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NPO釜ヶ崎 現場通信 129号 (発行:2009/1/5)

謹賀新年

きびしい2009年がはじまった。去年の9月にアメリカのリーマンブラザーズ証券の破綻ではじまった世界中での急激な景気の後退の波が、日本にも釜ヶ崎にも波及し、今年はその影響が本格的にあらわれてくるといわれている。

27年前の92年に仕事が大幅に減り、たくさんの労働者が路上に投げ出された釜ヶ崎の状況が、バブル崩壊不況のはじまりだったとするなら、今度は派遣や非正規の労働者の解雇からはじまっている。かつては、最も不安定な生活にあった日雇労働者が、まっさきに雇用と住まいから捨てられたが、今度は不安定ではあっても釜ヶ崎の労働者よりは安定していたはずの人たちが捨てられている。日本がそれだけ使い捨て社会になっていることの証だ。この影響は、かならず中小零細企業の倒産・リストラ、もともと不安定な日雇派遣や建設日雇でのもっと深刻な失業や、野宿生活者が就労によって野宿から脱却することがもっと難しくなることとしてあらわれてくる。

影響は、かならず社会のより下へ下へとおしよせ、下へいくほどより深刻になっていく。いま取り上げられている「派遣切り」が一段落して世間が忘れていった頃、仕事をうしない住むところをうしなった人たちが、実は大量に生み出されているのかもしれない。時は待ってはくれない。ほうっておけば、90年代末を上回る大ホームレス化時代がやってくることはまちがいない。国も大阪府も大阪市も、90年代の釜ヶ崎労働者の悲劇を教訓として、早急で大規模な対策をおこなってほしい。いまや55歳以上の高齢日雇労働者だけの問題ではない。すべての年齢層で、しかも建設日雇層だけでなく釜ヶ崎だけでなく、派遣や非正規などの不安定就労や失業から住まいをうしなって、大阪市内・府内の路上やネットカフェなどにいざるをえない人たちや、その直前にいる人たちもふくめた、大規模な就労事業をつくりだす必要がある。

「屋根と仕事」の要求は、新しい装いをもって、多くの働く人たちの要求にならざるをえない切実さが増している。
特掃事業など、これまでの釜ヶ崎での行政対策は十分にそのモデルになりえる。


11月・12月シェルター入所者が増加。南港臨泊入所者は2006年度水準に戻る。
今年の釜ヶ崎はどうなっていくのだろうか。

昨年10月・11月の現金求人数は、西成労働福祉センター調べで、10月前年度比14.4%減・前々年度比26.1%減、11月前年度比12.7%減・前々年度比29.2%減と、大きく減っている。

シェルターの入所者は、11月で1日平均106人(16.9%)、12月も107人(18.0%)増えている。南港臨時宿泊所の入所者数は、03年の2356人から年々減り、昨年は1210人にまでになったが、今年は114人増えて1324人と、06年の1320人の水準にもどった。

アルミ缶買取価格も夏場の3分の1になっている。

生きのびるための自衛策はなにか。特別清掃登録者の年齢からいえば、生活保護を土台にするしか方法がなくなりつつある。「就労自立」をめざそうにも、ますます就職がむずかしくなってきているからだ。日雇もアルミ缶も食っていけるほどの稼ぎにはなりにくくなっていっている。就労努力やパート就労とあわせた生活保護運用のより柔軟化が釜ヶ崎で求められている。できるだけ働きながら、たらない生活費の土台を生活保護で支える施策が、50歳代後半以降では必要だ。

そのいっぽうで、特別清掃事業は、55歳未満枠もつくって、より下の年齢にも拡大する必要がある。高齢日雇労働者は就労+生活保護、それ以下の年齢の人は就労・技能講習+住居提供という施策をとる必要がましているといえる。

センター一日平均現金求人数
  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
2006年度 1,952 1,737 1,934 2,160 2,646 2,588 2,493 2,531 2,737 2,405 2,731 2,614
2007年度 1,663 1,409 1,555 1,855 2,198 2,254 2,151 2,052 2,077 1,724 2,348 2,123
2008年度 1,677 1,691 1,634 1,884 1,760 1,810 1,841 1,792        
シェルター一日平均利用者数
  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
2006年度 873 934 846 707 582 644 631 623 574 578 551 581
2007年度 869 886 796 670 516 566 639 622 595 610 582 644
2008年度 860 855 825 632 547 630 662 727 702