NPO釜ヶ崎 現場通信 26号
謹賀新年
本年も無事故で社会に喜ばれる仕事を そして、更なる拡大を!
年末年始の長い休みが明けて、今年最初の顔合わせ、とりあえず、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
ただ、残念なことには、年が変わったからといって、何かが大きく変わるというわけでもなさそうだ。経済の不景気は不景気のままだし、「今年こそ上向き調子」という声でもあればまだしも、「もっと悪くなる」という声ばかりだ。失業者がもっと増える。その対策はしっかりやらなくてはならない、という掛け声は、昨年末に開催された臨時国会を中心に高かったし、雇用創出基金や雇用給付期間の延長措置なども決められた。しかし、失業者がこれ以上増えることを防止することや再就職を促進することについては有効な手立てはない。しかも、日雇労働者や野宿を余儀なくされる仲間のことは後回しにされている。というよりは、切捨てにされている。
雇用創出基金は、かつて常用として働いてきた人々、サラリーマンの対策に大部分が回され、我々の所には現状維持程度しか回ってこないという予想が関係者の間で流布されている。民主党が提出した「ホームレス自立促進措置法案」は、相変わらず店晒しにされたままだ。「野宿者」「日雇」だけを救え、といっているわけではない。大企業や銀行への多額の公的資金投入と比較して、あまりにも失業問題に回される金が少なすぎるといっているのだ。
就労機会の創出は、個々人の努力ではどうしようもないところがある。自己の労働力を売ることで長年生活してきたものにとっては、特にそうだ。「雇主=仕事」がなければどうしようもない。
これまで国は税金を集めて、公共事業を行い、産業育成に補助することなどで雇用の拡大を図ってきた。企業は自己拡大のために「商品・サービス」を開発して雇用を延ばしてきた。現在の不況では、国は「財政改革」を掲げて緊縮予算を組み、企業は業績拡大につながる「商品」の開発ができず、従来のやり方で雇用を拡大することができないでいる。まったく先が見えないから、みんな財布の紐を引き締め、消費が冷え込む。企業は一定の売り上げを維持しようと売値を下げる。売値を下げるために、合理化・首切りをする。ますます消費が冷え込む。
誰しもが判りきったことだが、打開策がない。経済学者の中には、「デフレ対策は心理的な要因が有効」という声がある。先行きに不安があるから、財布の紐が硬くなる。その不安を一時的に忘れるような話題があれば、消費が伸びてデフレは収まる、というわけだ。
ことはそう簡単か。不安の根底には、何時、首切られて野宿になるかもしれないという不安がある。いったん野宿になれば、死ぬまで立ち直れない、という不安がある。「ムード」で一掃できるような不安ではあるまい。失業が野宿に直結することが無い社会システムの構築、野宿にいたっても短期間でやり直せる対策が確立しなければ、不安は一掃されることは無い。路上で人が死ぬような状態がこのまま続けば、三年後には「アルゼンチン」だ。
国・府・市の対策を求めると共に自前の知恵も!
あいりん相談室(社会福祉法人 大阪自彊館)
失業や高齢、疾病などにともなう生活障害の諸問題をかかえ、「あいりん地域」で生活困窮状態を余儀なくされている労働者等に対して、生活全般にわたる相談を受け付け、その自立を支援します。
*事業内容
- ①生活全般に対しての相談・助言
- ②関係機関、各種団体との連絡調整及び情報交換
- ③その他,目的達成のために必要な事業
西成区萩之茶屋1-9-14(大阪自彊館「三徳寮」内)
TEL.06-6645-0504(月~金/午前10時~午後3時)
(福祉の専門家による相談が受けられます)
行政の責任は当然として
国・府・市は、大量失業の事態への対策を実施し、人民・大衆の平穏な生活が成り立つようにする責任がある。要求するのは我々の義務といえる。
気が無ければならない。世間に、しっかりと説明し、実績を示さなければ、広範な連帯も、新たな就労機会拡大もありえない。今年もともに頑張ろう! 疾走する馬群の如く