第2章 元野宿者の生活の再構築
18)第1章参照。
◆自尊心と自信をもたせること
・冬の間を通してシティリット財団(City Lit Foundation)は、ロンドンのいくつかのシェルターで、基本的読み書きの能力から写真術に至るまで、各種のワークショップや授業を開いた。何人かの野宿者にとっては、何かの訓練を受けたり・技術を身につ`ナるよう奨励されることは、学校教育以来初めてのことであった。これらのワークショップは、毎年3月末まで開かれ、これら通して得られた経験は、今後最も内にこもってしまっている野宿者に仕事や訓練教育を受けるよう勧めるために企画されるプログラムに統合されるであろう。
・RSUは、家のないアーティストの芸術活動を奨励するスマート(Smart) という雑誌と協力し、6月にロンドンのディオラマギャラリー(Diorama Art Gallery)で、`Transformation(変革)'という写真と美術の展覧会を開いた。これは、野宿者が意義のある仕事に従事することの重要性を高めたイベントとして、高く評価された。展覧会は大成功を収め、作品の売上収益は直接アーティストの手に入った。またシェルターに住む人々の芸術作品も、2000年5月に環境・交通・地域省本部に陳列された。
◆住宅に入るよう支援することを続けること
1999年の4月時点でロンドンの恒久住宅における野宿者の立退や借用放棄の割合は、占有全体の20%であった。この統計の裏には、野宿者の多くが以前借家契約を結んでいたが、契約が崩壊してしまい路上にいるという実状がある。この原因は、元野宿者が路上を離れた際に必要な助けき受けられなかったからだと、野宿者を助ける団体は考えている。
・RSUは、ロンドンの中心に6っのTSTsを設立し、自立を始めた元野宿者に仕事、教育、訓練の機会を与えることにより、借用維持の助けをしている。これらのチームは、2000年7月1日から、地域ごとに4っのボランティア団体によって運営される。東と西の2ゾーンをLook Ahead Housing and Care、南と南東の2ゾーンをThames Reach、北西ゾーンをSt.Mungo's、北ゾーンをNew Islington and Hackneyが担当する。
・この借用維持のアプローチはまた、野宿者の集中する他の多くの街でも採用されようとしている。
・RSUと共に、教育雇用省(Department of Education and Employment)は、野宿者が完全に諸給付に頼っていた生活から雇用へと移るのを助けるため、3っのアプローチを案内、指導した。この案内(London pilots)は、3っのボランティア団体(セントマンゴス、セントボトルフス、そしてオフザストリートアンドイントゥワーク)により運営され、職業案内、プロの指導や仲間同士の相互指導も含んでいる。
・25歳以下の野宿者は現在New Dealというサービスを即座に受けることができる。雇用サービス部(Employment Service)は、ロンドンのシェルターやデイセンターの若い野宿者にインタビューし、New Dealが提供出来る仕事や機会について情報の誤りが多いことを知った。それゆえ雇用サービス部とRSUは、New Dealのサービスを受けるのを助けるため、またその知名度の改善のため、適所に実用的な処置をとることであろう。
・`Bridging the Gap'という最近のSEU報告は、教育維持のための給付金(Education Maintenance Allowance、EMA)の利用を推薦した。このEMAは、週ごとの給付金が16歳以上の人々が教育を受け、とどまり、また成し遂げる機会を増やすかを調べる試みである。最初のフィードバックによると、大多数の地域において、教育を受ける人々の割合が国の平均を上回るほど増えていることが分かった。今後は、どのようにすれば傷つきやすい(vulnerable)若者のニーズに応じた追加的サポートが実現するかを試みることになる。現在RSUは教育雇用省とともに、ノッティンガムの自治体とボランティア団体に対し、ホームレスの若者にEMAの利用を支援するため、指導をするよう尽力している。
・RSUはビジネス界、特にBusiness Action on Homelessnessを通し、元野宿者が効率よく雇用状態に戻れるよう尽力している。ビジネス界の参加は、'野宿者が路上から離れて生計を立てるのを助けるという、正しい文化社会の変化をもたらす意味できわめて重大である。
