものばかりでなく、国、地方公共団体挙げて財政再建ばかりに視線がいっている今日、日本に住む多くの人々、一部の「勝ち組」に属する人々を除いた多くの人々が苦難にさらされている。

埼玉県の実施計画では、野宿生活者の少ない市町村では、「ホームレスになるおそれがある要支援者というべき層も視野に入れた、ホームレスとなることを未然に防止することも含む広範囲な計画を策定することが必要」と書き、福岡県久留米市の実施計画には、「ホームレス問題の解決を図るためには、ホームレスの自立を直接支援する施策を実施するとともに、新たなホームレスを生まない地域社会づくりを実現するために、地域福祉の推進を図ることが重要である。」と書かれている。

大阪の、釜ヶ崎の野宿生活者の要求行動は、日本全国の困窮者対策の底上げの最前線での闘いを担っているといえる。

国が中途半端な財政措置しかしないことを許さず、埼玉県よりも、久留米市よりも立派な実施計画を策定した大阪府・大阪市の有言実行を粘り強く求めていかなければならない。輪番就労にかかわる我らのためばかりでなく。

輪番就労について、ともに苦労の一部を分け合った思いがある大阪府・大阪市の担当部局にあっては、国がどうあれ、輪番就労の最低現状維持に向けて全力を注がれているものと信じるが、巨大組織は信じがたい。職員共済組合に対する過剰な援助の是正には数年かかっても、特掃予算の縮小決定は瞬時かもしれない。これを不条理という。不条理は怒りを招く。これは世の理である。