万が一救急車で入院した時。
退院後の生活のことも先立って考えておこう!
■「緊急入院保護業務センター」の新設
住所の無いケガ人・病人(お役所言葉で「行旅病人」)が救急車等で入院した場合、その人の保護の実施機関は、これまで発生地の福祉事務所だった。例えば西成区内で救急車を呼んで入院した場合、西成保健福祉センター(旧福祉事務所)が保護を決定、医療費・日用品費を支給したり、退院後の相談にのっていた。この5月から、大阪市では、新しく「緊急入院保護業務センター」という機関が設けられ、大阪市内全域の「行旅病人」の保護はここで一括して行うことになった。また在日外国人で登録証の住所地が大阪市内の人の救急入院保護に関しても、発生地が市内/外いかんに関らずここで実施する事になる。
因みに「あいりん地区」内の人で、市更相から保護を受けて入院する場合は、入院後も市更相が担当。また、居宅保護・施設保護を既に受給中の人が入院する場合も従来どおり、それまで保護にかかっていた保健福祉センター(福祉事務所)が継続して保護を担当する。お間違い無きよう。
緊急入院保護センターの外観。
「阿波座駅」A出口より徒歩1分。コンビニの奥のビル「大阪市阿波座センター」の3階
◆緊急入院保護業務センター◆
○電話:06(6543)7211 ○大阪市西区立売堀4-10-18 大阪市阿波座センタービル3階
○地下鉄「阿波座」駅A出口徒歩1分
■退院の前に
病気やケガが快癒に向かい、医者から「もうすぐ退院ですよ」との声を聞くと、すぐ様荷物をまとめて病院を出て行ってしまう気の早い人も多い。確かに入院生活は辛く苦しく、或いは死ぬほど退屈である。もうウンザリ、一刻も早く退院したい、という気持ちは十分解る。
しかし考えて欲しい、退院した後の事を。仕事が沢山あった昔ならいざ知らず、この先、収入が無ければ生活が成り立たない。仮に仕事の当てがあり尚且つ病気ケガは完治しているとは言っても、入院中に体力は落ちている。すぐに病前と同じく溌剌と働くのは、思いの外難しいだろう。再び野宿に戻ってしまう可能性は大と言わざるを得ない。
(もちろん、野宿生活者を食い物にするケタオチ医療=乱診乱療・医療過誤・病院内の不当な処遇の問題は今も在り、自分の身を守るため、「トンコ」=自己退院という手段を採らざるを得ない場合もあるだろうが…。)
■病院相談室・福祉のケースワーカーに相談を
医者からもうすぐ退院できると言われたら、病院の相談室のワーカーさんに相談して欲しい。きちんと相談すれば、病院のワーカーさんを通じて、当該保護実施機関のケースワーカーに退院後の生活相談の話が絡がる。たいていの病院には相談室があるが、そうした係・窓口がない病院の場合は直接、緊急入院保護業務センター・福祉事務所・市更相など、あなたの入院保護を実施している機関に相談しよう。
■相談〜退院後の生活はどうなるか
先ずは電話。外出が可能なら直接出向くのもいいが、役所に行っては見たものの担当さんが外回りで不在、という事もあるので、やはり電話をしてからの方がいいだろう。
退院後、継続して施設や居宅など、生活保護にかかれるかどうかは、病状・年齢その他、個々の事情によって、ということで一概には言えない。退院後の生活について、病院や福祉のケースワーカーとじっくり相談しよう。
■自分の希望を伝える
例えば、居宅保護希望なら、上手くいくかどうかは別として、自分の意思はきちんと伝えよう。奥ゆかしさは美徳だが、この世知辛い世の中、自分から伝えなければ、行政側から手を差し伸べてくれる事は殆ど無いと思ってよい。何せ大阪は「行旅病人」が多く、ケースワーカーも手が回らない。自分で行動を起こし希望を伝えるのに遠慮は無用。希望をはっきりさせた上で話をする方が、ケースワーカーもやり易いだろう。ただし、相談や面接の際、ケースワーカーも人の子、こちらも人間としての礼儀は失さぬよう。勿論、卑屈になる必要は決して無い。
多くの場合、ケースワーカーは「病状照会」の回答を病院から受け、本人と数回面接しながら先行きを決めて行く事になるだろう。
■退院後の生活の選択肢
□居宅保護 アパートでの生活保護。退院後も要保護状態である事が見込まれ、一人暮らしが可能なら、敷金を扶助してもらえる。敷金なし・相談員つきの「福祉アパート」が適当ならば、そこへの入居も考えられる。
□施設保護 三徳寮・自彊館・港晴寮・大淀寮などの名前を耳にしたことのある人は多いはず。これらの生活保護法の施設は2種類、つまり「救護施設」と「更生施設」がある。違いは、前者は主に60歳以上の高齢者や心身に障害を持つ人が対象。後者は比較的若い人が対象で今後仕事に復帰することを目標とする施設。
□自立支援センター 現在大阪市内には北区・東淀川区・西成区の3ヶ所ある。野宿を強いられている人が、そこに入って就職活動をし、自立を目指す。どちらかと言うと若い人向け。入所限度は通常3ヶ月(最長、全6ヶ月まで延長可)
その他、待機期間が長くなるが老人ホーム・グループホーム等もある。どの選択肢が一番かは、個々人によって異なるだろう。くれぐれも、退院後の自分の生活を具体的にイメージし、自分にとってどれが良いか熟慮の上、分からない事・知らない事は病院や福祉のケースワーカーに納得いくまでよく訊いて、話し合って決めて行って下さい。
■既に居宅保護受給していて長期の入院になる場合
入院すると保護費の額が変わる。普段は《約7万9千円+家賃分》で約12万円だった保護費が、《約2万3千円+家賃分》になる。遠方の病院の場合、家賃の納入方法は病院ケースワーカーや大家さんに相談して、確実に納入しよう。
家賃の扶助は原則6ヶ月で切れる。半年以上の入院になるとアパートを一旦引き払わなくてはならないという事だ。しかしそうした場合も、退院して再び居宅生活に戻る際には、福祉から敷金扶助が行われるので路頭に迷う事はない。これも退院前に担当ケースワーカーと話し合おう。
◆無料映画会のお知らせ◆
5月26日(水)
@「007 死ぬのは奴らだ」(12:00〜)
A「男はつらいよ 〜柴又慕情」(14:10〜)
会場:西成市民館(「認定通り」沿い、萩之茶屋小南に30m、若草保育園の近く)
開場:11:30より
※多数のご参加お待ちしています。※毎月1回、上映会を開催していきたいと思います。上映希望の作品等ありましたら、NPO釜ヶ崎福祉相談部門まで
◎上映会ボランティア募集! 会場設営・後片付け・企画・運営などを手伝ってくださる方。福祉相談部門まで(電話06-6630-6061)