私たちは、元野宿者のうち何人かは、仕事を始めるのに多大な支援を必要としていることを知っているが、もしそれが不可能なときは他の方法で社会に再統合されるよう自信を取り戻すことを支援しなければならない。これは、リスクと革新が必要とされるこの戦略の一部であり、それゆえ私たちは、野宿者が正しい保護によって何を達成できるかを示すいくつかの新しい方法を雅進ずるため、特別な基金(Specia innovation Fund)に基づいて、プロジェクトに資金提供している。
最大の補助金である40万ポンドが与えられたのは、ビッグイッシュー(Big Issue)である。これは、南部のビッグイッシュー基金と北部のビッグイッシュートラストにより平等に分けられ、雑誌Big Issueを売る人々がホームレス状態から、教育、訓練、雇用へと移行するのを支援するために使われる。
また少額ではあったが、ロンドンの元野宿者本人たちにより実行されている草の根計画のいくつかにも補助金が与えられた。Business Action on Homelessnessも、3つの要素−元野宿者の雇用可能性(employability)を高めるためのワークショップなどの就労経験・良い指導や援助、社会的ビジネス(socialbusiness)の開設を助けるSocial Business Forum−をもつプロジェクトで補助金を与えられた。
Business Action on Homelessnessは、ロンドンを含むイングランドの鍵となる地域で業務を行い、その業務はビジネス界とボランティア団体との協力関係が維持できるよう組織されるであろう。
イングランドの他の地域でも、資金提供は革新的なプロジェクト−家具の修繕、社会的ビジネス、ガーデニング、配食、運転、自己構築(self build)、ボランティアや交流会、ITそしてライフスキルを学ぶスキーム等−に重要な意味をもつ。
政府は、野宿者数の減少を維持するため、実用的で目標を持った手段を提案することを決めた。SEU報告によると、鍵となるグループは、ケア施設、軍隊や刑務所を出た人々である。政府は、その関連する省庁が十分に役割を果たすよう、調整している。
この戦略は、ボランティア団体や地方自治体との協力により実行される野宿防止策に補足されて完全となる。私たちはHomelessness Action Programmeの1千万ポンドを超える資金を、郊外と都市の両方におけるプロジェクトやサービスにあてた。これらのプロジェクトには、再定住のためのサービスやアドバイス、販売できるよう家具を修繕するワークショップ、敷金補助スキーム、国の住宅相談サービス、そして区民相談所(Citizens Advice Bureaux)がある。
◆ケアを離れた傷つきやすい若者や子供により良い支援をすること
・4月に出されたHousing Green Paperは、傷つきやすいと考えられる人々や住宅を優先して必要とする人々のグループを広げることによって、ホームレス関連の立法を強化することを提案した。これは過去にケア施設にいて現在家のない16−17歳の若者のような人々も含むことになるであろう。
法律制定の前に、環境・交通・地域省と保健省は地方自治体に指導要綱を出し、16−17歳であって他に保護を受けられない若者は「傷つきやすい(vulnerable)」とみなされ、従って現行のホームレス法のもとで優先して保護されることを確認した。
・Quality Protectというのは保健省の実行しているプログラムで、ケア施設を出たときに地方自治体により提供されるサポートの質の改善を目指している。これは、3億7,500万ポンドの子どものための特別補助金(Children's Services Special Grant)に支えられ、地方自治体の保護を離れた若者が、生計を立てていく機会を高める目的をもつ。このプログラムによる保護を離れた若者たちゃChildren(Leaving Care)Bill(ケアを離れた子どものための法案)のもたらす状況への対応に加えて、今現在路上にいる傷つきやすい若者に答えることは重要である。Safe Stopは、この傷つきやすい人々のためのセーフティネットを強化することになるであろう。
