第2回清掃事業就労者アンケート(96年)報告
府市の清掃事業就労者の生活状況や要望を把握し、仕事の確保・拡大要求の基礎資料とするために、二回目のアンケート調査を行った。なお、回答者は、404名だった。実施期間96・7・12から7・25―釜ヶ崎反失業連絡会
年齢 | -1 | 46 | 50-54 | 55-59 | 60-64 | 65-69 | 70-74 | 75-85 | 合計 |
合計 | 3 |
2 |
4 |
107 |
156 |
93 |
28 |
11 |
404 |
0.7% |
0.5% |
1.0% |
26.5% |
38.6% |
23.0% |
6.9% |
2.7% |
100.0% |
*6歳から54歳までの6名は、いずれも「障害者手帳」所持者。
三回目―235名(25.7%)・二回目―104名(13.9%)・初めてー56名(2.2%)・無回答―9名
年数 | 人数 |
-1 | 3 |
0 | 1 |
1-5 | 39 |
6-10 | 76 |
11-15 | 32 |
16-20 | 79 |
21-25 | 39 |
26-30 | 85 |
31-35 | 21 |
36-40 | 20 |
41-45 | 6 |
46-50 | 3 |
合計 | 404 |
一番高い山―1966年―19971年
二番目に高い山―1976年―1980年
三番目に高い山―1986年―1990年
来釜年齢50歳以上―121名(全体の約三割)。そのうち10年以内に来たもの93名(93/121=76.9%)、そのうち5年以内は38名(38/93=40.9%)
長職・在釜 | 小計 | 1-5 | 1-10 | 11-15 | 16-20 | 21-25 | 26-30 | 31-35 | 36-40 | 41-50 | 総計 | % |
小計 | 0 |
0 |
2 |
1 |
5 |
1 |
1 |
2 |
1 |
0 |
13 |
3.2 |
建設土木 | 2 |
14 |
26 |
13 |
34 |
15 |
35 |
8 |
6 |
4 |
157 |
38.9 |
農業 | 0 |
0 |
6 |
2 |
4 |
2 |
9 |
3 |
2 |
1 |
29 |
7.2 |
漁業 | 0 |
0 |
1 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
3 |
0.7 |
林業 | 0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0.2 |
港湾 | 0 |
2 |
5 |
2 |
4 |
3 |
7 |
1 |
0 |
2 |
26 |
6.4 |
炭坑 | 0 |
0 |
2 |
1 |
2 |
2 |
2 |
1 |
0 |
0 |
10 |
2.5 |
造船 | 0 |
1 |
4 |
0 |
5 |
2 |
6 |
3 |
3 |
0 |
24 |
5.9 |
鉄鋼 | 0 |
3 |
1 |
3 |
3 |
3 |
4 |
1 |
0 |
0 |
18 |
4.5 |
石油 | 0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
3 |
0.7 |
製造 | 1 |
6 |
13 |
4 |
14 |
7 |
10 |
0 |
5 |
1 |
61 |
15.1 |
事務職 | 0 |
4 |
2 |
0 |
2 |
0 |
1 |
1 |
1 |
0 |
11 |
2.7 |
他 | 0 |
7 |
14 |
5 |
5 |
3 |
10 |
1 |
2 |
1 |
48 |
11.9 |
小計 | 3 |
39 |
74 |
31 |
74 |
38 |
84 |
19 |
19 |
9 |
391 |
96.8 |
総計 | 3 |
39 |
76 |
32 |
79 |
39 |
85 |
21 |
20 |
9 |
404 |
100.0 |
% | 0.7 | 9.7 | 18.8 | 7.9 | 19.6 | 9.7 | 21.0 | 5.2 | 5.0 | 2.2 | 100.0 |
最小年数―1年・最長年数―65年・平均年数―15.4年
あるー240名・ないー153名・無回答―11名
センターの高齢者就労係の紹介でみつけた―39名・他のところでみつけたー82名・探したけどなかったー31名・探す手だてがわからないー55名・探したことはないー118名・無回答―79名
仕事内容 建設土木―61名・ガードマンー26名・遺跡堀―9名・アルバイトー7名・その他―65名・無回答―236名
単価 最低単価―2,400円・最高単価―28,000円・平均単価―10,920円・無回答―283名
満足しているー127名・不満があるー243名・無回答―34名
満足ー287名・短いと思うー39名・長いと思うー36名・無回答―42名
