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NPO釜ヶ崎 現場通信 6号

仕事の評価 ‐ きれいになったプールに歓声

夏までにきれいにしなければと、みんなで頑張ってもらったプールのペンキ塗り。子ども達から感謝の絵が届きました。

プールの仕事は、古い塗装をはがす体力と忍耐のいる作業や、塗り面積が広いので、塗り始めたら途中で止めることができない時間に追われるせからしさなどから、ともすれば敬遠されがちですが、そんな仕事の過程を見ていた子ども達の、きれいになったプールを見ての喜びと作業に携わったみんなへの感謝の念は、ひときわ大きかったようです。

子ども達の絵は3枚あるのですが、紙面の都合上一枚だけ紹介します。絵には所長さんの、お礼と励ましのお便りが添えられていましたので、一緒に紹介します。

暑さが続きますが、体に気をつけて、子どもたちに喜びを与える仕事を!

子供たちが描いた絵

プールをきれいにして下さって有難うございました。

梅雨のあいまの太陽の下、ギラギラとてりつける中で、汗びっしょりになってお仕事をして下さる姿に、本当に感謝しています。

夏のプール今年はすてきなおもいでができます。

子供達共々、感謝しています。

又、これからも、お身体に気をつけて、頑張ってください。

所長 さいとうまゆみより


65歳以上対象のアンケートの理由は何?

毎日支払われる賃金の袋に、白い紙がつけられているのとそうでないのがある。その違いは何かというと、年齢である。輪番で働く仲間の内65歳以上の人限定でアンケートに協力してもらっている。

アンケートの内容は簡単で、現在の寝場所=アパートであるか野宿であるか、夜間宿所を利用しているか。そして収入源=年金、生活保護、アルミ缶収集など。最後に、相談したいことはあるか=居宅保護、医者にかかりたい、入れ歯が欲しいなど。

なぜこんなアンケートを行っているかというと、輪番の仕事だけでは飯が食えないからだ。

釜ヶ崎反失業連絡会を先頭に、大阪府庁前の公園で野営闘争を行い、仕事が拡張されるめどは立ったが、しかし、みんなが飯を食べれるほどではない。ではどうするか。仕事が増えないのであれば、輪番に頼る仲間を減らせば、相対的に仕事は増えたことになる。現在登録している2,815人が、2,000人になれば、仕事につける回数は増えることになる理屈だ。

仕事が駄目なら福祉があるさ、というわけで、65歳以上の仲間については、「就労自立」ではなく「福祉自立」をめざしてもらうことにし、輪番労働からは卒業してもらう。結果として、就労にくる仲間が減り、就労回数が少しでも増える仕組み。65歳以上の仲間については、比較的容易に「福祉自立」の道を選ぶことができる(この年齢制限が正当なものといいがたいことの論議は今置いといて、現状での可能な選択肢として)。

本人の希望や体調をよく考え、話し合って、入院や施設入所、アパートを借りての生活保護(居宅保護)などによる「福祉自立」をめざしてもらい、実現する。野宿よりましな生活になる仲間を増やし、「福祉自立」を達成した仲間には輪番就労を遠慮してもらう。 労働者の誇りを守り、働いて収入を得て生き続けることが、多くの仲間の望みであるとは思うが、当面、「福祉自立」の仲間にはあきらめてもらわなくてはならない。65歳に達しない仲間で野宿を強いられている仲間は、生き死にの境に、未だ留まらなければならないのだから。

「福祉自立」を少しでも手助けするためにアンケートをはじめた。65歳以上限定の相談受け付けで心苦しいのだが、NPO釜ヶ崎の力はまだ弱いので、今のところは許してもらいたい。65歳以上の仲間は「福祉自立」を目指し、輪番就労から卒業しよう。

生活保護(居宅保護)を受給している仲間も働きたい事だろうと思う。それは、収入の多少なりの増加をめざしてという事であるだろうし、多くの仲間と一緒にいたいと言う事であろうと思う。しかし、考えて欲しい。より弱い立場の仲間のことを。

「福祉自立」をした仲間が、孤立しないようにしなければならない、という課題もある。輪番就労を卒業するわびしさ、寂しさをどのようにして補うのか。真剣に考えなければならないが、今のところ、NPO釜ヶ崎では担いきれない。まず、多くの仲間がメシにありつける状態を細々と目指すのみ。御理解を。