左に出せるは夫の昨日愈府会議事堂にて開場せられたる四区二郡連
合町村会に発布せられし明治十九年度東区広小路町外五百三十六箇
町村連合町村費支出予算議案并に説明、同年度同町村連合費収入予
算議案并に説明なり
明治十九年度東区広小路町外五百三十六ヶ町村連合町村費支出予算
議案
一金百六十円四十銭 会議費
内訳
金八拾壹円六十銭 雑給
金七拾八円八十銭 雑費
一金四万七千九百貳拾三円五銭九厘 土木費 但共同家屋建築修繕
費
一金七百七拾三円貳拾九銭九厘 共有物諸費
内訳
金百九拾九円三拾四銭三厘 雑給
金五百七拾三円九拾五銭六厘 雑費
合計金四万八千八百五拾六円七拾五銭八厘
外
金百拾壹円六拾貳銭八厘 西区長堀南通り五丁目外五ヶ町村負担
内
金百九円八拾五銭六厘 土木費
金壹円七拾七銭貳厘 共有物諸費
総計金四万八千九百六拾八円三拾八銭六厘
説明 従来大坂四区町端及び其接近町村に介在する居民中無産無頼
其他乞丐に等しきもの夥多あり殊に其家居の醜体を極める実に名状
すべからず其不潔より流行病を誘発する等禍害を市民に及ぶすと鮮
少ならず因て是等のものを移転せしめん為他に廣潤の地を卜し共同
家屋を営設し之れに移住せしめ旧屋の撤除若しくは改修を促して以
て其風俗を良正し其健康を保維し併せて将来市民の安寧を得せしめ
んとす尚ほ経費の細目は左表に譲る
会議費 金百六十円四十銭
雑給 金八十一円六拾銭
書記以下給料 金三拾八円四拾銭
書記二人通常会七日臨時会五日毎会閉会後各二日を加へ延三十二
日間雇入一日一人金七拾五銭此金貳拾四円○小遣い五人通常会七日
臨時会五日毎会開閉前後各一日を加へ延八拾日間雇入一日一人金拾
八銭此金壱四円四拾銭
議員賄料 金四拾三円貳拾銭
議員二十四人十二日間延二百八十八賄一賄料金拾五銭
雑費 七拾八円八拾銭
印刷費 金五拾八円八拾銭
通常会臨時会議案各三十五部一部金貳拾四銭此金拾六円八十銭○
同議事決議録各三十五部一部金六十銭此金四拾二円
需用費 金貳拾円
筆紙墨炭茶等開会一度金拾円
土木費 金四万八千三拾貳円九拾壹銭五厘
内金四万七千九百貳拾三円五銭九厘東区広小路町外五百三拾六ヶ
町村負担○金百九円八拾五銭六厘西区西長堀南通五丁目外五ヶ町村
負担
共同家屋建築修繕費 金四万八千三拾貳円九拾一銭五厘
地所買上費 金九千四百七円拾九銭
畑地反別七町二反三畝十九歩一反金百十五円此処金八千三百廿壹円
七拾四銭五厘○同上毛手当一反金拾五円此金千八拾五円四拾四銭五
厘
地上げ並地均し費 金四千三百四拾一円八十銭
面積貳万千七百九坪平均一尺貳寸運搬仕立共一坪に付貳人掛四万
三千四百十八人に付金拾銭
溝修繕費 金貳千五百七円七拾銭
大溝延長四百廿四間巾深さ共三尺一間に付貳拾二銭五厘此処金九
拾五円四拾銭○葭根土立八拾四坪八合壹坪に付壹円此金八拾四円八
十銭○小溝延長三千三百貳拾五間巾平均七寸両側立山石底面敷瓦壹
間に付七拾銭此金貳千三百貳拾七円五拾銭
家屋建築修繕費 金貳万四千五百三拾五円
平家二千七百戸内三坪建七百戸貳坪建貳千戸此総建坪六千百坪一
坪に付金四円此金貳万四千四百円○修繕費一戸金五銭此金百三拾五
円
板橋架設費 金三拾八円四拾銭
板橋四十貳ヶ所内拾貳ヶ所巾一間長三間五寸一ヶ所金貳円此処金
貳拾四円○同三十ヶ所巾四尺四寸長壹間壹ヶ所金四拾八銭此金拾四
円四拾銭
井戸新設費 金千百四十七円五十銭
戸数二十戸に一ヶ所此総数百三十五ヶ所一ヶ所金八円五十銭
厠{}建築費 金五千六十二円五十銭
戸数二戸に一ヶ所此処総数千三百五十ヶ所一ヶ所金三円七十五銭
芥溜設置費 金百八十円
戸数十五戸に一ヶ所此処総数百八十ヶ所一ヶ所金一円
道路修繕費 金五百二十一円三十二銭五厘
道路三千四百七十五坪五合一坪金十五銭
街燈并樹木費 金六十二円
街燈二十基一基に付二円五十銭此金五十円○樹木費二百本に付六
銭此金十二円
