会報 NPO釜ヶ崎 38号
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2008年度事業計画
事業期間
2008 年4 月1 日~ 2009 年3 月31 日
1 受託事業等の確実な執行
今年度も就労機会提供事業を中心に、大阪府および大阪市等から各種事業の委託を受けている。「前年に引き続き」の慣れに陥ることなく、各事業の目的を確実に達成することに努める。とりわけ今年度は特別就労事業が、大阪府では7 月末までの暫定予算、それに引きずられて大阪市も7 月末までの契約となり、府市の「あいりん対策」は不安定化しつつある。今年度8 月以降の継続を求めるとともに、「自立支援の土台事業」として来年度以降の安定した継続を求めるためにも、丁寧かつ確実に、また安全に事業を遂行し、さらに環境美化を通した社会貢献・地域貢献の色彩を強めて、府民市民に成果を確実に還元することを目指す。また経費の節約に努め、人件費にまわして雇用の拡大を目指す。
2 就労機会提供に加え、多様な就業自立サポートの推進をはかる
就労機会提供事業が、野宿生活者と野宿に至るおそれのある人に対して、就労意欲の継続をはかり収入を提供することのみで完結してしまうのではなく、就労機会提供を土台に就業自立を目指せる道を示せるようにしていくために、就業自立サポート事業の推進をはかる。
国からの委託事業実施機関である大阪ホームレス就業支援センター運営協議会からの受託事業である就職相談・就職支援を推進し就労自立していく人数を拡大するとともに、大阪市からの受託事業である技能講習修了者を、リサイクル・公園就労・園芸作業等の技能向上・就業確保事業へとつなぎ、就労グループ形成による民間事業における就業拡大を、引き続き目指す。また内職作業提供事業で職業訓練的要素をもたせ、内職従事から就職・就労自立への道を引き続き整備する。
3 福祉相談・生活サポート事業と就業自立サポート事業、生活改善・健康相談事業の連携を強化する
高齢化や病気に伴って福祉援護を土台にした生活に移行することで、野宿生活や野宿への不安から脱却していく必要がある人が増えてきている。他方で、「就職可能年齢」と見られながらも、ハローワーク型の就職援護だけでは支援が困難な比較的若年の野宿生活者ならびに野宿に至るおそれのある人も増えてきている。これらの人たちが野宿生活から脱却し、あるいは野宿生活に陥らないようにするために、福祉相談の拡充を目指すとともに、就職支援や就業自立サポートと福祉相談事業の連携を強化する。また居宅保護に移行した後の生活サポートを引き続き継続する。
今年度より、新規事業として「生活改善事業」を開始した。あいりん臨時夜間緊急避難所と禁酒の館の利用者を対象にして健康相談と生活相談を実施する、大阪市からの受託事業である。医療受診・福祉援護を要する利用者からの相談が多く、支援していくためには、医療・福祉関係者とのネットワーク作りを進めるとともに、よりいっそうの福祉相談・就職就業相談・健康相談間の連携が必要となる。
4 ホームレス化予防と市内ホームレス対策への取組み
今年度、新規事業として大阪ホームレス就業支援センター運営協議会から「住居喪失不安定就労者支援事業」の一部を受託した。いわゆる「ネットカフェ難民」と呼ばれる人たちへの就職就業支援事業である。市内対策班を設置して、エル大阪で開設された「OSAKAチャレンジネット(住居喪失不安定就労者支援センター=大阪労働者福祉協議会が受託・運営)」と連携し、「ネットカフェ難民」層・「ホームレスとのボーダー層(野宿とネットカフェ等を往復している層)」など「広義のホームレス層」への自立支援を、就職・生活・福祉支援を通して進める。
5 共同事業と支援ネットワークの推進
府営住之江・住吉両公園における指定管理共同事業においては、野宿生活者と野宿に至るおそれのある人の公園管理作業への就労拡大とともに、共同体の一員として公園事務所と共同して地域ネットワーク作りを推進する。
西成地域においては、地域において野宿生活者・高齢日雇労働者をふくめ社会的援護を要する人への支援をおこなっているグループとの協力と共同を進め、就労支援・福祉生活支援・まちづくり等各分野において、ネットワークの形成やWac有限責任事業組合など共同事業の形成を進める。
大阪市内府内においては、「野宿者支援統一行動」などホームレス支援に関わる分野を中心に、医療・福祉・労働・法律・人権・行政など各分野の専門家・関係団体・支援者団体との連携を強め、共同した取組みを進める。
全国においては、昨年度設立された「ホームレス支援全国ネットワーク」の拡充を推進し、全国各地の支援グループとの共同事業を進めるとともに、全国ネット参加グループの大阪府下および近畿圏での協力共同化を進める。
6 基本方針の見直し・社会的援護を要する人々へのセーフティネット・環境・まちづくりなど幅広い分野での政策提言の推進
2006 年と2007 年の全国調査で示された「野宿生活者数の減少」が自立支援策の縮小や簡素化につながるのではなく、「高齢化・長期化」問題の解決・「ネットカフェ難民」など新たなホームレス層への自立支援を含めて「予防・野宿からの脱却・再野宿化の防止」と一貫したきめ細かい総合的自立支援策へとつながるよう国・大阪府・大阪市への政策提言を進める。そのために、調査・研究事業に担当者を配置するとともに、社会的援護を要する人々への総合的セーフティネットの形成、環境・まちづくりなど幅広い分野で、専門家との協力を推進し、調査・研究・政策提言能力の向上をはかる。
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