ブログ
  • 1月4日大阪府・大阪市に釜ヶ崎対策について要望書を提出しました!
    2017年01月04日
     今日1月4日、大阪府松井知事、大阪市吉村市長に越冬闘争実行委員会と釜ヶ崎就労・生活保障制度の実現を目指す連絡会の一員として、要望書を提出しました。

     建設労働について見落とされている問題、高齢化・ホームレス状態が長期化している野宿生活者への緊急対策として民間の建設労働市場を補う社会的包摂を目的とした就労対策と生活保護制度の柔軟な運用を求める提言です。

    ぜひ、ご一読ください

    2017年1月4日
    釜ヶ崎対策に関する要望書

    第47回釜ヶ崎越冬闘争実行委員会
    釜ヶ崎就労・生活保障制度の実現を目指す連絡会
    共同代表 本田哲郎・山田實・山中秀俊


    現在、国は建設における日雇労働対策について明確な指針を示すことが少なくなっています。建前上は、建設労働者といえば、ゼネコンやその下請に雇用されている常傭労働者ということであり、技能訓練や定着支援などが、概ね常用労働者向けに計画・実施されています。建設に従事する日雇労働者の数は統計上把握されているものの、70年代に確立した日雇雇用保険制度の積極的でない運用が行われているだけで、あとは民間の労働市場に委ねた形です。

    建設労働の求人において人手不足は深刻です。大阪府における建設・採掘の「パート」有効求人倍率は2016月現在3.22です。しかしながら、釜ヶ崎の失業状況は、改善されていません。

    常傭の建設労働者における高齢者の需要は高い状態です。技能を保持している高齢者は重用されています。しかし、日雇の立場であれば、90年代以後、ゼネコンが高齢の日雇労働者の雇い入れを避けるようになってから、高齢者は切り捨ての対象のままです。また、釜ヶ崎の高齢労働者自身も体力の衰えから、きつい建設現場での仕事についていくことが難しくなっており、草刈や清掃等の軽労働を希望する傾向が強くなっています。

    ご存知のとおり建設業界においては、雇用側は、工事期間の終了や工事件数の加減によって、労働者の雇い入れ数を調整せざるをえません。そのために日雇の労働力を今後も必要としています。直行の建設労働者や寮に長く滞在させて就労させる建設労働者を一定数確保することは、現在は雇用者にとっても契約を履行していく上で必須の条件となっていますが、だからといって、そうした就労形態で働く者たちが、常傭というわけではありません。高齢や疾病等の諸条件が引き金となり、将来的に失業からホームレス状態へと陥る危険と隣り合わせに若年の日雇労働者もおかれています。

    他業種常傭就職への転換支援は必要でしょう。ただし、長年建設労働で働いてきた者が、他業種へ転換することはけっして容易ではありません。それならば、失業からの野宿であっても、就労対策よりは生活保護を勧奨することがよいとする意見もあります。ところが現在ホームレス状態である釜ヶ崎の労働者の多数が働くことによって生きることを求めており、病気にかかってようやく生活保護を受けることを選択するという傾向があります。民間の建設労働市場からはじき出された者を即時に生活保護で包摂しようという対策だけでは、あまりに当事者の想いと開きがあり、結果としてホームレス状態の日雇労働者は社会的に排除されることになってしまいます。失業した建設日雇労働者が、自立の意思を尊重されつつ、野宿しなくてよい状態に進んでいくためには、もっとたくさんの選択肢の中から適切なセーフティネットを選べるよう施策を準備する必要があります。そのために建設日雇労働者への施策・釜ヶ崎対策として、国・自治体は社会的包摂を明確に目的とした就労対策の実行と生活保護制度の柔軟な運用に乗り出さなければなりません。

