日刊えつとう
71年12月31日ー72年1月4日(抄録)
釜ケ崎越冬対策実行委員会発行

 

71年12月31日大晦日号

*「どうしょうもなくなったら」

『釜ケ崎労働者は仕事のなくなる冬は苦労するんや。倒れて死んで行くもんもでる。何とかせえ、お前らの責任やないか!』

こないゆうて、俺達は、行政と団交した。そしたらどうや、市の民生局の片山いうやつは、

「釜ケ崎の人は、貯金もせんと、すきで青カンしてるんでしょう」とぬかしよった。

  俺達は弱いもんや。弱いけど助け合うことぐらいできる。十円の金を5円ずつにしてもしのぐことができるんや。俺達は、仕事がのうても楽しい正月を過ごすことができる。

 テントも借りた。市場へ買物も行ってきた。遊び道具も少ないけど集めてきた。はんば用のフトンも借りてきた。場所もある。

 みんなで楽しい俺達の正月を作れるようになった。俺達のほとんどはどっか体を悪うしてる、いうてお医者はんも来てくれよった。

 金なんか問題ちゃう。あるモンもないモンも4条ケ辻公園(今宮中学南、ガード外・裏に地図)に来てくれ。道に倒れてるオッサン、メシ食う金のないオッサンがおったら連れてってくれ

*「今日は更生相談所(銀行のあるとこ)がオールナイトでやってる!」

 行政とケンカしたかいがあって更生相談所が1晩中あくことになった。

*「無料健康診断を受けよう!」

 31日・1月1日〜3日、昼〜夕方

 健康診断いうても普通の病院でやるような固苦しいモンやない。それでも、血圧測定や尿検査なんかもやってくれる。治療の受け方、健康保険の取り方も教えてくれる。体だ体。大事にしようや。

*「ドロンコソフトボール大会報告」

 ヤツタワ、ヤツタワソフトボール大会。昼を過ぎてから雨のキツクなった昨日、それでもソフトボール大会は行われた。

水たまりのできたグランドで、ナグル・ケル、いやまちがえた、投げる・打つのボール投げごっこ。いい年さらしたオッサン連中の若々しいこと。ヨクヤッタヨ、ホント。

 次回ー1月3日1時・今中校庭にて

*「今日は正月前夜祭!」

 5時から3角公園・とびいりのど自慢大会

72年1月1日元日号

*「新年おめでとうございます!?

 釜ケ崎の正月を何とか過ごそう!」

 ほんまに不景気やるおととしはバンパク、バンパクいうて、ええ仕事もぎょうさんあった。

ところが、十月にセンテーできてからどうや。デズラは下がるし、「こまわり」も少ななる。ドルショックもあって、去年はあまりええ年やなかった。

 今年こそ、正月の心配せんでもええようにガンバロウや。今年ちゅうもんを作り出そうやないか。

 今日から正月。今年の正月は仕事がのうても楽しく過ごせる。

もちつき、バドミントン(女みたいやけど)、ソフトボールもある。金がのうてもかめへん、メシが食えるんや。

ほんまに困ってる人は4条ケ辻公園に来てほしいし、そんなオッサン知ってる人は連れて来てほしい。正月の3日間はみんなで助けおうて楽しくすごそうやないか

*「あしたはすもうを」

 まだまだ足腰は丈夫や。4つに組んだら俺のもん。釜の3役は誰か。武者ぶるいしてるおっちゃん、明日の1時、4条ケ辻公園やで!

*「つらい正月や・なんでや・どないしょう」

 役所はぎょうさん金持っとっても、俺たちには何もしてくれへん。ろくな施設も用意せんと役人さんは窓口だけ残して適当にやっとる。

俺たちのことをどない思うとるんやろ。警察はもっとひどい。ふだん面倒みてくれんポリ公が、もっともらしいこというて精神病院に送りこんだりする。俺たちは気ちがいとちゃうで。

 やっぱり俺たちのことは俺たちでせなあかん。

そない思うて越冬対策実行委員会つくった。 

昨日の見まわりで、大晦日の夜泊るとこのない仲間50人くらいテントにきた。

おせじにもリッパな施設、メシとはいわれへんけど、役所みたいにペコペコする必要ないし、皆おなじ仲間やから、気ィ使わんでエエことが取り得や。

 テントで1泊してから、1月の中頃までメシと布団の出る施設に出発や。

テントで皆とそろって正月を過ごしたいけど、越冬対策は3日までしかでけへんし、今日も明日も困った仲間が増えるやろから、元気の出たもんから次の仲間の為にテントを空けるんや。

 正月がすんだら仕事が来る。みんなで、少しでも倒れる者が少なくてすむよう努力しようやないか。

釜ケ崎の仲間が解放されるまで、まだまだ苦しいことがあるやろう。そやからこそ、この冬をみんなが団結して乗り切って、解放を闘いとる足がかりにせなあかんのとちゃうか。ガンバロウ!