事務所建築費 金二百二十九円五十銭
事務所一ヶ所平家三十坪一坪に付七円此処金二百十円○厠{}二
ヶ所一ヶ所に付五円此金十円○芥溜一ヶ所一円○井戸一ヶ所金八円
五十銭
共有物諸費 金七百七十五円七銭一厘
内金七百七十三円二十九銭九厘東区広小路町外五百三十六ヶ町村
負担○金一円七十七銭二厘西区西長堀南通五丁目外五ヶ町村負担
雑給 金百九十九円八十銭
家守一人月給金十円筆生一人月給七円小使三人一人月給金五円掃
夫四人一人月給金四円月計四十八円十九年十二月より二十年三月迄
四ヶ月積算金百九十二円○臨時人夫三人一ヶ月雇日数五日此延日数
六十日一人金十三銭此処金七円八十銭
雑費 金五百七十五円二十七銭一厘
地券證印税金二十七円六十銭八厘○土地買い入れ高四十分一金二
百八円四銭四厘○地租半額金六十七円二十二銭九厘○地方税地租割
后半期分金二十二円四十銭八厘○同戸別割一戸三銭戸数二千七百戸
此金八十一円○一時扶助費金五十九円十八銭四厘○硯函掉子椅子時
計算盤金匣茶碗土瓶火鉢等の備付品費金五十円○筆墨紙朱石油炭等
の消耗品費金六円四ヶ月積算金二十四円○街燈用石油一ヶ月六斗四
ヶ月分并ランプホヤ等金二十五円六十銭
合計 金四万八千九百六十八円三十八銭六厘
内金四万八千八百五十六円七十五銭八厘東区広小路町外五百三十
六ヶ町村負担○金百十一円六十二銭八厘西区西長堀南通外五ヶ町村
負担
土木費参攷表
四区二郡内町村移転戸数
区郡長村名 戸数
南区
日本橋筋三丁目 五〇〇
同 四丁目 七四六
同 五丁目 六七八
御蔵跡町 一三
高津町 三番町 六
同 四番町 一一
同 五番町 一五
同 六番町 一六
同 七番町 四八
同 八番町 二
同 九番町 一四
計 二〇五〇
区郡長村名 戸数
西区
本田三番町 三〇
本田通一丁目 二〇
計 五〇
東区
和泉町一丁目 三〇
計 三〇
北区
木幡町 一〇
岩井町二丁目 一〇
計 二〇
西成
難波村 二五〇
計 二五〇
東成
天王寺村 三〇〇
計 三〇〇
合計 十八ヶ町村 二千七百戸
明治十九年度東区広小路町外五百三十六ヶ町村連合町村費収入予算
議案
一金壹万四千四拾九円拾銭三厘 営業割
外一厘寄過 但地方税中営業税雑種税総額貳拾万六千百六拾円三拾
円三拾一銭
地方税額拾円に付金六拾八銭壹厘四六五
一金三万貳千七百八拾壹円貳拾四銭 戸別割
外金壹千寄過 但総個数三百貳拾三万千八百九拾六個壹個に付金壹
銭〇一四三〇四
一金貳千拾六円四拾壹銭五厘 雑収入
合計金四万八千八百五拾六円七拾五銭八厘
外
金百六円九拾八銭三厘 西区西長堀南通五丁目ヶ町村負担
金四円六拾四銭五厘
総計金四万八千九百六拾八円三拾八銭六厘
説明 此連合町村費賦課総額四万八千八百五十六円七拾五銭八厘を
営業戸別「営業に十分三戸別に十分の七」の両科目に分賦せんとす
而して営業割は十九年度区郡両部地方税中営業税雑種税「国税ある
ものを除く」徴収予算額に基き其率を定め戸別割は土地の状況を量
り建物の坪数と地位の等級を目安として乗率を設け家屋の空実を問
はず該所有者に賦課し官舎「地位等級は隣地に比凖す」の拝借人あ
るものは同一の凖率により其現住者より徴収せんとす尚ほ其細目は
左表に掲ぐ
営業割 金壹万四千四拾九円拾銭三厘
本項予算は総賦課額の十分の三にして本年度四区及接近町村区町村
費賦課の割合を以て此予算をなす
戸別割 金三万二千七百八拾一円貳拾四銭
本項予算は総賦課額の十分の七にして同上の割合を以て此予算をな
す
雑収入 金貳千貳拾六円四拾一銭五厘
本項予算は貸地料家賃及屎尿代価なり
合計 金四万八千八百五拾六円七拾五銭八厘
外
金百拾壹円六拾貳銭八厘 西区西長堀南通五丁目外五ヶ町村
戸別割参攷表(略)
明治十九年度東区広小路町外百三十六ヶ町村連合町村費中営業割賦
課方法議案
明治十九年度東区広小路町外百三十六ヶ町村連合町村費中営業割の
