千葉県市川市
市川市ホームレス自立支援実施計画
は じ め に
「だれもが住み慣れた地域で自立した生活を送るとともに、自らも参画し、安心して暮らすことのできるまちをつくる(市川市地域福祉計画基本理念)」。これは、わたしたち市川市民共通の願いです。ところが近年、厳しい経済・雇用情勢を反映して、特定の住居を持たず「ホームレス状態」に置かれている人々が多数存在しています。市川市においても、250人以上もの人々が、そうした生活を余儀なくされているのです。
日本国憲法は、すべての国民に対して「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」、つまり生存権(25条)のほか、居住権(22条)、勤労権(27条)などの権利を認めています。にもかかわらず、ホームレスの人々は、安定した仕事に就くことができず、収入が無いため住居を持つことができません。また多くの場合、家族とのつながりも途絶えており、住民票を持たないことから公的なサービスからも遠ざけられ、社会との関係が全く切り離されている状態にあります。健康面や衛生面でも問題を抱え、中には路上で倒れ、命を失う人さえいるのが現実です。これでは、とうてい「健康で文化的な生活」とは言えません。ホームレスの人々が、これらの生活困窮から一刻も早く抜け出し、地域社会の一員として再出発できるようになるための「仕組み」が、今、求められているのです。
一方、ホームレスの人々のほとんどは、公園や河川などのいわゆる「公共空間」を生活の場所としていることから、その近隣にお住まいの方より行政に対して、「かわいそう」「助けてあげて」「迷惑」「退去させて」など、様々なご意見が寄せられています。しかし、全てのご意見に共通することは、「公共空間で生活しなければならない人がいるという現実が、どこかおかしい」ということです。こうした現実を変えていくためには、市行政と関係機関、そして市民が一丸となって「新たな一歩」を踏み出さなくてはなりません。この計画は、まさにそうした考え方に立って策定いたしました。
この計画は、平成14年8月に施行された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」第9条第2項の規定に基づいて、市川市として今後実施すべきホームレス自立支援施策について体系的にまとめたものになっております。しかし、それだけにとどまらず、関係機関や団体、そして市民のみなさま一人一人にこの計画を読んでいただき、ホームレス状態に置かれている人々が、地域社会の一員として再出発していくためには何が必要なのか、一緒に考えていただくということも、この計画の目的の一つと位置付けております。
市川市のホームレス自立支援施策の推進に当たり、みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。
平成17年4月
○市川市における既存の自立支援事業4と本計画との関係
法の制定にさきがけて市川市では、ホームレス問題の解決のため、平成14年4月には専任の担当を設置5しており、また平成15年4月からは、市独自の自立支援モデル事業(平成15〜16年度)を展開してきました。本計画は、そうした過去の実績を踏まえて策定されるものであり、このモデル事業を基礎として、より市川市の地域特性に適合した施策の実現を図っていきます。
なお、モデル事業の一環として、関係者で構成する「市川市ホームレス自立支援推進会議6」が設置されており、本計画は、この会議における議論を踏まえて策定されました。
○市川市地域福祉計画と本計画との関係
また本計画は、平成15年3月に策定された「市川市地域福祉計画」を踏まえた内容になっています。市川市地域福祉計画は、社会福祉法7の規定に基づき策定された計画であり、「だれもが住み慣れた地域で自立した生活を送るとともに、自らも参画し、安心して暮らすことのできるまちをつくる」を基本理念としています。本計画は、市川市地域福祉計画の各論W―4「社会的な自立の支援」の分野における個別計画としての性格を有しており、両者は整合・連携を図りながら相互に補完していくものです。
市川市では、本計画の策定にさきがけて、平成15年4月より2年間、ホームレスの人々の自立支援を推進するため、市独自のモデル事業を展開してきました。その概要は以下のとおりです。
自立支援推進会議の設置