1回―78名・2回―110名・3回―156名・4回―22名・5回―11名・6回―15名・7回―2名・無回答―10名・平均希望回数―2.6回
無回答―306名・ないー38名・もっと仕事をー18名・市内に拡大をー11名・センターの通年化をー5名・公園もー1名・詰め所の拡大をー9名・風呂券をー5名・便所の増設―1名・作業着をー1名・時間を長くしても単価上げてー4名・人員の増加をー1名・長く仕事できるようにー1名・広範囲に渡って作業員を要求―1名・時間を短くー1名・市の人も街にでてー1名
あるー208名・ないー191名・無回答―5名
前はあったが更新しなかったー52名・職安に取り上げられたー33名・金融屋にあずけっぱなしー11名・なくしたー17名・作ったことがないー69名・無回答―222名
住民票が取れないためー31名・ほかの理由でー49名・無回答324名
ドヤー100名・アパートー60名・文化住宅―9名・野宿―225名・無回答―10名
最低―400円・最高―1850円・平均―992円
ゼロ回―38名・毎日―226名・一回から九回のあいだー54名・無回答86名
あったー168名(暴力42名・暴言51名・いたずら41名・ほか34名)・なしー131名・無回答―105名
あるー233名・ないー144名・無回答―27名
あるー255名・ないー111名・無回答―38名
(入院109名・入寮107名・借金76名・相談拒否30名・ほか10名)
受けていないー313名・受けているー22名・資格はあるが手続きしていないー9名・手続き中だ―9名・無回答―51名
受けていないー357名・受けているー27名・無回答―20名
受けたいと思うー328名・思わないー38名・無回答―38名
連絡できる家族はいないー131名・時々するー59名・よくするー14名・しないー172名・無回答―28名
行けなかったー261名・行けた人(113名)の平均就労数―三日・寄せ屋をしていた―32名・粗大ゴミなどを古物商に売るなどしていたー21名・ほかー12名
幾つかの注目されるべき点について
このアンケート調査の結果に関して、特に注目すべき点を幾つか指摘しておきたい。
一つは、問い16の「前回の清掃の仕事から今日までに、野宿を何回したか」に対して、「毎日」という回答が226名、すなわち全回答者404名中55.9%にのぼり、これに「一回から九回の間」という回答を加えると、69.3%にも達すると言うことである。(「野宿なし」という回答は38名、9.4%)。
この結果は、清掃登録者の普段の生活の厳しさを物語ると同時に、現状の清掃事業が登録者の生活の改善にほとんど効力を持っていないことを明瞭に示している。すなわち、入ってきた五千七百円のお金は、おそらく最も必要な食料費(約三日分か)に回され、宿泊代にまわす余裕はないわけである。
この調査の期間は、センター内清掃があったため、輪番が回り就労できる回数はだいたい月二回程度であった。これに対して、センター内清掃のない現在は、月一回の就労となっている。
清掃登録者の大多数は、この清掃事業以外に収入がない。
問い5に示されるように、240名(59.4%)が「センターや現場で、年齢を理由に仕事を断られたことがある」と回答している。問い26によれば、清掃事業以外の仕事に行けなかった人は261名(64.6%)である。また問い22・23に示されるように、ほとんどが「年金、恩給」「生活保護」を受けていない(77.5%と88.4%)。
こうして野宿を強いられる登録者の平均年齢は、62.7歳(問い1)である。そして問い18に示されるように233名(57.7%)が「体の調子が悪いところがある」と回答している。また、問い17では168名(41.6%)が「野宿をしていて、いやがらせがあった」と回答している。
このような状況が、高齢・野宿労働者の体力の悪化を招き、結果として福祉による入院・入寮、更には行旅病死をひたすら増加させる原因となっていることは明白である。
清掃事業についての要望(問い10)は、「もっと仕事を」「拡大を」「通年化を」という就労意欲を示すものが大きなグループ(34名)となっているのが目立つ。そのことは問い9「一週間の希望就労回数」で顕著に現れている。最頻値は三回(156名)であり、平均は2.6回である。
週に三回仕事が回ってくれば、雇用保険の適用が可能になる。予想される収入、五千七百円×13日+四千百円(雇用保険三級給付金)×13日=十二万七千四百円となり、自活のために必要ギリギリな金額が確保されることになる。その結果、清掃登録者の野宿、そして施設保護・居宅保護は激減するであろう。生活保護受給者の収入は月に11―12万円程度であるが、仕事を求める労働者に対して、どんなに少なくともこの程度の収入は確保されるべきであろう。
これからより一層高齢化が進んで行くであろう日本の中の釜ヶ崎の将来を見据えた国家レベルの対策としても、また、仕事を保障し、健康と生命を守るべき行政の責任からも、清掃事業をはじめとする高齢者向けの軽作業労働の拡大は、最も有効な方策の一つであると我々は考える。