*「無料健康診断をうけよう」

*「今日(半分消して)・明日(雨天の為2日に延期です)・モチツキ大会・午後1時から」

 きょうは1972年1月1日や。世間では正月なんやな。まずはおめでとうさんや。

 正月いうとモチが出なウソや。そこで俺たち、モチツキやって、モチを食べようと思うんや。

モチ米もカマドも用意してあるで、モチツキやりたいおっさん、集まろうやないか。モチを食べたいおっさん、集まろうやないか。

*「とびいりのどじまん大会ほうこく

 きのうの晩は楽しかったな。テレビでどっかの歌手が歌っとるのをきくんやなくて、俺たちの大晦日をすごしたんや。みんな歌がうまかったなあ。

 エノケンやったおっさんは役者や。炭坑節や、俺たちの釜ケ崎人情を歌ったおっさんもいたなあ。女の子たちも、圭子の夢は夜開くをうたったんやで

 みんなで百人ほどののどを競ったんやで。3角公園へ行った俺たちは数百人や。

*3日ソフトボール大会

1月2日・正月+1日号

 *「俺達に『死ね!』と云うのか!

 閉められた中更相の窓口

 元旦の昨日、更生相談所(あいりん会館)の窓口がいきなり閉められた。それは、どうやら市民生局のエライさんのさしがねらしい。

 俺達は市民生局と2回の団交をもった。

その中で役人に確かめさせた1番大事なことは次の点や。困った釜ケ崎労働者を収容できるだけの施設(中更生じきょう館など)を用意すること。

 行政は「ちゃんとやります」と言っておきながら、今になって知らんと言う。

大阪市の越年対策は『年を越す』だけやから、年を越して正月になったらあとは知らんとぬかしたんや。

元旦になったら青カンせなあかん人間がなくなり、皆が仕事にも行けるようになるとでも思うてるんや。

 もう俺達が助けおうてしのぐしかない

 ネクタイしめてイスにふんぞり返っているような役人はもう信用できん。ポリも同じやし絶対信用できんのや。

信用できるのは俺達の仲間しかない。

俺達が、倒れてるモンを病院に連れていったり、少ない金を出しおうて、メシを食ってないモンにメシを食わしたるしかないんや。

『自衛』や。他人を助けることは、いつか自分が困った時、助けてもらうことにつながってくる。皆で助け合おうやないか。

 金があるもんはちょっとでもええからだしてくれ。体のあいてるモンは、倒れてるモンを探したりするのをてつだってほしいんや。

そして、無責任な殺人行為に俺達の怒りを示そう。

*「テント周辺」

 働く仲間があつまっている4条ケ辻公園では、3〇日朝のテント設営以来、愉快な事柄や騒ぎがあります。

 :すもう大会が近づき練習をしていたモンが、張り切りすぎてズボンの尻を破いてしまいました。

 :昨夜は収容された仲間が多すぎ、1ケ所であったタキ火を3ケ所にふやして暖を取りました。

ジッと火にあたっているのもつまらないので、歌を唄いはじめ、大合唱となり1昨日の3角公園での、のどじまんの合唱版がたのしまれたのです。

 :25日から続けられている夜間パトロールにたくさんの働く仲間も加わり昨夜は4班に別れて行われました。

ところがパトロール員の意気込みにもかかわらず、これまで幾夜にも渡って行われていたので、困っている収容する仲間が少なく、元気にタキ火をかこんでいる青カンする仲間からはげまされることになった。

*「3日ソフトボール大会」

 明日の1時から今中学校の校庭で

*「医療センター臨時開業・正月の間午後1時から3時・酒気厳禁」

 更生相談所の業務中止により困っている仲間に朗報!

昨夜、実行委員会の要請で医療センターの本多先生が、テントを訪れられ、

正月のあいだ開業することを約束されました。

但し、先生はキビシイひとで、のんで酔っていると、診サツしてくれないことがあるから注意してください。

*「越冬対策実行委の健康診断も3日まで1時からやっています

*1月2日4条ケ辻公園でやったろ!