学識経験者や弁護士、人権擁護委員、職業安定所等の関係機関、医師会、自治会、市職員など16名で構成する会議。モデル事業の進捗状況を確認のうえ、本計画の原案を作成。
巡回指導員の設置
地域を巡回のうえ、傷病等による要援護者の発見、緊急的な援助の実施、生活指導等を通じ、個々の生活状況を把握のうえ、支援に繋げていく。
自立支援住宅の設置
巡回指導員による情報を基に、生活の基盤となる住居を3か月程度提供。就労活動や生活保護申請のほか、地域生活を送る自覚を促す。民間住宅を3室借り上げて設置。
自立支援相談員の設置
自立支援住宅入居者が、地域社会で安定した生活を営むことができるよう、定期的に訪問したうえ、各種の生活相談に応じ、精神的な支えとなる。
啓発活動の推進
事業の推進に当たり、ホームレス問題に対する市民の理解を深め、また協力を求めていくための各種啓発活動を推進。
@ 民間住宅を活用した居住支援
近年、福祉の分野においては「施設から在宅へ」といった考え方が広まっており、施設に収容するのではなく、住み慣れた地域の中で暮らし続けることができるための取り組みが進められています。こうした観点から、ホームレスの人々の居住支援を推進するに当たって、地域に存在する民間住宅(アパート)の空き室を利用することとしました。これにより、地域社会の一員としての再出発に当たり、その自覚を促し、また近所づきあいなどを通じて、社会との関係を再構築していきます。
一方、東京や大阪など、ホームレスの人々を多数抱える地域では、「自立支援センター」18等の施設の設置が進められておりますが、規模19や費用の面からも、市川市単独でそうした施設を設置することは困難な状況にありました。
A 信頼関係に基盤を置いた支援
ホームレスの人々が地域社会の一員として再出発していくためには、その過程の中で生じるトラブルや悩み、生活上の問題点などに関して、的確なアドバイスを行うことのできる「相談相手」が必要不可欠です。そのため市川市では、ホームレスの人々が路上で生活している時点から、巡回指導員が訪問し、お互いの信頼関係を取り合うことで、個々の状況の把握に努めています。また、自立支援住宅に入居した後も、自立支援相談員が定期的に訪問することで、個々の状況に応じたアドバイスを行い、順調に社会との関係を回復し、安定した生活を送ることができるよう、精神的なサポートを続けています。
B 関係機関・民間団体との連携
特にAの分野は、市内においてホームレスの人々の自立支援の活動を行ってきた民間団体が得意とする分野です。市川市では、そうした民間団体との連携を図り、巡回指導員・自立支援相談員事業の委託等を通じてそれぞれを補完できるような「協働」の体制を整備してきました。また、自立支援推進会議の委員として、市職員だけでなく、学識経験者や弁護士、人権擁護委員などの専門家のほか、自治会やNPO法人20等、広く民間から集まっていただき、事業が効果的に推進できるよう、意見の交換が進められてきました。
市川市議会
会期年月: 2004年 12月
日程: 2004/12/15 第4 日目
件名: ホームレス対策についてお答えいたします。
伊藤常矩福祉部長
ホームレス対策についてお答えいたします。
初めに、市内で生活するホームレスの人数の推移でございますが、本市ではホームレスの実態を把握するために、平成13年度から毎年調査を実施してまいりました。平成13年6月に市で実施したホームレスの巡回面接アンケート調査結果では、都市公園60人、河川36人、道路8人、駅舎6人、そのほかの施設31人で、合計では141人でございました。平成14年6月に市で実施したホームレス実態調査結果では、都市公園54人、河川34人、道路21人、駅舎5人、その他の施設54人で、合計では168人で、対前年比19.1%増でございました。平成15年6月にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づく全国一斉調査のデータをもとに実施したホームレス巡回相談指導員の調査結果では、都市公園71人、河川50人、道路2人、駅舎11人、その他の施設53人で、合計207人で、対前年比23.2%増でございました。平成16年5月に実施した巡回指導員による調査結果では、都市公園95人、河川64人、道路28人、駅舎14人、そのほかの施設51人で、合計252人で、対前年比で21.7%と増加の傾向にございます。