・保健省とRSUは共同で、ロンドンの各区によるケアを出た際の保護(careleaving services)の聴聞と評価を行った。私たちは、ロンドンなどの若者のケア施設で働く人々に、この聴聞等で明らかになったことや学んだことを伝えていく。さらにRSUは、地方自治体がケアを離れた人に与えるサービスや手続きを改善、発展できるよう、新しいサポートサービスに資金を出していく。そして、報告で勧めていることを業務に反映させ、ケアを離れた若者が独立した生活へと首尾良く移行できるようChildren(Leaving Care)Billを進歩させる。
・教育雇用省は、現在、ロンドンのランベス区、サザック区、タワー区のpeer education pilotに資金を出し、元野宿者が学校に行き、若者に直接彼らの経験を話せるようにした。私たちは現在この業務をロンドンの外にも広げていき、特に傷つきやすい若者−すなわち、ブライトン、ニューキャッスル、オクスフォードの自治体のケアを受けている者や基本教育を受けていない者−のためにこのpeer educationを与える3つのプロジェクトに資金を出していく。
◆犯罪歴のある者が再び犯罪に戻らないようにすること
Prison Serviceは、野宿者に陥りがちである犯罪者が、釈放前に住居や給付のアドバイスが受けられるよう尽力している。下記の手段の全てが、野宿や犯罪、薬物やアルコールの誤用に戻るサイクルを止めるのに不可欠である。戦略の最終的な成功に批判的になることは前進につながり、また元犯罪者に仕事や教育、訓練をさせる機会を増やすであろう。
・RSU、内務省(Home Office)、Prison Serviceによる調査‘Blocking the Fast Track Prison to rough sleeping(刑務所から野宿への道を妨げること)’で明らかになったことの1つは、囚人が雇用や給付についての十分なアドバイスを受けていなかったことだ。給付部と雇用サービス部は、10の刑務所や少年院に処置を施すことに同意した。これは犯罪者を犯罪から遠のかせ、訓練、教育、仕事を奨励する目的で、給付のアドバイスがそれを必要としている者に与えられ、若い犯罪者のためのNew Dealへの早道が促進されることになる。
・Mowlam博士は、野宿者に戻りそうな犯罪者に住居の相談や支援を出所前に与えるために、Special Innovation Fund19)から7つの刑務所で25万ポンドが与えられるよう提案した。これは、Prison Serviceと内務省とによって、今後12ヶ月間かけて評価されることになる。
・RSU、Prison Service と内務省は、刑期が1年に満たない人々のために、より効果的な再定住プログラムが必要であるとした。これらの人々はしばしば、ほとんど助けを受けずに非常に無秩序な生活をしており、薬物やアルコールの常用問題を抱えている。この再定住プログラムは2000年秋までにできる。
・刑務所および保護観察部(Prison and Probation Services)は、2001年4月に共同の再定住案、Key Performance Indicationを導入する。これは、出所前に雇用サービス部との面会予定や出所後の住居が決まっている囚人の割合を調べる。Prison Serviceは、各組織の業務内容を知る機会が与えられ、特定の再定住プログラムの効果を確認することができる。19)第2章参照。
◆軍隊にいた人々に彼らの受けるべきケアを与えること
軍人であった人々で野宿者となってしまう人々のなかには、基本的な訓練を終了する前に軍を出た人々、指揮官により行政処分として解雇(administrative discharges)された人々もいる。また、軍を出て何年もたってから、人間関係の崩壊や市民生活になじめず、路上に落ち着く人々もいる。これらの2つのグループの人々への対応は別個である。
・RSUはMOD and Armyと協力して、ヨークシャーのカタリック駐屯地内に新しいサービスを作っている。基本的訓練終了前に指揮官による行政処分等により解雇された人々は、解雇される前に、彼らの家と再び結びつけるための再定住のアドバイスや保護を受ける。これは、9月までには稼働を開始し、もし成功した場合はイングランドの他の地域でも採用されるであろう。
