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NPO釜ヶ崎 現場通信 107号

限られた施策の中では、50代・60代前半・後半以降、
それぞれに応じた施策活用が必要だ。

年末が近づいてきた。年末年始の南港の臨時宿泊所の受付は、例年通り 12月 29日と 30日に、更正相談所でおこなわれる。今年は受付面接の前に結核健診を受けて、受診したカードを持っていなければならない。南港臨泊を希望する人で、まだ結核健診を受けてカードをもらっていない人は、12日(火)、19日(火)にあるので、受けるようにしてほしい。今年受けたけれどもカードをなくしてしまったという人は、再発行してくれるので、その日に健診車のところに行って、申し述べてほしい。

今年はどういう年だったろうか。

特掃のほうは、府と市・就業支援センターを合わせて 1日 210人、センターガードマン 26人で動いている。去年は 11月 14日時点で22巡目であったのが、今年は 27巡目と、去年より 2割ほど廻るのが速くなっている。これは、居宅保護受給者の再登録が減って、今年度初めの登録者数が 2530人と、昨年度の 2784人から 254人少なくなったこと、1日の就労人数が増えたことによるだけではない。今年度から居宅保護を受けている人については、市が調べて、西成労働福祉センター時点で登録の取り消しがおこなわれていることによるところが大きい。調査・取り消しが年度初めだけではなく年度途中にもおこなわれた結果、11月の有効登録者数は 2245と、昨年度初めより 539人少なくなっている。

特掃は、あくまでも野宿生活を余儀なくされている人と日雇仕事などをしていて野宿生活に至る危険がある人を対象にした就労機会提供事業であり、一般的な高齢者施策ではないので、生活保護(居宅保護・施設保護・入院中の保護)を受けている人は対象にしていないからだ。来年度においても、今年度同様、居宅保護受給者の調査とそれに基づく登録の取り消しは行われるだろう。

施策に限度がある中では、それぞれの層に応じたすみわけがなければみんなが生きていくことができなくなる。福祉利用が可能な年齢層の人たちは、既存の施策を最大限に利用して野宿から脱していく道を拡げることも大切だ。65歳以上の人は生活保護を利用する。60歳以上の人は職安や出城の高齢者無料職業紹介所、天下茶屋駅内にあるしごと情報広場などで短時間の清掃などのパート仕事を見つける就職努力をすることによって、半就労・半福祉での生活保護利用を目指す。

特掃もまた、除草や清掃を中心にした作業に限らず、もっと幅広い作業種類にしていくことで、今よりももっと地域社会への貢献や技能習得につながる作業としての要素を強めるとともに、福祉利用がしにくい年齢層に照準を合わせたものに衣替えしていく必要がある。

府や市の財政危機が叫ばれる中、現在の施策が維持されていくためには、あるいはそれに替わる施策が打ち出されることになったとしても、特掃を必要とする層の人たちを包摂していけるものにしていくためには、行政、NPO、輪番者、それぞれができることをしっかりやっていくことが必要だ。


ノロウィルスによる感染性胃腸炎が流行っている。
体の抵抗力が弱っている人は重症になる場合もある。
こまめに石鹸や消毒液で手洗いをすることが感染予防になる。

ノロウィルスによる感染性胃腸炎は、12月~2月の冬の時期に流行する。かぜによく似た症状が出て 37~38度の熱が出る場合や、嘔吐したり下痢をしたりするのみである場合もある。通常感染してから 1~2日後に症状が出て、それから 1~2日後に治るといわれている。たいていは軽症でおさまるが、感染力が強いのと、体の抵抗力が弱っている人は、重症になる場合もあるので注意が必要だ。感染経路は、カキなどの貝類を食べた場合や、感染した人が吐いたり、大便したりしたものから感染する場合がある。

今、釜ヶ崎や周辺で流行っている。予防策としては、他人が吐いたものや糞便には直接触れないようにすること、ほとんどが経口感染であるため、こまめに石鹸や消毒液で手洗いをすることだ。石鹸や消毒液がない場合には、30秒以上水道水でしっかりと洗う。

下痢が治らない場合は、放っておかずに医療センター等にかかること、便器やその外にとび散った糞便は、他の人にうつらないようにきちんとふき取っておくことを心がけよう。