次に、ホームレス自立支援推進会議の役割と活動状況についてでございますが、本市では、ホームレスの自立に向けた支援のため、県内各市町村に先駆けて、平成14年4月、福祉事務所内に自立支援担当を設け、専従職員2名を配置いたしまして、平成15年4月、市川市ホームレス自立支援事業実施要綱を定め、自立支援事業を開始したところでございます。その支援事業の内容といたしましては、ホームレス巡回相談指導事業、ホームレス自立支援住宅事業、ホームレス自立支援推進会議の立ち上げ等でございます。平成14年8月7日には、法律第105号により、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定され、法の第9条2には、市町村はホームレスに関する問題の実情に応じ施策を実施するために必要があると認めるときは、実施計画を策定しなければならないと規定しておりますことから、これを受けて市川市の実施計画を策定するためにホームレス自立支援推進会議を発足いたしたところでございます。この推進会議の委員には、国の社会保障審議会のメンバーであります日本女子大学の岩田教授を議長に、弁護士、人権擁護委員、医師会、民間支援団体の代表を初め、各関係機関の長及び庁内関係部署の職員など総勢16名で構成いたしまして、平成15年4月23日の第1回会議の開催から平成16年10月26日までの1年8カ月の期間で、延べ13回にわたり討議を重ねてまいりました。
次に、推進会議の活動状況についてでございますが、自立支援実施計画の策定に当たりましては、推進会議の委員によりホームレスの生活実態を把握するために、元ホームレスとの直接面談を行い、その置かれている環境や心情などの聴取、就労や医療現場における実態を把握するために、職業安定所、健康福祉センター、市民病院ほか関係部署の関係者からの意見の把握、ホームレスの生活状況を知るために、ホームレスが起居する現場での生活の調査、ホームレスを支援する団体の関係者から、支援の状況やホームレスの借金や親族関係の問題点の聴取などを行い、さまざまな角度から市川市のホームレスの現状と今後取り組むべき支援のあり方などの討議が行われ、このたびホームレス自立支援実施計画案が千葉市長に提出されたところでございます。
次に、市内各公共施設に生活するホームレスに対する苦情やトラブルの現状についてでありますが、市内では、現在252人のホームレスが公園や駅舎などの公共の場所で生活しており、近隣住民や利用者との間でトラブルが発生しており、苦情や相談が多く寄せられております。そのトラブルや事件の主なものでございますが、公園内のトイレで生活しているホームレスと、トイレを利用しようとした市民が争いとなり、警察官が仲裁に入っておさめたケース。自転車駐輪場で数人のホームレスが酒盛りをして騒ぎ、近隣住民が警察官を呼んで仲裁に入っておさめたケース。平成15年12月14日には、公園に生活するホームレスと公園に来る市民との間で暴力ざたの事件を起こして逮捕されたケース。平成16年5月29日には、公園に大量の荷物などを持ち込み、遊具やベンチなどを占有し、その荷物が火災に至り、中にあった卓上用のガスボンベが何本も爆発したために、近隣住民に多大な恐怖と不安を与えた事件。ホームレスが廃棄車両から取り出したバッテリーを使用後に河川に不法投棄し、河川を汚染しているケースなどがございました。
これらを含めました庁内関係課に寄せられました種々の相談、抗議、トラブルなどの推移でございますが、平成13年度69件、平成14年度123件、平成15年度85件、平成16年度10月末現在までに58件という状況でございます。
次に、公園などの公共の場所からホームレスを退去させるための市としての条例を制定する考えでございますが、現在、市内には多くのホームレスが公園や自転車駐輪場などを生活の場として居住しておりますが、その場所は本来市民の憩いの場であり、通勤や買い物などの日常生活に不可欠な機能を有した施設でもあります。市民に不安や恐怖感を抱かせることは、放置できない問題でございます。公共の場所の施設管理者は、その施設の設置及び管理に関する条例などがございますので、これらの条例などの運用において施設の適切な管理を行うことが求められております。平成14年8月7日に制定されましたホームレスの自立の支援等に関する特別措置法第11条の規定により、公共の用に供する施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとる場合においては、平成14年7月17日、衆議院厚生労働委員会の附帯決議において、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の運用に関する件の第5により、人権に関する国際約束の趣旨に十分に配慮することと決議されておるところでございます。これらを勘案しますと、市といたしましては管理面での適正な運用と、また、ホームレスの支援との2つの側面を有していると言えます。
