NPO釜ヶ崎 現場通信 90号
新規登録の減少と「再登録せず」の増大
2005年度輪番登録終了
登録者数 2,784人(前年比 10.2%減)、1日就労数 191人+24人(前年比 14%減)
既に承知のように、今年の登録が終わった。何番まで伸びるだろうかと、多くの仲間が注目していたが、昨年の登録数を下回った。これは、再登録しなかった仲間が昨年より 174人多く、新規登録の仲間が昨年より 349人少なかったことによる。引き続いての登録は昨年より 33人多かったにとどまった。
再登録しなかった仲間は、飯場から帰れなかった、病院や路上・公園で亡くなったなどの他、生活保護生活に移行した仲間が多く含まれていると考えられる。今年も、60歳以上の仲間は、積極的に野宿からアパート生活への移行・生活保護制度の活用を考えてもらいたい。残念ながら、輪番就労の現状は、生活を支えるに十分な収入をもたらすことができず、輪番就労やアルミ缶集めでの野宿生活は、死を早めるばかりだから・・・。
新規登録の減少は、昨年、今年の 3月まで割合に仕事があり、もう少ししたらまた、の期待感があると思われること。また、国の予算(雇用創出基金)が無くなることから、輪番就労の存続、あるいは就労数の大幅減少が予想され、事業に対する不安が拡がっていたことが考えられる。
実際には、大阪府・市の予算によって、就労数は若干減少したが、輪番就労は存続することができた。そのことは 4月以降の事実として、多くの仲間は知っていたはずであるが、先に書いたセンター求人への期待と輪番就労への不安、期待感の薄れが相まって、新規登録が減少したものと思われる。
年齢区分 | 新規登録 | 継続 | 合計 | 未登録 |
---|---|---|---|---|
55未満 | 11人 | 6人 | 17人 | 2人 |
55-59 | 401人 | 812人 | 1,213人 | 233人 |
60-64 | 171人 | 1,036人 | 1,207人 | 450人 |
65-69 | 32人 | 240人 | 272人 | 225人 |
70以上 | 11人 | 64人 | 75人 | 32人 |
総計 | 626人 | 2,158人 | 2,784人 | 942人 |
55未満 | 1.8% | 0.3% | 0.6% | 0.2% |
55-59 | 64.1% | 37.6% | 43.6% | 24.7% |
60-64 | 27.3% | 48.0% | 43.4% | 47.8% |
65-69 | 5.1% | 11.1% | 9.8% | 23.9% |
70以上 | 1.8% | 3.0% | 2.7% | 3.4% |
総計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
平均年齢 | 58.4歳 | 61歳 | 60.4歳 | 62.1歳 |
年齢区分 | 新規登録 | 継続 | 合計 | 未登録 |
---|---|---|---|---|
55未満 | 11人 | 5人 | 16人 | 5人 |
55-59 | 582人 | 780人 | 1,362人 | 200人 |
60-64 | 317人 | 1,054人 | 1,371人 | 348人 |
65-69 | 52人 | 234人 | 286人 | 184人 |
70以上 | 13人 | 52人 | 65人 | 31人 |
総計 | 975人 | 2,125 | 3,100人 | 768人 |
55未満 | 1.1% | 0.2% | 0.5% | 0.7% |
55-59 | 59.7% | 36.7% | 43.9% | 26.0% |
60-64 | 32.5% | 49.6% | 44.2% | 45.3% |
65-69 | 5.3% | 11.0% | 9.2% | 24.0% |
70以上 | 1.3% | 2.4% | 2.1% | 4.0% |
総計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
平均年齢 | 59歳 | 61歳 | 60.7歳 | 63歳 |
年度 | 登録者数 |
---|---|
1999年度 | 1,966人 |
2000年度 | 2,815人 |
2001年度 | 3,303人 |
2002年度 | 2,821人 |
2003年度 | 2,893人 |
2004年度 | 3,100人 |
2005年度 | 2,784人 |
輪番就労の先行きとセンター求人の動向は…。
それでも避けられぬ高齢化への備え
では、輪番登録者数は、来年以降も減少し続けるかというと、そうは考えにくい。センター求人が、今年の 3月のような状況で、梅雨明け以降安定して推移するとは考えにくい(そうなればとっても嬉しい、多くの仲間が助かる。)し、「2007年問題」もある。
「2007年問題」とは、戦後のベビーブームに生まれた人々、いわゆる団塊の世代が、60歳の定年を迎え、生産現場から離れることから予想される生産能力の低下、社会保障費の増大などなどを指す。
右のグラフは、佐世保工専の牧野先生のホームページから借用した年齢 5歳刻みの人口ピラミッドのグラフである。推計値であるが、それによると、人口の中で占める割合は 55歳から 59歳が最大であることがわかる。
新規登録を細かく年齢でみると、常に 55歳が最大のグループを成している。今年の場合は、55歳が 188人、56歳が 79人、57歳が 56人となっている。昨年は、55歳が 131人、56歳が 184人、57歳が 117人だった。それからすると、輪番登録者の最大の増加要因の山は越えたように思える。しかしながら、新規登録者の平均年齢が 58歳を超えていることを考えると、釜ヶ崎の輪番就労においても「2007年問題」は無関係とはいえないように思われる。新規登録の最大年齢グループが 60歳前後となる年が・・・。ようするに、輪番就労の維持・拡大の必要性はますます大きくなるということだ。
そのためには、大阪府・市の予算を当てにするだけではなく、国の予算確保が欠かせない。今、開会中の国会にも対策予算確保の請願を提出しているが、なんとしてでも実現させなければならない。
一方で、従来の清掃や除草以外の仕事、たとえば 4月におこなった宝塚市の広報紙の 9万部各戸配布のような仕事を、開拓していかなければならない。広報誌の配布には 300名を超える仲間が働いた。
就労支援センターも近く開所する。輪番就労の拡大を目指すことを基本とするが、就労での経済的自立を確保するためには、別の仕事の確保も必要だ。