「もちつき・午前十時から」

 雨のため1日延びたもちつき大会が、時間を変えて十時より行われます。

*「カンパ・いつでも」

 更生相談所が、仕事をやめてもたから、ぎょうさんの仲間をまかなうのが苦しなりました。

これまで、11月頃から駅前でカンパなどを集めてきたけど、算段が狂いそうです。

*「すもう・午後1時から」

 街のなかブラブラして、面ろいことなかったら、皆でうんどうしまへんか。

冬の寒いときや。力1杯ぶつかりおうたら体ぬくもって、さっぱりするで ま、タキ火に当たって、仲間と時間つぶすだけでも、4条ケ辻でのんびりやろう。

*「炊き出しに手伝いを!」

 29日以来、俺達の仲間に炊き出しを続けている。

この頃、手伝うてくれるモンが増えだして、実行委もやっと気ィついた。元気なモンは手伝うてくれへんか。

腹のへってるモンに少しでもウマイものを、はよ料理して食わせたらなあかんのや。ソマツなもんしかでけへんからよけいや。

*「かすみの比方」

 昨日、夕方6時頃、仕事をやめてしまった更生相談所(あいりん会館)へみんなでおしかけた。

恐れをなしたか、あいりん会館は電気を消してマックラ。「話わしにきたんやからでてこい」いうてもナシのツブテ。どうこうしているうちに、ポリが5人(私服1人)やってきた。(カオス)

1月3日・元旦+2日号

*「トンコした大阪市民生局」

 抗議声明・大阪市民生局片山主幹殿

 貴局は我々越冬対策実行委員会との約束である市立更生相談所を窓口とする無料宿泊あっせんを年末のみでうちきり、多くの労働者に青カンをよぎなくさせ、死に到らしめている。

 我々は、ただちに約束どうり、業務を継続することを要求する。

 1月2日釜ケ崎越冬対策実行委員会

*「おれいはせないかん」

 責任者である大阪市民生局片山主幹を徹底的に追求しよう。約束をやぶったお礼は必ずせないかんと思う。

困ってる労働者は同じ労働者として、わしらができるだけやる。

そのかわり、税金をたらふく食って、ヌクヌクとしてる役人は、必ず、青カンのしんどさを思い知らせないかん。

「好きで青カンしてる」とまで言うた奴に、釜ケ崎労働者の力を思い知らさないかん。

 以後、行政に対する本格的糾弾闘争を行う。みんなで参加しよう。

*「ソフトボール大会・本日1じ・今宮中学校庭にて」

 集合場所ー12時3〇分、4条ケ辻公園

*バトミントン・すもう大会も合わせて、1時から4条ケ辻公園で行います

*「もちつきに来たポリ公」

 昨日のもちつき大会にポリさん2匹登場して、ポリ公帰れの大合唱。

*「無料健康診断、4条ケ辻公園」

*「医療センター開業・午後1じから

3じ・酒をひかえた状態で!
 お詫び:昨日の紙面で「本田先生」を本多と書いたことを詫びます。

*「1月2日のテント周辺報告」

 :もちつき大会を十じからやった。かまどを2つ使うて、セイロで蒸して、湯をわかして、5斗ばかりをついたんや。

その場で納豆やきなこや大根おろしをつけて1斗ほど食うてもて、後は晩メシに使うた。皆が出しおうたカンパの1部でみがき粉などを使うてあと片付けまで順調にいったんや。おっちゃんも「もちつきやったん何年ぶりやろ」言うて、うれしそうやった。

 :すもう大会は1時からじべたに丸かいてやった。

7、8人抜いたもんは多かったけど、さすがに十人抜きは3人だけや。2人は柔道とケンポウをやっとったもんで、も1人はスピードと技の達人やった。

 :医療のほうは、昼から18人が医療センターへ行って薬をもらい、そのうち中更相に6人、阪和病院に2人入った。

このとき中更相に入れたんは、医療センターから言うたからや。俺達が行っても受け付けやがらんのは、収容人員が限界に近いのもあるが、行政当局がアンコのことを人間とも思うてないからとちゃうんか。俺達は「人殺し」の行政を許すことはできんし、最後まで闘わなあかんのや。

