畳一畳に一人の職工住宅 調査結果発表

   大阪市労働調査課では予て大阪府下の職工の住宅調査を開始してゐ

   たが七千八百四十七戸の調査材料を蒐集し得、尚整理を終つたので

   今回その結果を発表したそれに拠ると

   大阪市内一人当り畳数二畳七

   接続町村一人当り畳数二畳〇

   郡部一人当り畳数一畳八

   となりこの平均は二畳二・五となる家賃は比較的安いところの鶴橋

   町で一畳当り一月六五銭で職工の家族全員は各々一月一円三十四銭

   の家賃を支払らうてゐる勘定になる。畳の広さと天井の高さとを算

   盤にのせて一人当りの空間《スペース》を弾き出して見ると三百五

   立方尺にしかならぬ。これが長屋建で土間も殆どないものが多いの

   だ、普通海員の一人の領する空間《スペース》は百七十五立方尺と

   定められてあるさうだがコレは食堂も病室も別になつてゐるが長屋

   きなると起居一切の道具も雑然と置かざるを得ないし病気しても別

   な所へ行く訳にもゆかぬ、家の向いてゐる方角は北と西とかが三割

   二分あつて最も衛生的だと思はれる家は全部の内に僅か二割しかな

   い。

   

   著者:大阪朝日新聞
   表題:畳一畳に一人の職工住宅調査結果発表
   時期:19201110/大正9年11月10日
   初出:大阪朝日新聞
   種別:住宅問題