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NPO釜ヶ崎 現場通信 102号

今年度は、特掃の集団健康診査はおこなわれません
「市民健康診査」を活用することになります。

  • 市民検診=萩之茶屋小学校実施分(最大百人まで)
  • 実施日 7月13日(木)午後2時~3時30分

ここ3年ほど、特掃で集団検診をおこなってきた。皆の健康に対する関心が高まり、検診を継続することが必要なことではあるのだが、今年からは、集団検診をすることができなくなった。

できなくなったのは、大学の先生たちの研究予算が無くなったからなのだが、だからといって、せっかく輪番就労者の間で健康に対する関心が定着しているのに、何も無しにすることはできないので、どのような方法で実質的な集団検診を実現できるか、考えてみた。

ひとつは、「市民検診」の活用がある。特掃での集団検診が始まるまでは、この方法で、健康管理を呼びかけていた。この方法の欠点は、一カ所で最大百人までしか受診できないこと。したがって、全員一斉にというわけにはいかない。

今一つは、医療センターを活用すること。医療センターも検診取り扱い医療機関になっている。医療機関の検診については、「必ず事前に電話等で問い合わせること」になっているが、輪番就労者が個々バラバラに問い合わせると、それだけで医療センターの事務に影響が出るので、調整が必要だ。

医療センターの活用については、現在打診中だが、萩之茶屋小学校での市民検診は、日が差し迫っているために、とりあえずお知らせしておく。

萩之茶屋小学校で受診するためのルール
  • ① 事前に、申し込みをすること。(予定では6月26日くらいから受付開始。先着百人までとします。)
  • ② 野宿している人、夜間宿所利用者などで検診結果を郵便で受け取れない人は、連絡先を釜ヶ崎支援機構とすること(西成区萩之茶屋1丁目5番4号)。
  • ③ 市民検診は、人によって有料の検査もおこなわれることがありますが、その場合は、釜ヶ崎支援機構で負担します(支援機構から立ち会いが一人、萩之茶屋小学校へ行きます)。

健康診断を毎年一回、繰り返し受けることで大きな病気の早期発見、予防に結びつけることができます。積極的に受診しましょう。


大阪市における高齢者特別清掃事業従事者の健康と生活

黒田研二らは、ホームレス者が多くを占める大阪市の高齢者特別清掃事業従事者を対象に、平成15年度~17年度の 3年間、健康診査と健康相談活動を実施した。そのデータを、平成15年度国民健康・栄養調査結果と比較するとともに、17年度受診者を野宿群と簡宿群に区分し、生活・健康状態の比較を行い、ホームレス者の健康実態を分析した。

ホームレス者は国民一般と比べて、(1) 身長、体重平均値からみて体格が小さく、やせの比率が高い、(2) 重度高血圧の率は 4倍程高い、(3) 低栄養状態にある人の比率が高い。

一方で、(4) 血糖値については糖尿病のおそれのある 140mg/dl以上の人の比率が 1割を超えている、(5) 肥満と区分される人もホームレス者の 2割ほどにみられ、血中脂質の値が正常範囲より高い人も 1~2割を占めている、といった課題が見いだされた。

野宿群を簡宿群と比較すると、野宿群では不眠、ストレスなどの問題を訴える人の比率が高い、食事内容が貧困で低栄養状態の率が高い、歯の状態にも問題が多い、胸部レントゲン判定で要医療者の率が高い、重症高血圧の率が高いなどが明らかになった。

一方、3年間、健診と健康相談の活動を継続することにより、ホームレス者において自分の健康状態、とくに血圧値に対する意識が高まって、高血圧治療を継続する人、血圧を自分で測定する人が増加した。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病管理や歯科治療のため、ホームレスであっても通院治療が保障される体制を作り出す必要がある。

無料低額診療事業のほか医療扶助の単独給付を認めるなどによって、柔軟に対応することが要請されている。

また、食の改善が必要であり、経済的貧困からくる食の欠損に対する食事供給の事業、食への意識を高め生活習慣病の予防を図る活動が求められている。-ホームレス者の医療ニーズと医療保障システムのあり方に関する研究/平成17年度 総括・分担研究報告書よりー


NPO法人 釜ヶ崎支援機構お仕事支援部が発行する登録カードについて

西成労働福祉センターが発行する輪番就労の登録カードと、釜ヶ崎支援機構お仕事支援部が発行する登録カードとは、全く別のものです。そんな分かり切ったことを、改めて確認するのは、「登録したんだから、仕事紹介するだろう、現金仕事、それはいつ?」との期待が大きすぎるからです。確かに、お仕事支援部では、本当にまれに現金仕事を紹介していますが、登録者全員が輪番で回せるような仕事は少ないし、仕事の量も限られています。誠に心苦しい状況ですが、ご理解ください。

釜ヶ崎支援機構は、無料職業紹介所ですが、現金仕事を紹介するところではありません。日雇、建設土木以外の仕事を探すお手伝いをするところと理解してください。

生活保護申請を前提としたお仕事探しのお手伝いもしています。どしどし活用してください。


告知:釜ヶ崎支援機構事務局長 松繁逸夫は、6月20日付でNPO釜ヶ崎を退職いたしましたのでお知らせします。