*「演説をしたオッチャン」

 きのうの晩メシの用意はやけに急がしかった。作っても作っても皆にいき渡らへんのや。

朝メシは130食、昼メシは160食、晩はなんと270食というのが集計してわかった。

1日から手伝いにきてくれた和食で7年調理師やったオッチャンが調理の受持ちや。そこで皆に言うた。

「アンコどうしや、冬のきびしさを何とか越さなあかん。限られた材料を皆に不公平のないように調理して出すのがわしの役目や。金をもらう仕事と同じように腕かけてやりたいんや。皆も協力して冬を越そうやないか。」というように話かけた。

集まっていた仲間は、オツチャンの気概と助け合うことの大切さに気付いたんや。

越冬対策をやる仲間も義務なんかでやっとるんとちごうて、困っているときは互いに助けおうて生きていくのは当たり前なんや。行政が俺達をいじめているときはなおさらやるんとちゃうか。こんなときこそ行政を突き上げなあかんのや。

1月4日・元旦+3日=最終号

*「俺達の怒りを・更に」

 今日の朝の炊き出しを最後に、俺達の公園での越冬対策は終わる。

昼までには、多くの労働者が夜を共にしたテントもたたむ。

もちつき大会もあったし、のどじまんもあった越冬対策。

それは越冬対策なんてもんやなくて、苦しいながらも俺達で作り上げた、俺達の正月やったと思う。

みんなで米をとぎ、もちを丸め、たきぎを集め、お互いの仲間を助け合うことができた。それだけでも、十分やったねうちはあったはずや。

 現在わかっている死んだ仲間は1人。あれだけみんなでパトロールをがんばったのに、1人でも死なせてしまったことが残念でしようがない。

でも、俺達が、越冬対策をやらなかった、俺達の仲間が何人死んだかわからない。

 俺達が、この正月に学んだことは何だったのだろうか。

それは「助け合う」ことの大事さと、「力を合わせれば、俺達だけの力で何でもできる」ということやった。俺達が、釜ケ崎の外の人間ともいっしょに力を合わせたら、ものすごく大きな力になることがわかったんや。

 釜の冬は、毎年つらいものになる。不景気になったら、まっさきにあおりをくう。

俺達は、釜ケ崎ができたときからずっと、ほとんど無権利・無保障のまま放って置かれてきたんや。そして、そういう問題は、俺達がダマッていて解決するもんやない。

 越冬対策実行委に集まった仲間は、何度か府労働部・市民生局とそれぞれ団交をもった。

そして、いくつか要求を認めさせることができた。

しかしその要求を、ちゃんと行政が実行したのは年末までやった。

正月になったら、約束なんかおっぽり出してトンコしてしまいよったんや。それはやっぱり、まだまだ俺達の力が足りんかったことやろ。

 :皆の力で行政糾弾を!

 行政のこっぱ役人は、俺達を労働者と認めていない。

認めてないからこそ、31日に1人の仲間が死んだんや、殺されたんと同じや。

仕事がなくなると、困った人間が出るのは当然や。

釜ケ崎労働者が中更相なんかで正月を過ごさなあかんことこそ問題やし、人権も認めてないことになる。

 行政の仕事は「施設」を用意することやなくて、本当に「施設」なんかいらんようにすることや。

市民生局の汚職の名人、片山は言うた。「釜の人間は好きで青カンして、好きで死んで行く」と。こういっておきながらも、俺達に「めいわくはかけん」と言った。

 それなら、手配師にわんしょうを与えて給料までやらせている府労働部はどうやろか。

俺達の「冬の仕事を何とかせえ」という要求に、「業者を集めて説明しました」とトボケた。

そして何を説明するのか知らんが、求人に来るよう業者に言っておきながら、かんじんのセンターを開けさすこともせん。

センターも開けんで、何が求人のための説明や。

 俺達もナメラレタもんや。俺達実行委だけやのうて釜ケ崎労働者全体がナメラレタンヤ。

俺達はていねいに、じっくりとお礼をしておく必要がある。

 「仕事をヨコセ」「仕事をブンドル」ための就労闘争・行政糾弾闘争を、今朝のセンター集会を皮切りにやる。

みんなの力を結集して、汚職で腹のふくれあがったこっぱ役人をふくろだたきにしようやないか。

*「アブレの認定は今日からデス」

 今日からあいりん職安の仕事はじめ平常どうりのアブレ賃支払いをやる。

 12月・1月と両方の認定を受け入れる人は、31・1・3・4日(2日は日曜)の4日分3千4十円のアブレ賃をもらえる。

 まだまだ仕事はないと思う。アブレ賃ももらえんし、もう金もない、どうしょうもなくなった人は、次のようにして下さい。

 :働けるひとー西成労働福祉センターへ(センター2階)

 :病気の人ー市立更生相談所(あいりん会館)へ

 それぞれ相談に行き正当な権利を主張しましょう。

*「1月3日、ソフトボール大会、今宮中学校校庭で開催さる!