そこで、市として条例の制定についてでございますが、市といたしましては、施設管理者として適正な管理を行う一面と、平成14年8月7日に制定されましたホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の法の趣旨に基づき、人権尊重という観点からホームレスを支援する一面をあわせて負っておりまして、ホームレスを退去させる条例の制定は非常に難しい問題であると考えております。市川市では、既にモデル事業として自立支援事業を平成15年度より実施し、公共の場所へ巡回指導員を訪問させて、路上などから順次自立支援住宅への入居につなげております。さらに、今回示されましたホームレス自立支援実施計画案の施策を着実に実施し、粘り強くホームレスの減少に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
会期年月: 2006年 9月
日程: 2006/09/13 第4 日目
件名: ホームレスの範囲をどこまでに限定するのかということでございますけれども、ご指摘のホームレスの自立支援に関する特別措置法を見ていただきたいのですが、先ほど事例にも挙げましたとおり、第1条の目的の中で、ホームレスとなることを余儀なくされている者が多数いる云々ということでございます。
久 悟福祉部長
ホームレスの範囲をどこまでに限定するのかということでございますけれども、ご指摘のホームレスの自立支援に関する特別措置法を見ていただきたいのですが、先ほど事例にも挙げましたとおり、第1条の目的の中で、ホームレスとなることを余儀なくされている者が多数いる云々ということでございます。ただ、第2条の中の定義づけの中では、この法律におけるホームレスは、都市公園その他施設をゆえなく起居し生活している者を指す、すべてのそういった状態の人間を指すというふうに規定されております。そういうものを受けて、私どもの市の計画の中での対象は、すべてのホームレスを対象にするというふうになると思います。
それから、予算の問題でご指摘がございました。確かに、私ども居宅関係の予算とあわせまして、訪問指導、そういった部分の予算は大変重点的に組んでおります。これも、先ほどの答弁の中でも事例として申し上げましたけれども、やはり強制的に撤去ということではなくて、本人とのたび重なる接触でコンタクトを得て、お互いが共通理解できる中で、初めて入院であるとか移り住むとか、そういう意思決定を自主的にしてもらう、これがやはり問題の一番の解決の早道だろうというふうに考えております。
また、巡回指導等につきましても、ほぼ毎日のようにすべてのホームレスに接触し、それぞれ顔つなぎなり、本人たちとの意思疎通を図るということが一番中心になっている、そういう事業だということでご理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
会期年月: 2006年 9月
日程: 2006/09/13 第4 日目
件名: 2点目の都市公園等のホームレスの占有について、ホームレスの現状と市の認識と対応ということでのご質問でございます。
久 悟福祉部長
2点目の都市公園等のホームレスの占有について、ホームレスの現状と市の認識と対応ということでのご質問でございます。
まず最初に、市内のホームレスの現状でございますけれども、本年8月現在では、公園、道路等の公共の場に約200名の方が生活をしております。内訳は、都市公園が71名、河川が66名、道路に18名、駅舎1名、そのほか43名となっております。
これまでの本市の取り組みでございますけれども、平成14年8月7日に施行いたしましたホームレスの自立の支援に関する特別措置法に基づきまして、平成15年度からホームレスの自立に向けた本市独自のホームレス自立支援事業を立ち上げ、取り組んでまいったところでございます。具体的には、1つには、ホームレスが生活する場に指導員を派遣しまして、相談や具体的支援に結びつけるホームレス巡回指導派遣事業、2つ目には、自立の意思のある方を市の借り上げ住宅に入居させまして、自立への足がかりとするホームレス自立支援住宅事業、3つ目に、ホームレスの健康をサポートしますホームレス結核検診事業、これらの事業を総合的な施策として展開することで、他市に先駆けた取り組みを実施してまいったところでございます。
