釜ヶ崎済生会病院健康診断事業のお礼
更新情報
2011年10月12日
特定非営利活動法人 釜ヶ崎支援機構

一昨年12月、昨年9月に続き、今年も、大阪府済生会と大阪社会医療センターの協力のもと、特別清掃輪番労働者を対象とした健康診断が、9月12日から16日までの5日間実施され、898名が受診しました。大阪府済生会からは、吹田病院、中津病院、千里病院、野江病院、泉尾病院、富田林病院、茨木病院、新泉南病院、支部事務局から延べ229名の職員にご参加いただきました。
健康診断では、血圧が高く、医師の再測定の結果、その日のうちに病院受診を必要と判断された労働者が57名いました。昨年度の健康診断結果が、919名受診、うち高血圧で要医療になった人が97名だったことを考えると、今年は受診者数は若干減少したのに対し、高血圧によりすぐ医療につなげないといけない人は大幅に減ったと言えます。
しかしながら、今年の健康診断においても、最高血圧が260と「常識」では考えられないような値であるにもかかわらず、「『頭が痛い』とか『めまいがする』などの自覚症状がないから、いつも通りに仕事をしにきた」と50代後半の男性が言う場面がありました。その男性は、さらに再測定のときの医師からの問診に対して、「若い頃から血圧が高いのはわかっていたけど、その日食べるので精一杯で、お金もないし、問題もないから病院受診はしていなかった」とも言いました。
健康診断を受けた人たち、つまりは特別清掃に登録している人たちは、その大半が、シェルターで寝泊まりしながら、もしくは西成労働福祉センターの周辺などで野宿をしながら、特別清掃のわずかばかり(具体的には月3万円程度)の収入で生活をしています。「医療」につながるのは、身体が動かなくなってやむなく救急車で搬送されるときをのぞいて、ほとんどない人たちです。
だからこそ、たとえ1年に1回であっても、自分の身体の状態をしっかりと知って健康を保ち、医療が必要な人にはそこにつながるための「きっかけ」を提供することが、どうしても必要になってくるのです。さらに、「きっかけ」によって芽生えた、野宿やシェルターなどの不安定な生活から抜け出したいという気持ちを、行動に移せるように後押しする意味も含んでいます。
つまり、大阪府済生会の特掃健診は、1年の5日間に限定された活動ではなく、そこから医療につながり野宿生活から抜け出すための挑戦が始まる、大事な出発点なのです。
この目的のために、大阪府済生会、大阪社会医療センター、大阪市立更生相談所、NPO釜ヶ崎支援機構、それぞれが果たすべき役割を担い連携をとることが責務です。
年々事業を積み重ねていくことで、新たな課題が出てきますが、ひとりの人が野宿からぬけだすためには、それだけ多くの人たちの支援の手が必要であることを再確認し、地道な活動を続けていくことが今後も要求されます。
健康診断とその後のアフターフォローに協力して下さっているすべての皆様に、この紙面を借りて厚くお礼を申し上げます。



血圧測定

採血

再血圧検査