8チーム・トーナメント、優勝林チーム、準優勝西成中日」

 昨日、今宮中学校校庭は俺達の走りまわるグランドとなった。

午後1時より越冬対策実行委の主催で催されたソフトポール大会はおよそ8チームのトーナメントで楽しまれ、林チームは圧倒的な強さで勝ちすすみ、敗れたチームの選手がまじった強力な西成中日を打ち破り優勝しました。

 釜ケ崎ソフトボール協会会長の談話によりますと、試合は楽しいふんいきのなかですすめられ、勝敗にこだわらず、各チームの選手交換もスムーズに行われたそうです。

なかでも西成ジャイアンツの女性投手は、おしくも2回戦で破れたのですが、コールドにおちいることなく完投を続けました。その看護婦さんに拍手をおくろうではありませんか。

それに引きかえ、実行委員会のメンバーが5人も入っていたチームは、エラーも多く、しかも完封され、コールドゲームというなさけないありさまで、運動神経の鈍さをさらけだしました。

これは今回の越冬対策が釜の仲間の助けがあったからこそ、今日まで行えたことを暗に物語っていると言えましょう。

 ソフトボール大会が成功裡に終り、釜ケ崎の仲間は喜びを感じています。

というのは越冬実の主催で開かれた各種の催しが、これまで1方的に決めつけられていた釜ケ崎労働者に対する偏見を反古にするものとなったからです。

数多く集まった釜ケ崎労働者は群衆ではなく、秩序を持った行動する人民であることを示したのです。

*「健康診断・最終日・3日・58人受ける」

 4条ケ辻公園で行われていた健康診断は最終日の1時に開かれた。

診断を受けに来た仲間は過去に何度も入院したものが多く、それぞれ医療行政に対する不満といきどおりを持っており、診断はそれをぶちまける場ともなった。

釜ケ崎の仲間が病院に行くと、応対からつっけどんでおうへいなものであり、入院すると常時そのような状態に置かれる。

それに耐えきれず飲むと、口実ができたとばかり追い出されるのだ。

これを酒を飲んだ飲まないで考えると解決することができないでしょう。医療の姿勢が問われねばならないでしよう。

医療を行うもの、受けるものが共に病を直そうと努力するのが医療の姿ではないでしようか。

釜ケ崎の仲間と医療の問題は長期に渡る努力の過程で解決されねばなりません。その1段階として昨日の診断があったと思えます。

 血圧・体重・尿検査・問診を58人の仲間が受け、体をなおそうとしたのです。

体を痛めているのを知りながら、病院に行かない仲間を放置しておくことはできないでしよう。

釜ケ崎労働者に対する差別を粉砕し、医療にたづさわる労働者と結びつき、医療の姿勢を問い直すなかで、労働者の健康管理を健康診断ではかろうではありませんか。

*「みんなのたばこ」

 昨夜、タキ火のまわりで暖をとっていた仲間からたばこを喫いたいという声があり、皆の金を出しあったら買えるのでは、とのことでカンパ活動が始まった。

まず趣旨がタキ火を囲む仲間に伝えられる。帽子が1座をまわり金が集まった。

タキ火は3ケ所にあるので趣旨を説明しながら他の2ケ所もまわり帽子の中には金がたまった。百人程で、集計してみると、2千2百3十2円となった。

何をどのように買って、どう分配するかが、そのとき問題となり、皆が考えをのべあう。

少しでも多くのものが喫えるよう、フィルターのついたエコーを買えるだけ買って、皆のことを考えながら喫おうということになった。そして、たばこはたき火のまわりの皆に、わけへだてなく勧められた。

 これは皆の要求を考えとしてまとめ、行動にうつし、実現してゆく形を示している。

1人ではできないことも、助けあい協力するならできるということでしょう。

皆の要求を話あって集中し、皆の考えとしてまとめ、それを別の場所にも伝え、より大きなものとして行動をやって、皆のもとに、各々に還元したのです。


 昨夜はたばこを喫うことができました。

釜ケ崎は多くの問題をかかえています。

問題を正しく解決する方法は、たばこを手に入れたときと、どう違うのでしょうか。まず問題を明らかにし、要求を話しあって集中し、そして、…ではないでしょうか。

(注:日刊えっとう・フリガナはなし)

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