この間の成果としまして、40人近いホームレスが支援住宅に入居し、生活保護の適用や一部は就労して自立に結びついた例もございます。また、社会経済状況の回復基調に沿いまして、ホームレスの数も平成16年度の252人をピークに、この2年間では減少傾向にございます。
ご指摘の高架下、公園のホームレス対策でございますけれども、やはり夜露がしのぎやすいことであるとか水道があること、また、比較的繁華街に近いことで食料の調達や収入源となる廃品の回収がしやすいこと等々、こうしたことによりまして、ホームレスが選びやすい場所となっております。このため、近隣住民の方からも、幼児が遊べない、また不安であるなどの声が寄せられているところでございまして、市としても重点的に巡回指導に当たっているところでございます。
特に、最近の事例では、ご指摘にもございました市川駅周辺の高架下公園で、特に問題の多かったケースがございますけれども、この場合も住民の方々の要望を受けまして、大量に集積された自転車等の撤去について、巡回指導員や市の担当職員で粘り強く交渉し指導してきました結果、本人の健康相談に応じ、適切な受診指導と相まって、一定の解決のめどが立っているところでございます。こうした事例もあり、時間はかかりますが、一歩一歩解決を図っているという現状でございます。
また、これからの取り組みの対応ということでございますけれども、平成17年4月に策定いたしましたホームレス自立支援計画、これは市川市の計画でございますけれども、これに基づきまして、庁内の関係部署を初め、警察等関係機関とも連携し、ホームレスの自立支援に関する法律の趣旨また本市自立支援計画の理念に沿って、人権に配慮し、地域社会の理解と協力を得ながら必要な措置を講じ、ホームレスの自立支援並びに地域の環境確保に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
以上でございます。
会期年月: 2006年 2月
日程: 2006/03/01 第4 日目
件名: 福祉に関します3点のご質問にお答えいたします。
久 悟福祉部長
3点目のホームレスの自立支援に関するご質問でございます。平成14年にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法ができまして、市川市では県内で唯一、専門の担当部署を設け、独自のモデル事業を展開してまいりました。その中にはホームレスの巡回指導員派遣事業でありますとか、ホームレスの自立支援住宅支援事業、さらにはホームレスの結核検診事業などを実施するとともに、多くのホームレスを路上生活から復帰させるために、平成17年4月には市川市ホームレス自立支援実施計画を策定し、より具体的な施策の展開を行っているところでございます。現在でも公共の場に生活しているホームレスの数は、ここ数年、200人前後ということで、余り増減がございません。
そういう中で、この18年度、新たな施策ということでございますけれども、1つにはホームレスの総合相談事業、2点目にホームレスの能力活用推進事業、3つ目に個々のホームレスのアセスメントの検討事業というのを実施してまいります。
ホームレスの総合相談事業でございますけれども、これは南行徳公園内の旧管理事務所に街かど相談所というものを設けまして、ホームレスが気軽に相談、また就職、健康状態、そういったものについて相談し、支援ができるような方策を講じてまいります。
また、2点目に能力活用推進事業につきましては、経済的な支援、また就労に結びつく支援というのが大変重要になってまいります。そうした中で、これまでも清掃業務や廃品回収など都市雑業的な仕事ができるような仕組みをつくりまして、個々のホームレスが能力の活用が図れるようにしたいというふうに考えております。また、あわせまして、個々のホームレスが自転車の修理ですとか靴の修理など、知識、技術を習得することで、それぞれの能力に合った支援事業に結びつけるような事業を展開してまいります。
会期年月: 2004年 12月
日程: 2004/12/16 第5 日目
