NPO釜ヶ崎 現場通信 93号
石綿被害はどこまで拡がるのか
仕事であつかったことのある人は注意しましょう
今年の 6月末に、尼崎市にあるクボタ周辺地域でのアスベスト(石綿)による住民への健康被害(ガンのひとつである中皮腫などの発症)が明らかにされて以来、国民の間でアスベストに対する不安が高まっている。政府も労働災害の認定基準を緩和したり、来年の通常国会に被害者救済を柱にした新法を提出するための作業にはいっている。
もちろん、釜ケ崎の労働者・輪番の人たちも不安だと思う。なぜなら、日雇で建物の解体やはつりの仕事をしたり、また、過去にアスベストを扱う仕事に従事していた人たちも多いからだ。特に建設労働とアスベストの問題は切り離すことができない。7月以来、西成労働福祉センターには相談がいくつか寄せられているようで、NPO釜ケ崎にもわずかではあるが「昔仕事でアスベストをあつかったので不安だ」などの相談が寄せられている。
アスベストによる健康被害は、曝露してから 15年から 50年ほど経ってからあらわれてくる場合が多い。日本のアスベストの輸入量を見ると、これから健康被害があらわれてくる人はますます多くなる。環境省の予測でも、アスベストによる中皮腫と肺がんの患者は、今後 8万 5千人にも上ると発表されている。国には、しっかりと健康被害者を救済でき、今後曝露する人が出ないような抜本的な対策法の制定を、解体等の企業・業者には、働く労働者や周辺住民が被害にあわないよう、しっかりとした安全対策をとって作業をするよう望みたい。
「専門の相談窓口を知りたい」などは、西成労働福祉センターか、NPO釜ケ崎でもご案内します。
生活保護申請その前に
年金などの確認をしてみては?
3ヶ月前に、住民票のある住所に年金の裁定請求書を送付するサービスを始めた。もちろん、送ってきた裁定請求書を使わなくても、裁定請求はできる。受給権ができる人とは、例外はいくつかあるが、大まかにいって国民年金と厚生年金などを合わせて 25年以上保険料を払うか免除を受けるかしていた人、または厚生年金などに 20年以上はいっていた人だ。受給権があってそのうち 1年以上厚生年金に入っていた人については、60歳になる 3ヶ月前に裁定請求書が送られてくることになる。
もらえる額は、生れた年によっても、入っていた年数や給料によっても違うが、何らかの生活の足しになるはずだ。もちろん生活保護を受けても、年金の受給資格があれば、年金で足らない額のみが保護費として支給されるから、保護を受け始めてから年金の手続きをしなければならないことになる。
ただし、気をつけなければならないのは、この裁定請求書が送られてくるのが、住民票があるところだということだ。自分の知らない間に他人に年金が支払われていたということのないように、受給資格がありそうだという人は、① 60歳になる直前に住民票のあるところに裁定請求書がきていないか確かめてみる、②その前に住民票を安心できるところに移転し、社会保険事務所に届けておく、③受給年齢になれば、最寄の社会保険事務所で自分の年金の裁定請求がされていないかどうか確認する、などの対策が必要かもしれない。