「バブル経済」崩壊後の福祉窓口

−市更相の数字を検討する

「バブル経済」崩壊後、市更相に相談のため訪れた労働者は、91年度の1万人台から9294年の1万3千人台に増加している。

震災後の95年度は1万人台と91年度の水準に戻っている。

増加した部分を「新・再ケース別(4)」で見ると、おおよそ新ケース1,500人、再ケース1,000人の増加であったと判断される。

相談に訪れた労働者の希望は、91年度においては「入院」希望と「入所」希望の割合に大きな差はなかったが、不況の深まりとともに「入所」希望者の割合が増え続けている。

93年度では、5,336人の入所希望に対し、「施設送致」は834人に留まっている。

勿論、相談業務の結果、職員の判断により相談者の希望どおりとはいかなかったが、適切な「措置」に振り分けられた結果であるかもしれない。

しかし、大阪市が入所に利用できる施設は、2千人に満たないものであることを考え合わせると、措置決定が、相談者の必要に基づいてではなく、対応できる枠内での操作に過ぎないものであったとも言えるかもしれない。

4分の1を占める「助言援助」とは、

  1. 家族へ連絡をとった者、
  2. 飲酒が判明した者
  3. 嘘偽が判明した者である。

「その他」とは、病院だけの紹介の相談、ケアセンターへ入所(7日〜14日)した者である。

1991(H.3)

1992(H.4)

1993(H.5)

1994(H.6)

1995(H.7)

件数

件数

件数

件数

件数

相談件数

10,799

100%

13,031

100%

13,247

100%

13,127

100%

10,599

100%

保護決定

2,388

22.11%

2,541

19.50%

2,410

18.19%

2,309

17.59%

1,876

17.70%

保護内訳

施設送致

588

24.62%

797

31.37%

834

34.61%

687

29.75%

524

27.93%

一般病院

1,219

51.05%

1,223

48.13%

1,094

45.39%

1,154

49.98%

966

51.49%

精神病院

205

8.25%

195

7.67%

190

7.88%

198

8.58%

149

7.94%

医療単給

29

1.21%

15

0.59%

24

1.16%

18

0.78%

30

1.60%

結核

342

14.32%

311

12.24%

264

10.96%

247

10.70%

206

10.98%

旅費

1

0.04%

0

0.00%

0

0%

5

0.22%

1

0.05%

助言援助

2,580

23.89%

3,461

26.56%

3,671

27.71%

3,712

28.28%

2,712

25.59%

法外援助

1,042

9.65%

1,509

11.58%

1,415

10.68%

1,415

10.78%

853

8.05%

保留

503

4.66%

460

3.53%

434

3.28%

449

3.42%

300

2.83%

その他

3,606

33.39%

3,606

33.39%

4,387

33.12%

3,665

27.92%

3,437

32.43%

保護変更・医療券

680

6.30%

740

5.63%

930

7.02%

1,577

12.01%

1,421

13.41%

市更相各年度「事業概要」生活相談受付状況・図2・措置別内訳により作成

1991(H.3)

1992(H.4)

1993(H.5)

1994(H.6)

1995(H.7)

件数

件数

件数

件数

件数

相談件数

10,799

100.%

13,031

100%

13,247

100%

13,127

100%

10,599

100%

入院

2,956

27.37%

2,383

18.29%

2,044

15.43%

1,960

14.93%

1,814

17.11%

入所

3,161

29.28%

4,634

35.56%

5,336

40.28%

5,105

38.89%

3,869

36.50%

旅費

36

0.33%

35

0.27%

44

0.33%

68

0.52%

27

0.25%

医療券・他

1,110

10.28%

1,553

11.91%

1,423

10.74%

1,996

15.20%

1,883

17.77%

診療

3,536

32.74%

4,426

33.97%

4,400

33.22%

3,998

30.46%

3,006

28.36%

▲市更相各年度「事業概要」生活相談受付状況・図1・主訴別内訳により作成

1991(H.3) 1992(H.4) 1993(H.5) 1994(H.6) 1995(H.7)
入所

3,161

4,634

5,336

5,105

3,869

保護入所

588

797

834

687

524

入所率

18.6%

17.2%

15.6%

13.5%

13.5%

1991(H.3) 1992(H.4) 1993(H.5) 1994(H.6) 1995(H.7)
入院

2,956

2,383

2,044

1,960

1,814

保護入院

1,795

1,744

1,572

1,617

1,351

入院率

60.7%

73.2%

76.9%

82.5%

74.5%

「施設送致」数を、主訴別内訳の入所希望者数で割ったものが入所率、「保護入院」は一般病院・精神病院・医療単給・結核を合計したもの

市管施設(平成7121日現在)

救護施設 12 (定員 1,210名)
更生施設 5 (定員  685名)
宿泊提供施設 1 (定員  50名)
宿泊施設 1 (定員  88名)

大阪市が入所に使える施設は上に紹介した通りで、合計して2千名にも満たないことは先ほども述べたが、単泊やケアセンターとして利用される施設も含まれているし、毎年人が入れ替わるというわけでもないので、入所希望に応じられる枠は5百名前後と推定される。

92年、93年の「施設送致」数の増大は、「保護基準」を無視して定員を超える人員を入所させていた事を示すものと解される。

91年から95年にかけての、「措置内訳」の中で「保護決定」が占める割合の低下と、「保護変更・医療券」の占める割合の増加は、病院を施設替わりに使っていたことのあらわれとも読み取ることができるものである。

市更相個々の職員の質・職務態度が問題なのではなく、押し寄せる相談者に対応できるだけのバックボーンが存在しないことが問題とされなければならない。

行旅死亡・路上での死で把握可能な数字が下の表である。これを零とするために。

年度 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94
大阪市 216 207 211 208 216 198 210 252 225 262 238 203
西成区 89 86 97 85 106 100 89 124 115 102 77 58