件名: お答えいたします。
伊藤常矩福祉部長
お答えいたします。
初めに、県が推進しております自立支援センター事業についてであります。モデル事業についてでありますが、市川市ホームレス自立支援実施計画案では、重点項目の1つといたしまして、広域的な施策の推進の中で広域的な自立支援センターの設置を明記いたしております。本市といたしましては、自立支援センター構想は広域的な運用での取り組みと位置づけておるところでございます。一方、ご質問者からただいまお話にありました県の自立支援実施計画案では、ホームレス自立支援センターを短期的な取り組みと位置づけており、小規模なセンターを各市単位で設置して、センターの運用は各市が個別に実施するとの構想であります。本市といたしましては、県及び近隣各市に先駆けまして自立支援住宅事業を展開しておりますことから、今後もこの事業の継続を主眼として事業を遂行してまいりたいと考えておりますので、今後、近隣各市に呼びかけまして、ホームレス問題の協議会を立ち上げた中で、広域的な自立支援センターの設置について協議をしてまいりたいと考えております。
次に、居住地を持たなくても保護申請は可能かでございますが、生活保護法では、保護の申請は保護を必要とする者、その者の扶養義務者またはその他の同居の親族の申請に基づいて開始するものと規定されており、居住地がなければ申請することができないとは規定しておりませんので、保護の申請は可能でございます。
次に、住所がないことから保護にならないというような対応についてでございますが、平成15年7月の厚生労働省からの「ホームレスに対する生活保護の適用について」の通知文書に、居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けることはないとした基本方針に対する留意点が示されております。この点を十分認識し、ホームレスの自立に向けて保護の適用方法を決定しておりますので、住む場所を確保してから来所するようにというような対応はしておりません。
次に、保護開始時に敷金等を適用して居宅保護をしたかについてでございますが、居宅生活ができると認められる場合の基本的な項目を満たした事例はないため、保護開始時に敷金などを適用したケースは現在までございません。ホームレスに対しましては、面接相談時におきまして、生活歴や居住歴及び現在の生活状況などについて確認はできますが、ホームレスが居宅生活を営む上で必要となる基本的な項目であります金銭管理、健康管理、家事、家庭管理、安全管理、身だしなみ、対人関係などについての確認が面接相談時だけでは困難なことから、敷金などの適用が難しい状況でございます。厚生労働省社会・援護局保護課の見解によりますと、一定期間、本人の生活実態を把握するため、保護施設や無料低額宿泊所など、生活状況を把握した上で判断するのが適当であるというような見解が示されておるところでございます。
次に、高齢や病気を持つ人について、救急車で搬送されるまで医療機関に受診できずにいるケースはないかについてでございます。受診が必要な者を発見した場合には、救急車により医療機関へ救急搬送を行い、外来治療の場合には生活保護法の急迫保護を適用し、入院治療が必要な者に対しては、調査により生活保護法を適用しているところでございます。また、ホームレスの多くが劣悪な衛生状態にありますことから、平成13年2月から管内のホームレスを対象とした結核検診を市川健康福祉センター、医師会、支援団体、市の4者の協力体制により、おおむね年2回程度の割合で検診を実施しておるところでございます。
次に、実施要領に沿った対応を職員に徹底しているかについてでございますが、ホームレスに対する生活保護の適用についての通知等につきましては、福祉事務所の保護担当班では毎月ケース検討会議を行っており、その中で厚生労働省や県などからの通知などにつきましても報告し、ケースワーカーへの周知徹底を図っておるところでございます。
以上でございます。
会期年月: 2004年 12月
日程: 2004/12/16 第5 日目
件名: 福祉行政について、ホームレス自立支援実施計画についてと生活保護行政についてお答えをいたします。
伊藤常矩福祉部長
福祉行政について、ホームレス自立支援実施計画についてと生活保護行政についてお答えをいたします。
