NPO釜ヶ崎 現場通信 105号
支援法制定後4年もなお、厳しい生活状態がつづく。
8月下旬の特掃アンケートの集計結果
8月 21日~28日に特掃で行ったアンケートには、生活調査で 499人、職歴調査で 830人が協力してくれた。調査結果のすべてを載せることは量的に無理なので、今号では就労の面について明らかにしたい。
【生活調査】
平均年齢は 60.4歳。求職活動は、77.3%の人がしており、32%の人が建築・土木を探しているが、ガードマンや駐輪整理・清掃・草刈・内職など、建築・土木ほどきつくない仕事や軽作業を探している人も 55%に達している。しかし、現実には、7月の収入源が「特掃のみ」と「特掃+廃品回収」「廃品回収のみ」と答えた人が 3分の 2 であり、収入3万円未満が半数を超え、6万円未満では 8割をえている。
これは、建築・土木の日雇仕事が増えても、高齢日雇・野宿層がそこに吸収されるのは難しく、また建築・土木以外の軽労働、中労働が少ないため、就労状態の改善にあまりつながっていないことを示している。
7月の収入源 | 回答数 | 割合(%) |
---|---|---|
特掃のみ | 177 | 36.3 |
特掃+廃品回収 | 127 | 26.0 |
特掃+日雇 | 90 | 18.4 |
特掃+廃品+日雇 | 16 | 3.3 |
廃品回収のみ | 15 | 3.1 |
その他のパターン | 63 | 12.9 |
合計 | 488 | 100 |
7月の収入 | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
3万円未満 | 237 | 51.3 |
3万円~6万円未満 | 149 | 32.2 |
6万円以上 | 76 | 16.5 |
合計 | 462 | 100 |
シェルターを利用した人は 4割強とやや少ないが、暑さや仕事の量が原因で、春や秋に比べて夏は利用者が少なくなることによっている。テント・小屋、それらのない野宿をした人は、それぞれ 1割 5分と2割あり、この割合は 2年前の特掃アンケートの時とほぼ変わっていない。野宿期間も、半年未満が 12.5%・1年未満が 9.8%と、この 1年で新たに野宿せざるを得なくなった人も 2割以上おり、 3年以上の長期は 55.3%と半数を超えている。
7月の生活場所(複数) | 回答数 | 割合(%) |
---|---|---|
シェルター | 207 | 44.8 |
テント・小屋 | 71 | 15.4 |
テント・小屋なし野宿 | 94 | 20.3 |
ドヤ(簡宿) | 142 | 30.7 |
アパート・マンション | 44 | 9.5 |
その他 | 45 | 9.8 |
合計 | 603 | 130.5 |
「将来どうやって生活したいか」については、生活保護が 36%、就労自立が 30.1%、半福祉半就労については 27.4%、現状維持は 5.8%となったが、55歳~59歳では就労自立がトップであり、60歳以上では生活保護がトップになっている。
【職歴調査】
釜ヶ崎に来た年齢と年代では、50歳代と 95年以降が最も多く、それぞれ 3割を超えている。阪神大震災の復興需要が終わって景気が悪化したあとで、中高齢になってから釜ヶ崎に来た人が多いということになる。
生活調査では 65.4%の人が、7月は特掃か廃品回収のみで、建設日雇で働いていない結果が出ていたが、職歴調査でも、4割近い人が今年の 1月以降 8ヶ月間に 1回も建設日雇では働けていない。ここでも高齢日雇労働者が建設労働から取り残されている現状が見える。
釜ヶ崎に来る前に一番長く就いた職種は、建設作業員が最も多く 3分の 1であるが、工員も 3分の 1近くであり、運転手等をふくめた現場作業であった人は、全体の 4分の 3に達している。また、そのときの企業規模は 100人未満の中小零細企業が 7割を占めている。雇用形態では 7割の人が「正社員」であったが、常雇でも 2割、臨時雇では 5割の人が雇用保険がなかったという結果が出ている。ここから、社会の中でどのような階層の人が、野宿を強いられるようになったり、釜ヶ崎に来るようになったかを推し測ることができる。
来釜年齢 | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
20歳未満 | 20 | 2.5 |
20歳代 | 124 | 15.5 |
30歳代 | 191 | 23.9 |
40歳代 | 175 | 21.9 |
50歳代 | 252 | 31.6 |
60歳以上 | 36 | 4.5 |
合計 | 798 | 100 |
来釜年代 | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
1965年以前 | 22 | 2.8 |
65~75年 | 153 | 19.4 |
75~85年 | 166 | 21.0 |
85~95年 | 186 | 23.5 |
1995年以降 | 263 | 33.3 |
合計 | 790 | 100 |
今年の建設日雇での就労日数 | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
0日 | 274 | 37.1 |
10日以内 | 147 | 19.9 |
20日以内 | 89 | 12.1 |
30日以内 | 77 | 10.4 |
40日以内 | 40 | 5.4 |
50日以内 | 26 | 3.5 |
60日以内 | 29 | 3.9 |
61日以上 | 56 | 7.6 |
合計 | 738 | 100 |
一番長く就いた職種 | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
工員 | 226 | 32.1 |
建設作業員 | 243 | 34.5 |
荷役作業員 | 25 | 3.5 |
運転手 | 46 | 6.5 |
店員 | 90 | 11.3 |
事務員 | 32 | 4.5 |
その他 | 53 | 7.5 |
合計 | 705 | 100 |
一番長く仕事をした企業規模 | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
10人未満 | 114 | 18.5 |
10~99人 | 316 | 51.4 |
100~999人 | 109 | 17.7 |
1000人以上 | 76 | 12.4 |
合計 | 615 | 100 |
特掃登録者の市民健診が毎月医療センターで実施に。
* 毎月第 3火曜日 午後 2時~
* 現在、どこの医療機関でも治療を受けていない人が対象です。
* 健診は無料。
* 毎月 20名。申込は予約制です。
毎月 1日(日祝日の場合はその翌日)
~第 2土曜日までに、月曜・水曜の健康相談の時か、NPO事務所に申し込んでください。