テキスト ボックス: NPO(エヌピィオ)釜ヶ崎(かまがさき)・現場(げんば)通信(つうしん)
野宿生活その行く末は、どこの何処で・・・と、
 

修まっている場合ではないと一万人が


 

貧乏人にとっては気の重い、先行きの話が続くが、現実は現実、しっかりと見つめてできる手だてを考えなければならない、と思う。

前回は、「扇町の三人衆」の行く末を余所ことながら案じ、紹介させて貰ったが、今号はもっと深刻。

1012日、読売新聞夕刊に、「ホームレス状態の人の不自然死」についての分析報告が掲載された(裏面に全文紹介)。

 今から2年前の2000年に、大阪市内の路上や公園で遺体で発見されるか、病院へ運ばれた直後に死亡した野宿生活者は213人であったという。ドヤや家賃滞納で追い立てられているアパートで死亡したもの、救護施設入所者も、広い意味でホームレスととらえ、先の数字に加えて死因を分析したのが、下の表だ。

調査した大学の先生は「餓死や凍死がこんなにあるのは驚くべきことだ」、「医療を受けていれば命を落とさずに済んだケースも多い」といっている。

無念にも餓死した野宿者の内年齢が判明している人の平均年齢は62.5歳だ。生活保護が認められやすい65歳に2.5年届いていない。

 生活保護の制度からは、はねのけられ、仕事をよこせといっても耳を貸さず、自助努力として行っているアルミ缶集めにしても、大阪城野営地で買い上げて少しでも皆の負担を軽減しようとしているのは、行政でなくNPOだ。行政が全く知らぬ顔をしているわけではないことは重々承知だが、こんな具体的事実を知ると怒りが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


技能講習参加者募集!
 

*自転車修理・組み立て講習

  西成仮設避難所で技能講習を行っています。ただいま参加者募集中。参加無料。

  自転車は身近な乗り物です。組み立て・修理を身に付ければ、キット役に立つ!

*皮靴修理講習

  週2回、西成仮設で講習会を開いています。靴も身近なものです。きっちりと身に付ければ、開業も可能!


野宿者「路上死」年213人/大阪市内18・凍死19

府立大教授ら初の実態調査

 大阪市内の路上や公園などで遺体で発見されるか、病院へ運ばれた直後に死亡した野宿生活者が2000年で213人にのぼり、餓死が18人、凍死が19人もあったことが黒田研二・大阪府立大教授(公衆衛生)のグループの調査でわかった。ホームレス問題の深刻化に伴う大都市の「路上死」の実態が判明したのは全国で初めて。毎年、同様の状況が続いているとみられ、医療と福祉の抜本的な対策を求める声が強まりそうだ。〈関連記事12面〉

 黒田教授と逢坂隆子医師らは、大阪市内で発生する「異状死」の死因解明にあたる府監察医事務所の死体検案記録を精査した。

 野宿者(推定を含む)は213人。これに簡易宿泊所滞在者81人、家賃滞納で追い立て中だった6人、救護施設入所者6人を加えた計306人(うち女性6人)を広い意味でホームレス状態の人の不自然死と考え、内容を分析した。

 救急搬送されたのは27%だけで、残りは死後の発見。死亡場所は路上90、公園45、河川敷17、水中7などで、簡宿は71人。発見の遅れも目立ち、高度腐敗、白骨化、ミイラ化が計33例あった。

 平均年齢は56.1歳と比較的若く、最年少は20歳、最高は83歳。

 死因は、病死が167人で55%を占めた。心筋こうそくなどの心疾患が62人で最も多く、次いで肝疾患と肺炎が各22人、肺結核も19人を数えた。凍死、栄養失調による餓死を含む不慮の外因死は53人。自殺は52人、他殺は少年グループの暴行を含めて6人だった。

 黒田教授は、「餓死や凍死がこんなにあるのは驚くべきことだ。自殺や結核死亡の率も高い。行政は路上や公園に出向いて健康チェックを行い、医療提供すべきだ」と話している。
 

「路上死」213

孤立防ぐ援助必要/安心な医療の確保を

 先進国の大都市でなぜ餓死、凍死するのか。初めて明らかになった大阪市内の「路上死」の実態は、野宿生活の過酷さを見せつけた。死体検案記録を調査した研究者たちは「医療を受けていれば命を落とさずに済んだケースも多い」と指摘する。重症にならないうちに医療にかかれる手だて、孤立を防ぐ積極的な援助が求められている。

 餓死の18人は全員、凍死の19人も半数が明らかな低体重、つまりガリガリの状態だった。腹が減ったら何が何でも食べ物を探すはずと考えがちだが、研究グループの的場梁次・大阪大教授((法医学)は「栄養失調になると体力と気力が低下し、食べ物を求める行動さえできなくなる。目の前にあっても固形物は食べられなくなる」と言う。

 長年、死体検案に従事する監察医の坂井芳夫さんは、肺炎、肺結核による死亡の多さを嘆く。「高齢者ならともかく、野宿者は50歳代が中心で、普通なら肺炎では死なない年齢層。肺炎も結核も、治療すれば治る病気なのに……」

 問題点の一つは、通院医療が受けにくいこと。大阪市は他の主な大都市と違い、通院に限定して生活保護を適用する「医療単給」を原則としてやらない。無料診療に応じる病院も限られている。このため体調が悪くても医者にかかれず、病状が重くなってから救急車で入院するケースが多い。

 野宿者自身の生きる意欲や孤立の問題もある。

 7月中旬、JR大阪駅前で野宿していた50歳代の一女性が病院へ運ばれた直後に亡くなった。一か月ほど前から体のむくみがひどく、支援団体の女性が福祉事務所の相談を勧めたが、「大丈夫」と応じなかった。ある夜、見かねて救急車に乗せたが、手遅れだった。「他者との関係をうまく持てない野宿者はとくに心配だ」とこの女性はいう。

 NPO釜ヶ崎支援機構の松繁逸夫事務局長は「冬がまた近づく中、対策の遅れにあせりを感じる。体力の落ちた人への対策は最優先すべきだ。生活保護をきちんとかけることが 基本。安心してかかれる医療の機会を確保してほしい」と話す。

 武内貴夫・大阪市福祉援護担当部長の話「目の届かない人を減らすため、17人の巡回相談員を今年度中にほぼ倍に増やす予定だ。医療は、福祉事務所に相談すれば必ず何らかの形でかかれるようにする。民間団体や市民の協力を含めて対策を強化したい」

 

◆大阪市内の野宿者の餓死=2000年(数字は年齢、カッコ内は所持金の記録)

1月 男56 北区の公園の段ボール内(38円)

2月 男67 長居公園のテント内(120円)

2月 男59 西成区の路上から救急搬送(1000円)

2月 男6070 西成区の公営住宅植え込み(ゼロ)

2月 男49 住之江区の路上の車両内(ゼロ)

3月 男65 西成区の地下鉄入り口そば、リヤカー横

4月 男60 都島区桜之宮公園のテント内

6月 男56 天王寺区の公園のテント内

7月 男83 西成区の路上。10日前に無断退院

11月 男65 天王寺区の高架下の駐車場内

11月 男66 東住吉区の路上の廃車内(1050円)

11月 男60 浪速区の水防碑そばのテント(661円)

11月 男50 西成区の歩道橋上のテント(23円)

11月 男59 天王寺区の路上のリヤカーの荷台

12月 男75 福島区の河川敷の段ボール(2000円)

12月 男67 中央区の駐車場内(130円)

※他に簡宿内、追い立て中の自室での餓死が各1

20021012日読売新聞夕刊(大阪)