初めに、ホームレス自立支援実施計画のねらいについてでございます。自立支援実施計画案は、市内の公共の場所で生活するホームレスが健康で文化的な生活を安定的に営むことができるよう、個々の実情に即した支援を実施するための施策を体系的にまとめ、さらに社会復帰のための具体的な取り組みを示したものでございます。本計画のねらいについてでございますが、ホームレスが抱える住居の確保、就労、健康など、さまざまな問題の解決を図るための方策といたしまして、社会復帰までの自立支援システムを構築し、各種施策を計画的に実施することにより、ホームレスの自立を支援していくことであります。一方、この計画が市民の皆様にホームレスに対する理解をいただくための1つの指針となることをねらいとしているところでもございます。
次に、市単独の新規事業の概略でございますが、自立支援推進会議により示されましたホームレス自立支援実施計画案の中で、社会復帰までの支援の方策といたしまして、第1段階は、社会との関係回復の始まりとして、ホームレス巡回指導員による巡回訪問、総合相談事務所の設置、第2段階といたしまして、課題分析として、個々のホームレスの自立支援の方向を示す支援者会議の設置、第3段階といたしまして、多様な支援の選択肢として、自立支援住宅、公的保証人制度、広域的な自立支援センターの設置、第4段階といたしまして、その人にとっての自立として就労支援などを明示いたしております。
次に、市のモデル事業総額の推移と今後の見通しについてでありますが、本市では、平成15年4月よりホームレス自立支援モデル事業を展開してまいりました。その平成15年度の当初予算額1,316万8,000円の内容ですが、巡回指導員の派遣事業、自立支援住宅事業、自立支援推進会議事業、住宅用備品、消耗品、支援用食糧費などの経費でございます。平成16年度の当初予算額は924万1,000円で、内容といたしましては、前年度とほぼ同様でございます。平成16年度当初予算が前年度より減額となった理由につきましては、平成15年度当初予算において、新規事業立ち上げによる経費といたしまして、備品及び自立支援住宅の敷金等を計上したことによるものでございます。今後のモデル事業の見通しについてでございますが、自立支援実施計画案の中にも位置づけられておりますように、今後も事業を継続してまいる方向でございます。
次に、生活保護制度、2003年7月の実施要領は十分に機能しているかについてでございます。ホームレスに対する生活保護の適用についての基本的な考え方につきましては、ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を受けまして、厚生労働省より平成15年7月に通知及び実施要領が示されたところでございます。生活保護の基本的考え方は、一般世帯と同様であり、単にホームレスであることをもって当然に保護の対象となるものではないと定めております。また、居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるということはないとしております。こうした点を踏まえ、就労活動や他法、他施策による貸付制度及び他からの援助などを活用しても、なお最低限度の生活が維持できない者については、自立に向けて必要な保護を実施すると定められておるところでございます。ホームレスに対する生活保護の適用に関する具体的な取り扱いにつきましては、面接相談時に生活歴、職歴などや現在の生活状況などの総合的な情報の収集、居宅生活を営む上で必要となる基本的項目の確認により、自立に向けて保護の適用方法を決定いたしております。居宅生活を送ることが困難な者については、保護施設や社会福祉法に規定されている無料低額宿泊所において保護を行っております。施設入所中においては、訪問調査により、必要な指導、援助が行われるよう生活実態を的確に把握し、日常生活訓練、就業の機会の確保などの必要な支援を行っております。病気などにより救急搬送された場合には、市内の医療機関及び消防局と連携を密にし、外来治療の場合、生活保護法の急迫保護を行っております。入院治療が必要な者に対しては、医療機関からの連絡により訪問調査の上、生活保護法を適用いたしております。
次に、過去3年間の路上死の件数でございますが、平成13年度4人、平成14年度4人、平成15年度6人、平成16年度は10月末現在3人で、合計17人となっております。
