NPO釜ヶ崎 現場通信 125号
大阪府の本格予算案(6月24日発表)、
特別清掃は8月以降も現行で維持の見通し。
6月24日、大阪府の平成20年度本格予算案が発表され、7月23日までの日程で府議会が開かれている。一般会計と特別会計を合わせた予算規模は、4兆1547億3400万円と、前年度に比べて1435億4200万円の減少となっている。特に「一般歳出ベース(公債費、税関連支出、繰上充当金を除く歳出合計)では、前年度当初比11.6%・2859億円の削減になっている。
だが、特別清掃に関する予算は、NPO釜ヶ崎にかかる分で2億4000万円と、前年度と同じ、昼からのセンター内清掃にかかる分も登録労働者の人件費にかかる分は削減なしと発表されている。予算案は7月の府議会で決定されるため、まだ確定とは言い切れないが、とりあえず8月以降も今年度は、大阪市の分を合わせて現行の輪番紹介1日196人、センターガードマン26人、合計222人の枠は維持されたといえる。
全体予算大幅削減の中にあって、釜ヶ崎の高齢日雇労働者や高齢野宿生活者の命ぎりぎりの生活を支える特別清掃事業は削ることができないと判断した大阪府の決断は評価したい。これによって、大阪府にならって特別清掃の予算執行を7月末で凍結している大阪市も、8月以降の予算執行に踏み込むだろう。
しかし他方で、同じ商工労働部予算である「JOBプラザ」(「厳しい雇用環境におかれている障がい者、高齢者等の就職困難者を対象に、相談、カウンセリングから職業紹介まで一貫した支援サービスを提供」)などが大幅に削減されている。「まず削減ありき」の姿勢に見えてしまう。セーフティネット関連予算はどうすべきなのか。
橋下知事には、釜ヶ崎に視察に来て、労働者のおかれている現状をしっかりと見てほしいと同時に、大阪府民の中からホームレスにならざるをえなくなる人が生み出されないように、抜本的なセーフティネット整備を進めていただきたいと思う。
体がおかしいと思ったら、我慢せずにすぐ病院
-お金・保険証がなくても病院にはかかれます-
今年の4月から北シェルターと禁酒の館で生活改善事業を始めた。この事業の目的は、野宿を余儀なくされている仲間を一人でも野宿から抜け出すための支援を行うこと。具体的に何をしているのかというと、月に2回、健康相談・生活相談・就労相談など相談全般を行っている。
ただ悔やまれることが6月30日にあった。北シェルターで6月16日相談を受けた仲間(Sさん)が、病院で亡くなった。Sさんは、63歳の男性で、シェルターの列に並んでいるとき、特掃の指導員がビラを渡しながら声をかけていたところ、「足がむくんで、しんどい。」 それなら健康相談を受けたらどうかとすすめる。Sさんの話をきくと、体調がおかしいと思い出したのは20日以上前からで、咳、痰があり、息苦しいので結核検診を6月3日に受けた。そのときは肺に影があるが古いものなので、治療は必要ないと言われ、しんどいのに何もしてくれなかった。その後、足のむくみはひどくなり、腰までむくみだしたのが数日前。実際、Sさんの足をみたNPOスタッフ、医療関係者はその足のむくみにおどろき、「救急車を呼んで」と説明したが、翌日病院に行くということで社会医療センターあての紹介状を書いた。
翌日Sさんは病院に行って、すぐ入院になった。すでに歩ける状態ではなく、車いすで移動しなければならないぐらい衰弱していた。病名は①肝硬変、②腎不全、③心不全、④大動脈弁逆流だった。
葬儀は行われたが親族がみつからず、関係者は参列したが、Sさんが、どこの出身で、どのような仕事につき、いつ釜ヶ崎に来たのか、Sさんのことを知っている人間は一人もいなかった。もう少し早くに病院につなげられたらと思うと、申し訳なく、残念でしかたがない。