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NPO釜ヶ崎 現場通信 117号

特別清掃はどう役立っているかを考える。(2)

8月の「現場通信」では、「特別清掃はどう役立っているかを考える(1)」で、5月の特掃アンケートの結果を基に考えてみました。今回はその続きとして考えてみます。

まず収入の状態ですが、4月の収入が 2万円以下の人が 53.7%と半数を占め、5万円以下の人だと 86.8%に達しています。2万円以下の収入では、炊き出しなどとあわせても食べるのにも事欠く状態、5万円以下だと簡易宿泊所に泊まって暮らすのも十分にできない状態ということができます。きわめて厳しい状態であることはひと目で分かります。そのため、4月にシェルターに泊まったことがあるという人も 1422人の回答者のうち 750人と過半数に達し、毎日シェルターということでなくても、「シェルター・特掃・炊き出し」という生活スタイルからどうやって抜け出して畳の上に上がるかが、「自立支援法」の制定後 5年たってもいまだに最重要の課題であることが、あらためて見えているといえます。

しかし、こうした現状にあっても、特掃従事者においては、「このままの生活でよい」と答えた人は 9%しかおらず、今年 1月におこなわれた「全国調査」で示されている「今のままでよい 18.4%」よりも大幅に少ないという結果が表れています。現状にあきらめてしまわない意欲を生み出していると言え、これもまた特掃の成果のひとつであるということができます。

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「野宿経験の有無」については、88.1%の人が野宿経験があります。「ない」と答えた人は 11.9%に過ぎず、2004年 5月の調査の 15.3%より少なくなっています。ただし「毎日」野宿している人は全体数での比率で見れば 24.6%と、04年の 31.2%より減っており、これは昨年 8月の調査からよりも「テント・小屋」が 15.4%から 10.4%へと減少(04年とは聞き方が違うので比べにくい)していること、簡易宿泊所も利用した人が 30.7%(昨年 8月)から 33.1%へと上昇しているのと対応しているといえます。「テント・小屋せずに野宿」が 20.3%から 15.0%へと減少、「シェルター」が 44.8%から 52.7%への上昇というのは、季節での利用形態の変動の範囲であるといえます。「固定的な野宿」は減っても、逆に「流動的な野宿」は広がっているのかもしれません。

「釜ヶ崎に来てからの年数」では、04年の「平均 16年 6ヶ月」から「平均 18年 2ヶ月」へと、まる 3年で 1年 8ヶ月伸びています。

「結核健診」については、「今年とった 31%(04年 25%)」「昨年とった 49%(04年 45%)」と、昨年 8月の調査と同じく 8割の人はおおよそこの 1年のうちに健診を受けており、結核健診受診は定着しつつあるといえます。グラフグラフ