次に、過去3年間の保護申請と相談件数とその分析についてでございますが、ホームレスの申請件数につきましては把握ができておりませんので、全体の件数、保護人数及び世帯数の状況で申し上げます。平成13年度の相談件数は1,395件、受理件数は845件、保護人員は1,067人、834世帯であります。以下、同様に申し上げますと、平成14年度は1,294件、914件、1,091人、870世帯であります。平成15年度は1,170件、882件、1,101人、855世帯であります。平成16年度10月末現在では541件、435件、531人、390世帯となっております。保護世帯とその人数につきましては、バブル崩壊による長引く景気の低迷によるリストラや倒産などにより保護世帯が増加しており、平成8年度以降は著しく増加をいたしている状況でございます。
次に、門前払いや法外援護でお茶を濁すようなことはないかということでございますが、福祉事務所におけます面接相談時において、相談者がどのような問題を抱え困っているのか、詳細に聴取し、対応しております。例えば病気などのために医療機関に受診を希望している場合には医療機関に連絡し、診療を依頼いたしております。救急受診の必要な方に対しては救急車を要請し、受診させ、入院が必要な場合には調査の上、生活保護を適用いたしております。また、居宅生活を希望する場合には、社会福祉法に規定する無料低額宿泊所への入所を進めておるところでございます。
次に、3年間で居住地を持たずに医療機関に入院している被保護者の退院時保護継続件数とその分析についてでございますが、ホームレスが救急搬送され、急迫保護となった件数と入院に至った件数でございますが、平成13年度は235件で、うち42件、平成14年度は168件で、うち79件、平成15年度は173件で、うち97件、平成16年度では10月末現在95件で、うち47件が入院となっております。なお、入院中には生活保護を適用し、医療費及び日用品に必要な保護費を支給しているところでございます。退院時保護継続件数でございますが、平成15年度は8件、平成16年度10月末現在では9件で、退院後も継続して生活保護を適用しているところでございます。
次に、退院時保護継続に関する分析でございますが、入院期間中に担当ケースワーカーが主治医と面接し、患者の病状や退院後のケアについて確認を行い、高齢者や、退院後も通院治療が必要な者に対しては居宅を構える準備をするように指導を行っているところでございますが、ホームレスの方が居宅を構えるには、アパートを借りるときに必要な保証人の問題などで居宅を確保することにはなかなかつながらず、再び路上などの生活に戻ってしまうケースや、退院時に担当ケースワーカーに連絡せずに退院してしまうケースがほとんどでありますので、退院時に居宅を構えるケースが少ないというふうに考えております。
次に、稼働年齢であることを理由に保護を打ち切る事例はないかについてであります。本市では、稼働年齢であることのみをもって保護を打ち切るということはしてございません。ホームレスに対する生活保護の適用についての通知にも、稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではなく、留意するよう示されておるところでございます。稼働年齢で就労可能な者に対しましては就労指導を行い、就労先が確保され、安定した収入を確保することが可能になり、保護の必要性がなくなった場合に生活保護を廃止しているところでございます。
以上でございます。
会期年月: 2006年 9月
日程: 2006/09/13 第4 日目
件名: 猫実川周辺環境の整備について、2点のご質問にお答えいたします。
田草川信慈行徳支所長
猫実川周辺環境の整備について、2点のご質問にお答えいたします。
当該部分につきましては、地元ハイタウン塩浜の自治会の方々が自主的に除草や清掃等の作業を定期的に行っていただいておりますが、さきの合同視察の折にも環境改善の要望が出されているところでございます。さらに、塩浜体育館裏から海浜部にかけては住宅がない工業地域に属することもありまして、ごみの不法投棄やホームレスの方の定住など、著しい環境悪化を引き起こしております。したがいまして、浦安市側に比べて市川市側は、その河川管理用通路の幅員が狭いこともありまして、浦安市側と同等の環境整備を行うことは困難であると思いますが、今後はご質問者のご指摘のとおり、県と市が連携をとりまして地元自治会のご意見を聞き、また、ご協力もいただきながら、積極的に環境改善に取り組んでまいりたいと考えております。