大阪市西成区の大量住民登録問題で、居住実熊がない住民の登録先となっていた野宿者らの支援組織「釜ケ崎支援機構」と「ふるさとの家」が27日、市に慎重な対処を求める要望書を提出した。両団体は「住民登録だけの問題に限定せず、ホームレスらの状況を踏まえた問題として捉えてほしい」と訴えている。
要望書は、日雇い労働者らが住民登録を失うことなどによって「自立への道を閉ざされる」ことを指摘。有識者を交え、就労などの対策も踏まえた検討機関の発足を提案。暫定措置として、ホームレスらが住所設定ができる場所や機関を市が指定し、臨時登録してもらう方法も提言している。
大阪市西成区のあいりん地区で、日雇い労働者の支援組織所在地に大量の住民票が置かれていた問題で、支援組織のうち「釜ヶ崎支援機構」「ふるさとの家」は27日、連名で大阪市に救済措置を要望した。
住民登録は日雇い労働者の雇用保険被保険者証(白手帳)や選挙権、健康保険などの手続きのため欠かせないが、市が住民登録を職権で消除などすれば「自立への道を閉ざされる」と主張。▽対応を協議する機関に支援団体を参画させる▽協議の間、住所地として設定できる場所を市が提供する▽区役所内に相談窓口を設ける、ことなどを求めた。
両団体所在地にはそれぞれ、129人、27人が住民票を置いているとされた。団体の代表らは会見で「日雇い労働者からは『行く場所がなくなる』と不安の声が高まっている。固定した住居をもてない市民が多数いるのが現実だ」などと訴えた。
一方、関淳一市長はこの日の定例会見で一連の問題について、「法治国家なので、住民登録をルーズにやっていいということはない。しかし、背景には(労働者らの)国民健康保険などの問題もあると聞いており、どう是正するかはよく考えて進めたい」と述べた。
大阪市西成区のあいりん地区の三つの建物に多数の日雇い労働者らが住民登録していた問題で、労働者支援のNPO法人「釜ケ崎支援機構」と社会福祉法人「ふるさとの家」のメンバー4人が27日、大阪市役所を訪れ、地区の実情にあった対応策を求める書面を市民局の担当者に手渡した。
同市によると、釜ケ崎支援機構の事務所には129人、ふるさとの家の建物には27人が住民登録している。要望書は、日雇い労働者や野宿者ら「固定した住居をもてない人」は、住民登録がないと最低限の権利を得られず、自立機会を逸す恐れがあると指摘。問題発覚後、野宿者らが年金の取得で支援団体の建物に住民登録を試みたが、西成区役所に断られたケースも出ているという。同機構の山田実理事畏は「法制度の不備を解消する間も、公的施設でカバーするなど何らかの手だてを早急に示して欲しい」と訴えた。
(朝日 12月28日朝刊 大阪市内面)
大阪市西成区のあいりん地区の宅地に、多数の日雇い労働者らが住民登録している問題で、事務所がある場所が登録先となっている2団体が27日、労働者らが暫定的に住民登録できる場所を市が指定することや区役所に相談窓口を設置することなどを求める要望書を市に提出した。
129人が登録しているNPO法人「釜ヶ崎支援機構」と、27人が登録している「社会福祉法人フランシスコ会ふるさとの家」。
両団体は「野宿生活者や労働者が自立するため、住民登録は欠かせない」と主張。同NPOの山田實理事長は「まじめに就職活動をする人ほど連絡先の問題が出てくる。しゃくし定規な対応では市民の権利を失ってしまう」と話した。
この問題に関連し、関淳一市長は同日の記者会見で、「住民登録は大事な公的手続きで、問題は放置できない。実情を確認し、福祉施策との関係などに配慮して対応したい」と述べた。
大阪市西成区の「あいりん地区」の44uの宅地に3500人を超える住民登録がされていた問題で、大阪市は20日、新たに同地区内の2カ所で計156人の住民登録がされていたと発表した。いずれも日雇い労働者や野宿者を支援する組織の事務所や施設がある場所。市は「居住実態を確認し、適正化をはかりたい」としているが、施設側は「居住実態の有無だけで住民登録を奪うことは野宿者や日雇い労働者の生活の安定を奪いかねない」と反発している。