賦課及び賦課方法は四区各町は明治十八年「十二月」本府甲第十三
号布達に西成東成両郡各町村は同第百拾四号布達に依凖す
但国税を納むるものは之を除く
明治十九年度東区広小路町外百三十六ヶ町村連合町村費中戸別割賦
課方法議案
戸別割賦課方法
第一条 戸別割は建物と其の敷地の地位を凖とし第四条の方法に依
り得る所の個数を目安とし家屋所有主に之を賦課す但官舎に居住す
るものは其現住者に賦課す
第二条 西成東成両郡各町村の地位等級は其地価に依り四区の地位
等級に引直し又官有拝借地及官舎敷地は隣地の地価に比凖し其地位
等級を仮定す
第三条 建物の調査は左の項目に拠る但四区各町は明治十八年三月
所轄区役所の達に依り各所有主より差出したる建物調書に拠る
第一項 諸建物は外側戸締「戸締まりなきものは周囲の礎柱」限り
取り調ぶべきものとす但俗に屋垂れと唱へ本建物に添へ屋根をなし
住居或は物品を貯蔵する為めに設くる「戸締あるもの」ものは本文に
凖ず
第二項 二階三階及下家「河岸等に在て通常住居床の下に座敷を設
くるもの」も又外側戸締限りとし各別に調ぶるものとす但俗に物置
と唱ふる類にして住居に堪へざるものは之を除く
第三項 左に掲ぐるものは坪数に算入せず
一 社寺同宇并に之れに類する祭典法用に供する建物
一 公私立学校教育場貧員盲唖院の類
一 戸長役場其の他官衙が使用するもの
一 仮小屋「礎なきもの」
一 外側戸締外にある井戸場便所及び甲建物より乙建物に至る伝
ひ繰の類
一 通用門
一 二階三階等の上り口及び明り取り窓
第四条 個数を算出するは左の方法に拠る
一 建物の種類を区別する左の如し
居宅 乗率 一、〇
同二階以上及下家 同 〇、七
居宅に非ざる建物 同 〇、五
一 敷地の地位を区別する左の如し
一 等 地位二十等以上 乗率 一三、
〇
二 等 同二十一等より四十等まで 同 一二、
五
三 等 同四十一等より六十等まで 同 一二、
〇
四 等 同六十一等より八十等まで 同 一一、
五
五 等 同八十一等より百等まで 同 一一、
〇
六 等 同百一等より百二十等まで 同 一〇、
五
七 等 同百二十一等より百四十等まで 同 一〇、
〇
八 等 同百四十一等より百六十等まで 同 九、
五
九 等 同百六十一等より百八十等まで 同 九、
〇
十 等 同百八十一等より二百等まで 同 八、
五
十一等 同百四十一等より百六十等まで 同 八、
〇
十二等 同二百二十一等より二百四十等まで 同 七、
五
十三等 同二百四十一等より二百六十等まで 同 七、
〇
十四等 同二百六十一等より二百八十等まで 同 六、
五
十五等 同二百八十一等より三百等まで 同 六、
〇
十六等 同三百一等より三百二十等まで 同 五、
五
十七等 同三百二十一等より三百四十等まで 同 五、
〇
十八等 同三百四十一等より三百六十等まで 同 四、
五
十九等 同三百六十一等より三百八十等まで 同 四、
〇
二十等 同三百八十一等より四百等まで 同 三、
五
廿一等 同四百一等より四百二十等まで 同 三、
〇
廿二等 同四百二十一等より四百四十等まで 同 二、
五
廿三等 同四百四十一等より四百六十等まで 同 二、
〇
廿四等 同四百六十一等より四百八十等まで 同 一、
五
廿五等 同四百八十一等以下 同 一、
〇
一 以上算出の例第一い建物の坪数を定め第二に建物の種類の率
を乗じ第三に敷地等級の率を乗じ以て個数を定むるものとす
第五条 戸別割は納期「初日」現在の所有主「官舎は現住者」より徴
収す但納期中新たに家屋を建築し又は増築するものは其の時々之を
徴収す
共同地所家屋貸与料議案
共同地所及び家屋貸与料左の通相定む
著者:朝日新聞
表題:連合町村会議案説明
時期:18861017/明治19年10月17日
初出:朝日新聞
種別:長町取払/連合町村会