平成27年度福祉医療機構社会福祉振興助成
「社会的つながり活性化仕事・居場所づくり事業」シンポシオン
「仕事づくり・居場所づくりの涯てまでも」
Until the End of the Supportive Action
安定した仕事と豊かな生活とをあきらめなければならない時代に入り、社会福祉を基礎から考えなおすときが来ました。こうした世界の変容過程で、ソーシャルビジネス(SB)が、「社会的に重要な仕事」として注目されるようになりました。このシンポシオンでは関西のSB界を破壊的理念に基づき牽引していく方々をお呼びして、美談や成果はとりあえず置いておき、現場と経営のたのしい苦闘とそこから見たこの世界の制度・文化の涯てるところについての洞察を発表いただきます。
日時:平成28年3月25日(金)
18時30分開場、19時スタート 一応の終了21時10分。以後交流会。
場所:Kama Pub(大阪市西成区太子1-4-2 新今宮駅 動物園前駅すぐ)
入場料:無料。飲食をしたい方は店にご注文ください。
[スケジュール]
18:30 写真でふりかえる「社会的つながり活性化仕事・居場所作り事業」
19:00 シンポシオン スタート
19:05~19:25
「農業分野における仕事づくりから見えてきた課題―労働者参加の困難性」
綱島洋之さん(大阪市立大学都市研究プラザ)
19:25~19:45
「弘前ワークチャレンジプログラム~茄子と林檎の不思議な関係」
田岡秀朋さん(株式会社ナイス)・四井恵介さん(どっぷり昭和町事務局長)
19:50~20:10
「ミッションと行動指針と戦略どおりに動く」
田中俊英さん(一般社団法人office ドーナツトーク)
20:10~20:30
「地域の弱者を支える、『チャリティーショップ』という事業」
西本精五(NPO法人フリーヘルプ)
20:30~20:50
渡邊太さんからコメント
(大阪国際大学人間科学部心理コミュニケーション学科専任講師)
20:50~交流会
トーカー(1)
「農業分野における仕事づくりから見えてきた課題―労働者参加の困難性」
綱島洋之さん
大阪市立大学都市研究プラザ 特定非営利活動法人 釜ヶ崎支援機構
(プロフィール)
幼少のころから生物に興味を持ち、大学に進んで生物の研究をしたいと思うようになる。高校のクラスメートなどからは「お前は研究する方ではなくて研究される方だろ!」と言われた。その指摘は正しかったのではないかと、今になって思う。大学で釜ヶ崎などとの出会いを経て生物学の世界から離れ、現在は「アクションリサーチ」という形で農業分野での仕事づくりを試みているが、私がこの研究を始めようとしたときは、研究対象になるような事例がないので自ら事例を作るしかなく、いつの間にか私自身が研究する側というよりもむしろ研究される側としてふさわしい立場になっていったような気がする。大学院生時代にインド少数民族の農村でフィールドワークを行い研究結果を単行本として出版したが、売れたという話を全く聞かない。2010年から神戸大学で非常勤研究員を務めていたが2013年度末で任期が切れたときに、どこの大学も採用してくれなかったので、仕方なく釜ヶ崎支援機構の職員となった。2016年4月より日本学生支援機構の奨学金の返済が始まる。スラッシュメタルやデスメタル、グラインド・コアが好き。6弦ベースでバッハの「無伴奏チェロ組曲」を長年にわたり練習している。
(ひとこと)
「愚痴をこぼす機会をもらえてうれしいです。」
トーカー(2)
「弘前ワークチャレンジプログラム~茄子と林檎の不思議な関係」
田岡秀朋さん
株式会社ナイス
(プロフィール)
主に株式会社ナイスとA´ワーク創造館で働く38歳。
2004年から社会福祉研修情報センターで高齢者の就労支援たずさわり、西成で働き始める。2008年に株式会社ナイスに移り、就職困難者や障がい者の就労支援、都市公園の指定管理業務などなどの企画や運営にたずさわる。
事務局として関わる事業はA´ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)・よりそいネットおおさか(刑余者支援)・楽塾(ホームレス等の学校)・花屋Bon(あいりんの花屋さん)などなど。そして2016年からは「都市と地方をつなぐ就労支援カレッジ事業 ひろさきワーク・チャレンジプログラム」で弘前と大阪を行ったり来たり。生まれつきの落ち着きのなさを活かし働いている。