・RSUはコルチェスターの軍人の更生施設(Military Corrective Training Center)と密接に連絡し、懲戒免職となった人々に与えるサービスを改善するために尽力している。2000年夏から、シェルター(ボランティア団体:Shelter)は、RSUにより資金提供された、国のホームレス問題相談サービス(National Homelessness Advice Services)の一部として、この更生施設で住宅相談のサービスを始める。給付部も、この施設と定期的に連絡をとり、解雇された者が出所前に必要な給付を得られるよう、そしてより早く仕事を見つけられるよう、またより給付の情報を得やすくする方法を追求するよう尽力する。これは、既存の雇用サービス部と協力して元軍人が仕事を得るのを支援することになる。
・ホームレスで野宿をしている元軍人のために、RSUは、SSAFA Forces Helpのような退役軍人のための慈善団体や英国軍人会(the Royal British Legion)と共に現場でのサービスの改善に努めている。私たちは、イングランドの中でも元軍人の多い地域に的をあて努力していく。RSUは、一流の慈善団体であるオズウォルドストール財団に資金を出し、家のない元軍人のための住居設備を広げた。また、元軍人のアルコール問題を解決するためにも資金を出し心た。
この戦略を実行するため、その手段の多くはすでに適所に配備され、RSUとその協力者たちは今こそ来年の戦略達成に向け努力しなくてはならない。このレポートは、正しい方向への良い前進を示しているが、来る年に不可欠なのは、私たちが共に働き続けていくことである。というのも、まだもっとやるべきことや、やるべき試みが膨大にあるからである。これには、薬物や路上の犯罪の生活から逃れられない野宿者を助けることや、将来の新しい野宿者を今予防すること、目標を達成することに焦点を絞りつつ、十分な設備やサービスを利用して野宿者の減少を維持していくことも含まれる。
政府、国民、ビジネス界、慈善団体と地方自治体は、野宿者が‘Coming in from the cold(路上から屋内へ入る)’のを助けるための新しいチャレンジに直面している。野宿者も、自分自身を助けるためのチャレンジに直面している。21世紀に国のどの道にも野宿者が見られなくなることを目指し、首相が示した目標を完全に満たすという最も厳しいチャレンジを達成するのは、まだ先のことである。
資料1:
環境・交通・地方省
『寒い路上から屋内へ一野宿者に関する政府の戦略の概要−』1999年12月
序論:
1997年5月に樹立された新政府の最優先課題となったのは、社会で最も排除されている人々に新たな機会を与えるというものだった。その中でも最も傷つきやすい人々は、道路でrough sleeping(以下、野宿)している人々である。そこで首相は、Social ExcIusion Unit(以下、SEU)の最初の仕事として、野宿についての研究を命じた。1998年7月のSEUの報告は、Rough SleepersUnit(以下、RSU)を設立し、2002年までに、イングランドの野宿者の数を限りなくゼロに近くすること、少なくとも3分の1以下にすることを勧めるものだった。
1990年から政府はRough Sleepers Initiative(以下、RSI)に25億ポンド費やし、野宿者を道路から去るのを支援してきた。しかしながら、今もイングランドには一晩で約1600人の野宿者がおり、その資金の大半が使われたロンドンにも、一晩で約635人の野宿者がいる。この中の大多数は、RSIでは効果的に支援することのできなかった長期野宿者である。従って、新しいアプローチが必要とされる。ホステルのベッドの数を増やすだけでは、現実的な解決にならないし、十分ではない。私たちはアプローチの方法を変えるべきである。
政府はこれまで、なぜ人々が道路で寝るのか、どうやってこの問題を予防できるのか、ということについて、充分に対処していなかった。いくつかのサービスは実際には、人々を道路から立ち去るのを支援するというよりはむしろ、路上でのライフスタイルを維持させるものであった。また、RSIによって作られたホステルやデイセンター、恒久住宅は、野宿者に焦点を絞っていたわけでなかったため、日中に路上で生活する人々などに場所をとられてしまった。私たちは、長期的でかつ永続的な解決に充分に集中していなかったし、最も支援を必要としている人を見分けて支援することに充分でなかった。
