前年来大坂河内大和の有志者に於て計画中なりし大坂、大和間鉄道
敷設の儀は追々賛成者もありて協議も略ば整ひ且つ取調向等の事も
大略ね結了したるに付愈々右線路の実測に着手せらるゝ由にて其旨
一昨日大坂府庁へ出願したりと云ふ但し右有志者の計画に拠れば該
線路は大坂生魂辺か若くは天王寺近傍より起りて大和葛下郡高田村
に至る此里程十里間に布設する見込にて先頃北浜の高田商会へ右用
鉄軌《レール》並に要具品等の買入代価の概算を問合されし処同商
会の見積にては殆んど二十万円内外の巨額を要するとの事なれども
布設の上は充分収支相償ふを得可く且つ数年ならずして資本金を償
却し得らるゝ予定なりと又右の発起人は大坂にては浮田桂造、貴田
孫二郎、竹田忠作、岡橋治助の四氏、大和にては中尾重太郎、恒岡
直史の二氏及び河内にては山荘逸作氏、摂津にては佐々木政行氏問
うなりといふ。
著者:大阪日報
表題:和坂間鉄道敷設の計画
時期:18860926/明治19年9月26日
初出:大阪日報
種別:鉄道建設