神戸港なる燐寸製造所より同港居留支那商店へ売込む燐寸の五十銭
方騰貴したることは此程の紙上に記せしが又々一両日節より三十銭
方騰貴し猶ほ商勢は悪しからざるよし今その原因を聞くに元来支那
地方にては毎年五月頃より当節まで夏季の候には燐寸の薬が戻ると
て需用者少く漸く此節に至りて買入を始むるより例年頃日騰貴を致
す習なるが今年の如く騰貴せし事は未だあらざる事にて是れ全く支
那地方の販路大に開け輸出額の増加せしに因るものなりとのことな
り。
著者:大阪日報
表題:燐寸騰貴
時期:18860926/明治19年9月26日
初出:大阪日報
種別:燐寸