そこで政府はRSUに対し、野宿者、特にRSIが支援することができなかった人々を支援することに焦点をあてるよう、とても明確に付託した。
人々が野宿をする理由は様々で複雑である。しかし、野宿者が大体どういう人々かということは分かっている。
・75%は25歳以上
・90%は男性
・4分の1から3分の1の人々は、ときどき地方自治体によるケアを受けている。
・50%はアルコール依存者
・20%は薬物常用者
・30−50%は重度の精神障害者
・5%以下は、少数民族の人々
この戦略を成功させる鍵は、協力関係(partnership)である。最も基盤となるのは、納税者と野宿者自身との協力関係である。現実的には、政府と野宿者のために働いている人々、すなわち省庁や地方自治体、ボランティア団体、そしてビジネス界から公衆全体までのより広い社会との協力関係である。
鍵となる6つの原則:
・野宿の根本原因を理解すること。
・路上生活を維持するような方法はやめ、路上から立ち去ることを支援するアプローチを追究する。
・最も支援を必要としている人に焦点をあてる。
・最も傷つきやすい人々で支援するのが難しい人々も、専門家の助けを借り、あきらめずに支援する。
・野宿者を社会の活動的な一員となるように支援する。
・健康で自立できる人々に与えることのできる保護については、現実的に考える(ホステルや恒久住宅などの施設は、最も助けの必要な人々に与える)。
総合的アプローチ:
地方自治体は、引き続き、住宅問題とホームレス問題の戦略について自由裁量権をもつ。したがって、自治体は明らかに、野宿問題への対応と予防の両方について戦略的に考える最も適したところである。近年、自治体は努力の結果、多くのケースでかなりの成功を遂げている。地方自治区の大多数で野宿者の数が比較的に少ないのは、明白である。従って、これらのエリアの鍵となる点は、野宿者として現実に現れるか否かに拘わらず、ホームレス問題の予防である。一方でRSUは、指導権(リーダーシップ)と援助を与える焦点を野宿者の最も横行するエリアにあてながら、その自治体と共に彼らの野宿問題への戦略を見直したり、変更する。
下記の表は、イングランドの中で野宿者の集中する30地区における野宿者の数である。
(ウェストミンスター:234、カムデン:66、オクスフォード:52、ランベス:46、マンチェスター:44。以下、省略)
ロンドンの中心はイングランドの他の地区に比べて常に野宿者の数が多いため、私たちの戦略は首都の中心に、より介入するアプローチを提案し、目標達成にむけて協力者と密接に協力して仕事をする。いくつかのロンドンの中心にある自治体では、法定のホームレス(家族や傷つきやすい人など)や庇護者(asylum seeker)に対する義務の遂行に圧迫されていることを、政府は認識しており、この戦略の範囲内でこの問題についても考慮する。
ロンドンの外側の地域については、最も問題のある10−12地域において、まずその戦略を再考することを希望する。また、この地域の野宿者の数の今後の変化に伴い、随時調査する。自治体の野宿問題に対する戦略の成功は、野宿者の集中する地域における野宿者の数を減少させる鍵となり、また単にある地域における施設等を追加することは常に正しい対応とは限らない。鍵となる協力者による効果的で調整企画された行動こそが、不可欠である。
政府は、ロンドンの外の自治体に、ロンドンの中心で提案しているアプローチを採用するよう働きかけるだろう。特に、ボランティア団体や関係省庁等の努力が地域レベルにおいてより統合されることを−すなわち、それらの努力が野宿問題に完全に焦点をあてるよう、またより調整され、より焦点を絞った施設などの資源の利用ができるよう−奨励するだろう。
変化のための鍵となる提案:
A:ロンドンの野宿者に利用可能なベッドを増やし、最も支援を必要とする人々に正しい支援を与えること。特に、以前のRSIの支援を受けることにとても抵抗のあった人々に。
*与えられる住居は3っのレベルに分かれる。
・direct access hostels and shelters
直接訪ねて行くことのできるホステルやシェルターで、路上を去った人の多くがまず最初に行くところ。ここでは、訪ねてきた野宿者にどのような助けが必要かという判断に焦点があてられる。
