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NPO釜ヶ崎 現場通信 18号

『より困っている仲間のために』は、判る
しかし、他が来てる限りワシも来る、やるなら強制的に一斉に切れ!

「生活保護受給者(施設入所も含む)」は、輪番就労の機会を、65歳に達していないからという理由で野宿させられ続けている仲間に譲って欲しい、と呼びかけている。それに対して、仲間から反論があった。

「ワシも苦労したから、野宿しているモンに譲って欲しいというのはよく分かる。だけど他にも来てる。自彊館に入ってるモンも来てる。福祉事務所は月2回までならいいと言ってるし、センターもカードを出してる。朝、生保のモンも受付もしてるやないか。ワシがやめても、他が来てると思うとガマンできん。紹介票を持ってきても、受付しなかったらエエやないか。ワシ、毎朝、見に来るで」

野宿する仲間に就労機会を譲るのはいいけど、「不平等感」が残るのがガマンできない、ということだと思う。その気持ちはわかる。わかるが、みんながそういい始めたら、結局は、「野宿してる奴の事なんか知らんわい」といっているのと変わらないことになる。一人一人が、譲って、初めて成り立つ話なのだから、他人がどうするかでなく、自分の考えで決めて欲しい。どうしても、強制しなければできないということになると、話は込み入ってくる。

65歳以上は就労能力を問わず居宅保護にかかることになっているが、どうしても働かせろ、元気だ、ということになれば、福祉事務所に65歳以上で一律に保護をかけるのはおかしいと言って行かざるを得なくなる。病名のつかないものは就労指導しろ、と。そうしないのであれば、65歳以下で就労能力があっても、困窮の事実に基づいて居宅保護せよ、もともと本筋なのだから、と。

そんなことを言い立てると、多分、保護を打ち切られる人や保護を受けられなく人が出る。そうまでしなければならない話なのだろうか。仲間内で足の引っ張りあいこするようなことをして誰が得をするのか。「特掃は55歳から65歳未満の福祉にかかっていない人の制度」と割り切ってもらいたい。


「野宿生活者自立支援法」要求署名に参加を!

すでに知っているように、「特掃」の仕事の大部分が来年春以降なくなる可能性が高い。事業実施の予算が、政府の緊急地域雇用創出基金でまかなわれており、予定されていた2年半の期限が来年3月で切れるからです。釜ヶ崎においての緊急地域雇用創出基金を活用しての事業は、量的に不十分とはいえ、野宿を余儀なくされている仲間が、少しはまとまった現金収入を得られる機会として定着してきました。

「自立支援センター」や長居の「避難所」など、政府の「ホームレス問題当面の対応策」にもとづいた(先取りした?)対策も実施されましたが、野宿を余儀なくされている仲間が目に見えて減ったわけではありません。それどころか、路上や公園で「肉体」に放火される状態で放置されつづけています。「特掃」の縮小でなく、拡大こそが求められているのです。

釜ヶ崎反失業連絡会は、就労の拡大こそが野宿生活者対策の根っこだと、これまで仲間とともに要求活動を続けてきました。釜ヶ崎支援機構も、仕事が増え、収入の道が確保されることで野宿生活者問題のほとんどは解決すると考えています。国に対して、就労対策の予算存続と拡大を求めていかなくてはなりません。

釜ヶ崎だけでなく日本全体としても、まだまだ野宿を余儀なくされる人が増えつづけると考えられます。釜ヶ崎や大阪だけのことではなく、日本全体のこととして考えれば、野宿に至る前の予防策や野宿に至った後の援助策を定めた法律も必要です。国が、野宿生活者対策に対する責任をしつかり取ると明記し、予算の裏づけをする法律、収入を伴う就労対策や居所の迅速な提供、野宿の予防につながる相談体制などについて定めた法律の制定を求めなければなりません。

これはまったくの絵空事ではありません。民主党は今年6月に「ホームレスに自立支援措置法」を国会に上程し、現在継続審査となっています。共産党・新社会党も早期制定に賛成しています。公明党・社民党は、検討し取り組むとしています。ただ、自民党が懐疑的ですから、楽観視できません。国会議員任せ、政党任せにするのではなく、法の制定を求める声を形にして示し、後押しする必要があります。具体的にどうするかといえば、「野宿生活者自立支援法」制定請願諸名運動を展開し、9月には国会議長宛に提出したいと考えています。

署名運動は数が勝負です。自分自身が署名するだけでなく、署名用紙を持って帰って、周囲の人にも署名をしてもらってください。ご協力を!


高齢者就労事業にお盆休みはありません

「特掃」に、お盆休みはありません。休みなのは年末年始を除くと、暦に書かれている日曜日と祝祭日だけです。休みだと思って番号を飛ばさないよう気をつけましょう。お盆(13・14・15日)には、三角公園で実行委員会主催の夏祭りがあります。夕方から相撲大会・綱引き・若者のバンド演奏・夜店・盆踊りと連日にぎやかです。時間があれば、のぞいてみよう。