特掃登録者・シェルター利用者アンケート調査より(2)
2015年08月05日
ホームレス状態なのに、なぜ生活保護を利用しない人が多く路上に残っているのでしょうか。
「生活保護(居宅保護)を受けない理由として、不安に思うことは何ですか(生活保護(居宅保護)を申請するときに不安に思うこと)」とたずねました。(複数回答可)
特掃登録者アンケートの結果は
1.生活保護を知らない 83回答 15.6%
2.年齢が若い 104回答 19.5%
3.住民票がない 111回答 20.9%
4.年金がある 88回答 16.5%
5.仕事で収入がある 30回答 5.6%
6.土地や建物など財産がある 12回答 2.3%
7.借金がある 26回答 4.9%
8.働いた収入で暮らしたい 146回答 27.4%
9.親や兄弟に連絡がいく 76回答 14.3%
10.申請手続きが心配・めんどう 75回答 14.1%
11.役所に申請に行ったが断られた 11回答 2.1%
12.戸籍がないから 11回答 2.1%
13.その他 11回答 1.1%
合計 784回答 147.4%
(回答者数 532人)
シェルター利用者アンケートの結果は、
1.生活保護を知らない 5回答 6.8%
2.年齢が若い 13回答 17.6%
3.住民票がない 7回答 9.5%
4.年金がある 2回答 2.7%
5.仕事で収入がある 8回答 10.8%
6.土地や建物など財産がある 3回答 4.1%
7.借金がある 0回答 0.0%
8.働いた収入で暮らしたい 23回答 31.1%
9.親や兄弟に連絡がいく 15回答 20.3%
10.申請手続きが心配・めんどう 15回答 20.3%
11.役所に申請に行ったが断られた 1回答 1.4%
12.戸籍がないから 3回答 4.1%
13.その他 16回答 21.6%
合計 111回答 150.0%
(回答者数 74人)
「住民票がない」「親や兄弟に連絡がいく」などが予測されましたが、両アンケートについて、「働いた収入で暮らしたい」がトップになっています。
生活保護の利用を、いずれは考えている方も多いと思います。今は仕事が生活の張りや生きがいとして大切であり、その思いを活かす行政施策が必要であることがわかります。
「年齢が若い」という回答については、単純に生活保護には年齢の制限がないということを知らなかったということだけではなく、それぞれの方の人生の計画や世間の目からみてどうかを考えているということが含まれていそうです。
単純に生活保護を活用しなさいというだけでは、実情に応えた対策とは、なりえないことを物語っています。
★ポイント★
当事者の立場からすると、ホームレス状態から生活保護へ進むには大きな溝があります。社会再包摂を図るには、生活保護以外にも多様な施策を準備するべきです。特に働く意欲と自立の可能性を高める就労対策の充実が要です。