ホーム > 各種発行物 > 現場通信

NPO釜ヶ崎 現場通信 112号

3月末までの特掃登録者数は1963人。去年より111人減。

うち、新規登録者数220人で、去年より30人減。生活保護調査の結果か。
昨年度生活保護受給による登録抹消者は452人。
今年度就労人数は196人で14人減

今年度の特掃の登録者数は、3月末まででは 1963人となり、去年より 111人少なかった。そのうち新規登録者は 220人で去年よりは 30人少なかった。まだ 4月中には毎週金曜日に 4回登録の受付日があるため、最終の登録者数はわからないが、現時点では全体で約 5%、新規で 12%減っている。新規登録者が 1割減ったことの原因が、支援団体の建物に住民登録できなくなったことの結果であるかどうかはまだわからないが、原因のひとつが、生活保護の受給者に対する登録抹消が昨年度 4回・計 452人に対しておこなわれたことにもあるのは確かだ。生活保護を受けているのにそれを隠して特掃に来ることができなくなったから登録しても仕方がないということだ。特掃本来の目的に近づいたといえる。

しかし、他方で上限年齢の問題は残されたままである。今年度も 70歳以上の登録者が 59人、65歳以上が 242人、合計で全体の 15%を占めている。いくつになっても国の世話にならずに働き続けたいという気持ちはわかるし、年金等が保護基準以上あるので生活保護は受けられないが、健康保険・介護保険料などを支払わなければならないので苦しいからという人もいるのもわかる。

しかし、特掃というのは一般的な高齢者対策事業ではない。野宿せざるを得ない、あるいは野宿する可能性が高い状態におかれている人に対して就労機会を提供する事業である。それは生活保護を受けられるが受けたくないから、生活保護を受けられない年金額であるから、また高齢であるが事情があって生活保護を受けられないから、という人に対して生活保障のために就労を提供するという性格のものではない。これらは本来特掃とは別の高齢者施策としておこなわれるべきものである。

また、さまざまな事情によって生活保護が打ち切られてしまったから特掃にまた登録したという人もいるが、生活保護を受けるようになったのには年齢や病気等の事情があったのだから、その事情が解消されることなく生保が切られたから特掃でというのもどこかおかしい。病気・ケガなどが、就労できる状態にまでは回復していない、あるいは高齢で一度特掃から引退した状態でありながら、生保が切られたから特掃に就労するというのも、特掃が生保打切り後の生活保障策となってしまって就労事業としての趣旨に反することになる。

何か口うるさいことになってしまうが、特掃事業を守っていくためには、事業の目的・趣旨をはっきりさせて、それに合致した就労をしていかなければならないからだ。来年度に特掃がどうなるかは今まったくわからない。必要な人に必要な施策を行わせていくためにも、それぞれの自覚した行動が特に必要な年であると思う。