    特に今年はあいりん総合センターの建て替えが、より具体的に論議・決定される予定と聞いています。あいりん地域のまちづくり会議やその労働施設部会では、概ね施設機能の現状維持で一致しています。どのような仮移設を行い、どう新設するかということはもちろん重要な課題です。ただ、それにもまして重要なこと、今計画・実施すべきことは、民間の建設日雇労働市場及びそれを補う日雇雇用保険などの社会保障と生活保護制度とだけでは、セーフティネットとして極めて不十分であることを踏まえ、就労と福祉の垣根を文字通り超えた対策を、寄場での相対求人からも排除されやすくセンター3階を居場所として日中利用せざるをえず、夜間はシェルターに宿泊し、また路上で野宿せざるをえない者に対して、緊急に実施することです。

    ホームレス状態の日雇労働者がいることが、まちづくりの妨げになっているのではありません。釜ヶ崎の日雇労働者・ホームレス生活者が今も社会的に排除されているから、釜ヶ崎は働いて生活できる安全・安心なまちになりえないのです。

    ホームレス状態で生活する者の高齢化・野宿の長期化の問題が置き去りにされたままである現下の状況においては、2002年にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が成立して以来、最も力を入れて根本的な対策に取り組むべき時期に、自治体はさしかかったといえます。国の責任を明示したホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の延長を推し進めるとともに、大阪府・大阪市協働で進めてきた14年の経験をもとに、就労と福祉の垣根を超える新しい釜ヶ崎対策を実施されることを求め、ここに要望します。

    【要望事項】

    (1)ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の施策内容を、自立支援センター施策以外にも社会的包摂のための就労対策を拡充できるよう国に見直しを求めるとともに、法の延長を求められたい。

    (2)55歳以上の高齢日雇労働者が、野宿状態から脱却できるよう、特掃事業を拡充されたい。

    (3)現在年2回行われている特別清掃の登録を毎月登録できるようにされたい。

    (4)55歳以下の日雇労働者に対する就労支援策を具体的に講じられたい。技能の向上、生活力の向上に資する給付付き訓練事業を実施し、長期的な視野をもって安定した就職へとつなぐ就労支援策を行われたい。

    (5)日雇雇用保険手帳の取得・維持の推進策に転換するとともに、高齢者特別清掃や若年者向けの訓練事業において、日雇雇用保険の活用を前提としたセーフティネットを作り、就労を軸としてホームレス状態からの自立が可能となるよう施策を実施されたい。

    (6)路上、公園、河川敷等で長期間野宿を続けており、高齢のために自立支援センターに入所しての就職活動が適さない者に対して、借り上げ型の低家賃住宅を提供するとともに、就労支援制度を作り、働きながら生活できる仕組みを作られたい。

    (7)住宅扶助単給と特掃の活用を生活保護制度の運用の中に位置づけ、扶養照会や義務を緩和するなど、野宿から脱出できる支援を積極的に進められたい。

    (8)長期にわたり野宿を続けざるをえない者が、生活困窮者自立支援制度の住居確保給付金を活用しやすくするため、ホームレス状態で生活する者向けの案内を別途作成し、広報を行うとともに、生活困窮者自立支援制度にもとづく相談支援事業に指示を徹底されたい。また、住居確保給付金を受けた後、結果として就労による自立に至らなかった場合に、適切な支援につなげるため、巡回相談、あいりん日雇労働者等自立支援事業の相談支援業務との連携体制を確立されたい。
    (9)あいりんセンター3階利用者の意向調査、開所から閉所までの時間帯別利用者数調査を実施されたい。就労・福祉という区別で調査主体を振り分けるのでなく、大阪府・大阪市共同で取り組まれたい。

    (10)西成区役所分館において、大阪社会医療センターの診療科目にない眼科、歯科、耳鼻科について、生活保護の申請を希望しない場合も、必要な受診が制限されることがないよう、無料低額診療を行う他病院への紹介経路を確立されたい。

    (11)ホームレス状態の者、また病気になった日雇労働者で医療費を工面できない者が、無料低額診療を利用しやすくなるよう無料低額診療実施の医療機関に対して通達等を通じ、啓発及び指導を行われたい。

    (12)あいりんシェルター内の昼の居場所棟を朝7時から開所されたい。また日曜及び祝日も開所されたい。

    以上