新たに大量の住民登録が判明したのは、いずれも西成区萩之茶屋にあるNPO法人「釜ケ崎支援機構」の事務所(プレハブ2階建て、敷地面積58u)と社会福祉法人「ふるさとの家」(鉄骨造5階建て共同住宅、敷地面積45u)で、いずれも居住スペースはない。釜ケ崎支援機構に129人、ふるさとの家に27人の住民登録がされていた。
いずれも日雇い労働者の失業手当「求職者給付金」を受け取るために必要な雇用保険被保険者手帳の取得の際に、住民票の添付が義務づけられていることが要因とみられるという。
市は今月、同地区の44uの宅地に立つビル「釜ケ崎解放会館」に3530人に住民登録がされていたことが表面化したことを受け、同様の場所がないかを調査したところ2カ所が判明した。
釜ケ崎支援機構は平成12年ごろから、年金受給など、どうしても住民登録がなければ生活が成り立たない人に限り住民登録を受け入れてきたと説明。山田実理事長は「NPO法人の趣旨として、野宿者や日雇い労働者に生活の安定をはかり、社会に適応できるようにするための手段としてやむを得ず行っていること。市が住民登録を削除するというのは現実を見ていないとしかいえない」と話した。
また、釜ケ崎解放会館については大量の住民登録が表面化した後にも6人が転入していることが判明。転出が22人、死亡届が2人、市内への住所変更が61人あり、合計で79人分は住民登録が減っているという。
大阪市西成区のあいりん地区の5階建てビルに、3500人以上の日雇い労働者らが住民登録していた問題で、同市は20日、新たに地区内の二つの建物に計156人が住民登録していたと調査結果を発表した。いずれも居室などはなく、架空登録とみられる。市は居住実態がなければ職権で登録を削除するとしながらも、現行制度では日雇い労働者が失業手当を得るために住民票が必要なことから、国を含めた関係先と対応を協議する。
同市市民局によると、新たな判明分は、西成区萩之茶屋1丁目のNPO法人「釜ケ崎支援機構」のプレハブ2階建ての事務所(敷地面積57・78u)の129人と、同3丁目の社会福祉法人「ふるさとの家」(鉄骨造り3階建て、延べ床面積399・2u)の27人。ともに野宿者や日雇い労働者の支援を続けている。釜ケ崎支援機構の山田実理事長は「失業手当に加え、野宿生活者が就職しようとする場合などに連絡先を置く必要もあり、住民登録を認めてきた。登録を削除するだけでは問題の解決にならない」と話している。
一方、計3530人が住民登録していた「釜ケ崎解放会館」では、報道があった7日以降、転出などで約80人が住民登録を異動させたという。
大阪市西成区役所が、日雇い労働者の支援団体が入居するあいりん地区のビルに約3400人の住民登録を受け付けていた問題に関し、市は20日、同地区の別の支援団体拠点2カ所で新たに計156人が登録されていた、と発表した。雇用保険や健康保険など各種手続きの際に身分証明として住民票が必要なことから、団体側が労働者支援のため住所貸ししているとみられる。市は「適正化を図る必要があるが、福祉に影響を与える可能性もあり、慎重に対応する」としている。
新たに判明したのは、同区萩之茶屋の2施設で、プレハブ2階建てと鉄骨3階建ての支援拠点に、それぞれ129人と27人が住民票を置いていた。同市市民局は「住民基本台帳法などは定住を前提としているが、旦雇い労働者の生活は不定住にならざるを得ない面もあり、大きな課題」としており、雇用保険や選挙、福祉などを担当する内外の関係部局と対応を協議する方針。
大阪市西成区のあいりん地区の44uの宅地に3530人が住民登録している問題で、大阪市は20日、居室のない同地区内の2か所の宅地で、新たに計156人の住民登録が行われていたことを明らかにした。いずれも労働者の支援団体の建物があり、市は虚偽登録の疑いがあるとして、居住実態の調査に乗り出す。
新たに判明したのは、プレハブ造り2階建ての「釜ヶ崎支援機構」(58u)に129人、鉄骨造り3階建ての「ふるさとの家」(254u)に27人。
市は大量登録の原因について、「日雇い労働者が失業手当を受給するために住所が必要なことや、各種届け出の身分証明として住民票を求められることが考えられる」としている。