四井恵介さん
奈良県立大学非常勤講師 どっぷり昭和町事務局長
(プロフィール)
観光学術学会の事務局。地域イベント「どっぷり昭和町。」事務局。奈良県立大学非常勤講師。
大学生をしていた2000年頃より釜ヶ崎のまち再生フォーラムに参加して以降、日本、アジアのホームレス支援に関する調査研究に関わる。その後、ホームレスだけではなく、障害者、ニート、ひきこもり、若者就労、刑余者支援、犯罪被害者、在日外国人、生活困窮者、同和地区などの社会的に困難を抱えた方に関する調査に関わり続け、特にホームレス支援、生活困窮者支援に関しては全国の支援団体とのネットワークを有している。様々な社会問題を通して、地域のあり方を日々考えている。
(ひとこと)
「Ust見てないで、KAMAPUBにおいでよ!」
トーカー(3)
「ミッションと行動指針と戦略どおりに動く」
田中俊英さん
一般社団法人office ドーナツトーク
(プロフィール)
子ども若者支援NPO法人代表(02~12年)のあと、2013年より一般社団法人officeドーナツトーク代表。子ども若者問題(不登校・ニート・ひきこもり・貧困問題等)の支援と、NPOや行政への中間支援を行なう。03年、大阪大学大学院「臨床哲学」を修了。主な著書に、『ひきこもりから家族を考える』(岩波ブックレット)ほか。京都精華大学非常勤講師「こころと思想」。13年、内閣府「困難を有する子ども・若者及び家族への支援に対する支援の在り方に関する調査研究企画分析会議」委員 、14年はユースアドバイザー講師(内閣府、広島ほか)。
(ひとこと)
「おもいっきりマニアックにソーシャルビジネス経営トークしてみます。みなさんをドン引きさせる自信あり!!」
トーカー(4)
「地域の弱者を支える、『チャリティーショップ』という事業」
西本精五さん
NPO法人フリーヘルプ
(プロフィール)
1949年生まれ
衣料品小売り業を経て古着輸入卸売業を経営(2013年後進に譲る)
商品仕入れのために訪れた各国で資源再生業界と社会的事業の密接な関係を知る。
特に地域の生活に密着し弱者を支えるチャリティーショップに注目し、2009年、兵庫県加古川市にチャリティーショップ「フリーヘルプ」加古川店を開店。2010年NPO法人化。
認定NPO法人ウイメンズネット神戸・認定NPO法人フードバンク関西・公益財団法人神戸YWCAなど多くの団体と当事者や加害者を支える事業を協働して行い、現在は長田店、湊川店を加えて3店で活動中。
(ひとこと)
「廃棄される古着の大半はごみ処理工場で焼却されます。このような古着が弱者を支える力になります。」
コメンテーター
渡邊太さん
[社会学者 大阪国際大学人間科学部心理コミュニケーション学科専任講師 特定非営利活動法人 地域文化に関する情報とプロジェクト(NPO recip)会員、特定非営利活動法人 日本スローワーク協会理事、「てしまのまど」散歩部、国際脱落者組合(International NEET Union)組合員。著書に『愛とユーモアの社会運動論』(北大路書房、2012年)、『現代社会を学ぶ―社会の再想像=再創造のために―』(共著、ミネルヴァ書房、2014年)『聖地再訪 生駒の神々』(共著、創元社、2012年)など]
(ひとこと)
「《仕事を寄こせ》《働きたくない》《もうすでに十分働いている》の「三位一体」から労働について考えたいと思っています。」
司会
白波瀬達也さん
[関西学院大学社会学部准教授 福祉社会学 著書に『宗教の社会貢献を問い直す ホームレス支援の現場から』(2015、ナカニシヤ出版)、共編著『釜ヶ崎のススメ』(2011、洛北出版]
[構想]
◎トークを聴きに来られた方が、SBについて夢を膨らますのではなく、実際をシュミレートしながら、考えを交換できる話し合い中心の企画にしたいと思っています。
◎仕事づくり、居場所づくり、つながりづくりが流行していますが、そういうことがいわれるようになる歴史的経緯をおさえるようにしたいと思います。また哲学的な考察も大歓迎です。
◎制度や政治に対する批判もちろんありですが、問題あり状態になぜいたってしまったのか、経済、宗教も含め、カテゴリーにとらわれず、考えてみたいと思います。
◎話し合いと出会いのなかで、はずみで新しいSBが始まることを期待します。