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NPO釜ヶ崎 現場通信 113号

2007年度の特掃登録者数は2372人。去年より158人減。
すでに生活保護受給中で登録取り消し者41人。
実数 2331人で出発しました。

今年度の登録も終わり、登録者数が確定しています。今年度は登録者総数は 2372人で表向きは去年より 158人減っています。登録・切替時点ですでに生活保護(居宅保護)を受けていてすでに登録取り消しになっている人が 41人いますから、実数は 2331人での出発です。

昨年度は 2530人が登録しましたが、そのうち生活保護受給者が登録時点で 147人いて実数は 2383人ですから、実際は 52人の減少です。

平均年齢は 60.6歳であり、昨年度の 60.3歳から少しあがっていますが、徐々にではあれ年々 55~ 59歳の占める割合が高くなってきています。就労支援策としての特掃本来の姿に近づいてきているともいえます。

来年度に向けて解決すべき課題となるのは、ひとつは 65歳(特に 70歳)以上の人の登録の問題です。これはもう全般的な高齢者対策の問題であり就労自立を支援するための特別清掃に負わせるべき役割ではありません。もうひとつは様々な理由で居宅保護を打ち切りになった人の登録の問題です。居宅保護になるにはそれなりの年齢・病気等の問題があるのであり、「居宅保護が打切りになったから特掃の収入で」というのは、よい意味での「福祉から就労へ」ではなく、逆の意味になってしまいます。あとひとつは、特掃就労から次のステップアップをどう図るかという問題です。これらの問題をクリアしながら来年度の特掃継続を目指す必要があります。

登録者の年齢割合
年齢 人数 割合
75歳以上 10 0.4%
70~ 74歳 54 2.3%
65~ 69歳 279 11.8%
60~ 64歳 939 39.6%
55~ 59歳 1,083 45.6%
54歳未満 7 0.3%
合計 2,372 100.0%

 


国の「ホームレス全国調査」の結果が4月6日に出ています。

野宿している人の総数は減少しているが、一方で野宿の長期化と高齢化が顕著になってきている。野宿脱出のための多様な選択肢が必要です。

今年の 1月に厚生労働省が全国で実施した 2回目の「ホームレスの実態に関する全国調査」の結果が 4月 6日に公表されている。2002年に制定された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」に基づく 2003年 3月の第 1回調査に続くものです。

全体の数では、全国で野宿生活を余儀なくされている人は 18,564人と、前回調査よりも 26.6%減っており、大阪市では 4,069人と 38.4%も減った数値となっています。大阪市の減少率のうち「公園」が 56.1%減少と最も高く、「道路」が 38.8%減少であった。公園でのテント・小屋が減ったが、その人たちが果たして「施策の効果」として「就労自立」や生活保護移行によって、野宿生活から抜け出すことができたことによるものなのかは非常に疑問が生じる。もし、テントを張りにくくなった、自立支援センターに入ったがうまく就職できなかったなどの理由でまた野宿をしているが、公園ではなく道路上で寝泊りしなければならない人が多くなっているとするならば、調査ほどは実際には減っていず、また不安定な寝場所の人の割合が増えていることになる。

また、前回調査時に比べて 54歳未満層の割合が減っているのに対して、55~ 64歳層が増えており、また野宿期間 1年以上 3年未満が 16.8%と前回より 25.6%減っているのに対して、5年以上層が 41.4%と前回より 17.4%も全体に占める割合が増えている。野宿から短期間で抜け出せる人への支援策や生活保護による施策の効果はある程度表れているが、逆に野宿生活から抜け出せない人はますます抜け出しにくくなっているということになる。「就職自立」か「生活保護」かという選択肢のみではなく、その間をつなぐ就労支援・居住支援策が求められているといえる。