・specialist hostels and special supported schemes
特殊で高等の、または複合の助けの必要な人のためのホステルや計画。
・permanent move on accomodation
支援を受ければ、住居の借用が維持できるようになった人々が入る住居。
B:路上から人を立ち退かせることを優先できるよう、より焦点を絞ったアプローチを進めること。野宿者のために働いている人々が責任の所在を明らかにすること。そして、路上の生活を終える機会を提供するよりむしろ路上のライフスタイルを補強しているサービスではないことを確実にすること。
SEUのレポートは、より焦点の絞られ、かつ、より良く調整された、より戦略的なアプローチが必要であることを明らかにした。私たちは、2000年の4月からロンドンの路上問題に対する全く新しいアプローチに資金提供している。それは、野宿者の最も集中する地域の限られたエリアを担当する`Contact and Assessment Team'(CATs)である。これはヴィクトリアとサヴォイ地域の小規模プロジェクトの経験に基づいて設立された。ロンドンの中でも中心ではないエリアにおいては、デイセンターがそれぞれの地域を担当することを期待している。すなわち、`Contact and Assessment Approach'を採用し、人々を路上からデイセンターに移ることを支援し、必要な援助を与える。政府が現在アウトリーチワーク(outreach work)に資金提供している全ての地域は、路上から屋内に入ってくる人々を支援することを重視し、これを新しいアプローチの一部として積極的に推進するであろう。
ロンドンの中心のサヴォイプレースの成功から学び、政府はその資金の流れる一つ一つの媒体に、それぞれのCATが責任をもつよう期待する。私たちの目的は必要な経験と専門的技術を全面的に合体させ、様々なケース(若者、精神障害、他の特殊な保護や治療等)に対応できるようになることを期待する。
C:野宿者が最も必要とするときにサービスを提供する
野宿者とは、深夜から早朝にかけて道路で寝る人々である。これまでの経験によると、最も効果的であったアウトリーチワークのいくつかは、早朝に野宿者が起きたときと深夜に寝ようとするときに行われている。
D:(精神病、アルコールや薬の問題のあるような)最も支援を必要としている人を支援する
E:路上から定住生活への明確なルートを作るため、連続したケアを実現する
F:自尊心や生活に必要な技術を得ることを支援するため、意義のあるOccupation(仕事、訓練、教育、ボランティア等)の機会を提供する
G:それぞれの特殊なニーズに応える支援を提供し、路上生活を維持するようなサ−ビスを見直すことによって、路上から屋内に入ろうという気持ちを刺激する。
H:野宿問題を防止する適切な手段をとり、路上で寝ることが唯一の選択肢ではないと思えるようにする。予防は、野宿問題の完全な終わりを確実にする唯一の方法である。
環境・交通・地域省は、自治体レベルで野宿問題の予防に取り組んでいる。1996年のHousing Act(住宅法)は、自治体によるホームレス問題の予防を促進した。2000年初めには、環境・交通・地域省は自治体に対し、再考した指導要綱を出す予定であり、これには地域のシングルホームレスの問題の戦略開発についての指導が含まれる。地域によって、必要とされることや解決策は異なるが、おそらく次のようなものを含むであろう。
・Rent deposit schemes(敷金保証等の計画)
・‘Nightstop’schemes(若者のための短時間屋内でくつろげる場所を提供する計画).
・Returning home schemes(家に帰れるよう、家族との仲裁をする計画)
・mutual aid scheme、(互いに助け合える技術等を身につけさせる計画)
Bidding and Resources:
政府は、RSUにロンドン内での仕事を実行するため、1億6千万ポンドの予算を与えた。ロンドンの外におけるHomelessness Action Programmeは3千4百万ポンドの予算があり、このうち8百万ポンドは取り置きされてある。このお金はロンドンの外の野宿問題の集中するエリアに使われたり、予防や意義のある職業等(Occupation)のための新しい提案に備えて取り置かれている。