ホーム > 各種発行物 > 現場通信

NPO釜ヶ崎 現場通信 131号 (発行:2009/4/1)

今年度は、登録者数1746人で出発。
1日就労者数は、とりあえず196人+ガードマン26人。
夏前から国の緊急雇用創出基金で増える可能性もあるが・・・。

今年度も、特掃は昨年度と同じ1日就労者数で始まった。登録者数は、1746人で昨年よりも69人減っての出発だ。しかし、まだ4月に4回(7日・14日・21日・24日)登録日があるので、おそらく昨年並みか少し減ということになりそうだ。

やはり10日に1回か1週間に1回という順番はさほど大きくは変化しそうにない。しかし、更生相談所での居宅保護や施設入所などの生活保護への入り口は、60歳未満であってもかなり広くなっているので、特掃登録者のすべての年齢で、生活保護を活用してシェルターや野宿から抜け出すことが、かなりやりやすくなっている。

もちろんいまは、生活保護施策自身が「居宅保護か施設か」という二者択一ではないので、一時保護所から居宅保護へ移ったり、施設から居宅保護へ移ったりというのも積極的におこなわれている。だから、一時保護所に行ったからといって居宅保護が遠のくということはない。自分では気づかなくても、「アルコール依存」とか、金を持ったらパチンコやボートに使ってしまうという「ギャンブル依存」という病気になっている場合もある。何がなんでもすぐ居宅保護というよりも、その前に一時保護所などで検査や治療をし始めたほうが、その後の居宅保護での生活を安心してやっていける場合も多々ある。自分で更生相談所の窓口に相談しに行くのもいいし、わからないことがあれば事務所のスタッフに聞いてくれるのもいい。

また、国の緊急雇用創出基金事業は、今年度4月からすぐには動き出してはいないが、大阪府のホームページでは「あいりん地域高齢日雇労働者就労機会確保対策事業」というのが発表されている。雇用人数などは発表されている数と変わる可能性は十分あるし、どのような形(輪番でまわるのか、ガードマンのように数日間継続する形なのかなど)でおこなわれるのか、いつから開始されるのかは、まだ決まっていないようだが、夏までにはじまる可能性はある。特掃も、輪番就労とガードマン(連続3日)と、もうひとつ別の就労の形という3つの形ができるかもしれない。しかし、とりあえずは例年通りの出発である。例年よりもはるかに厳しい4月・5月・6月を、何とか乗り切っていかなければならない。


シェルター利用者調査(2月7日)、年齢は拡散傾向に。
「派遣切り」が言われているが、実は日雇労働者の割合が増えている。

今年2月7日にシェルター(あいりん臨時夜間緊急避難所)で利用者(宿泊者)の調査をおこなった。その日の9時時点の宿泊者数は665人(券受取数は718人)で、535人が回答してくれた。1月に特掃で働いた人は、1月に収入があった人405人のうち216人で53%、全体では500人(収入なしと答えた人が95人)のうち43%だった。

利用者の平均年齢は57.5歳で、前回(07年10月)の調査の57.7歳とさほど変わっていない。年齢構成は55~64歳が前回より6.3%減って63%になったが、その分50~54歳と65歳以上が増えている。シェルター利用者が特掃登録者への集中型から、全年齢への分散型に変化してきているのだろうか。

いま「派遣切り」ということが言われているが、シェルターに限ってはシェルター利用前(野宿前)の直前職が「日雇」という人の割合が増えている。釜ヶ崎の日雇仕事も1~2年前に比べて3~40%減っているし、アルミ缶の値段も昨夏の4分の1の値段にまで下がっている影響がもっとも大きいと考えられる。

またシェルター(野宿)前の最終の就業地では、近畿が80%、そのなかでも大阪府が圧倒的に多く、全体の72.7%・約4分の3を占めている。失業して寝場所を失った人たちが他府県・他地方から流れこんできているというよりも、釜ヶ崎の労働者と、もともと大阪で働いていた人たちが、野宿になってシェルターを利用しているということだと考えられる。

宿所利用者年齢グラフ

宿所利用者年齢
  40未満 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70以上
2007年10月 1.0% 3.9% 6.1% 12.5% 31.4% 37.9% 6.4% 0.8%
2009年2月 1.6% 4.1% 6.2% 14.8% 28.8% 34.2% 8.4% 1.9%

宿所利用者雇用形態

宿所利用者雇用形態
  正社員 契約社員・派遣社員 パート・アルバイト 日雇い その他
2007年10月 14.8% 12.1% 5.6% 65.8% 1.7%
2009年2月 13.3% 6.0% 4.9% 74.8% 0.9%

宿所利用者の最終就業地

最終就業地
各地 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州
8.9% 0.3% 0.0% 4.0% 3.4% 80.5% 1.4% 0.3% 1.1%

最終就業地 - 近畿圏内

最終就業地 - 近畿圏内
大阪 兵庫 京都 奈良 和歌山 三重
253 19 11 2 3 1